第158回 BtoBとBtoCの両軸で事業展開する理由

この対談について

「日本一高いポスティング代行サービス」を謳う日本ポスティングセンター。依頼が殺到するこのビジネスを作り上げたのは、壮絶な幼少期を過ごし、15歳でママになった中辻麗(なかつじ・うらら)。その実業家ストーリーに安田佳生が迫ります。

第158回 BtoBとBtoCの両軸で事業展開する理由

安田

中辻さんは、BtoBの『日本ポスティングセンター』とBtoCの『コビトベニエ』という2つの事業を展開されています。どちらが大変かと聞かれたら、やっぱりBtoCの方ですか?


中辻

そうですね…正直な話、BtoCは本当に厳しいです(笑)。BtoCって、繊細な原価管理と緻密な計画をしてようやく利益が出るか出ないか、というビジネスじゃないですか。それに比べたら、やっぱりBtoBの方が動く金額も大きいですし、結果も出しやすいですよね。

安田

確かにそうですよね。特に日本の消費者って世界で一番厳しいって言われていますし。美味しくてサービスが良くて、さらに安くないとリピーターになってもらえない。


中辻

そうそう。だからウチとしても軸足はBtoB。ただ私個人としては『コビトベニエ』は利益云々ではなくて「地域に根付いていたい」という想いでやっているんですよ。

安田

ほう。泉大津市のためにやっている、と。


中辻

そうですそうです。コビトベニエの店舗をオープンしてから、町内会とか商工会議所からいろんなオファーをいただくようになったんですよ。地域イベントへの参加とか、地域雑誌の取材依頼とか。

安田

へぇ〜いいですね!


中辻

「泉大津市に必要とされている」っていう実感が、めっちゃやりがいになっています。そうそう、この前なんて泉大津の市長さんがお店に来てくださったんですよ!

安田

おぉ、それはすごい! 中辻さん、市長のファンって仰ってましたよね?


中辻

そうなんですよ〜! でも私、その時は本社にいたので残念ながらお会いすることはできなかったんですが、「前から来たかったんですよ」って言ってくださっていたみたいで。こういうことがあると、ますます「泉大津市と繋がっている」と思えて嬉しいですね。

安田

なるほどなるほど。ちなみに経営のやりやすさとしてはどうでしょう? 例えば創業時からずっと『コビトベニエ』1本でやり続けていたら、今のような利益が出ていたと思いますか?


中辻

うーん…1店舗だけやったら絶対に無理でしょうね。かといって多店舗展開も、してないかな。

安田

へぇ、そうなんですか。それはどうして?


中辻

そもそも全ての店舗で味を均一にするのが難しいんですよね。それにたくさん店舗を展開していると、1〜2店舗が赤字になっただけで他の店舗の利益が全部なくなっちゃう、みたいなことも起こりうるじゃないですか。

安田

確かに確かに。それに店舗が増えると、直接目が届かないところが増えて、クオリティが下がっていくリスクもある。仮にそれが1店舗だけのことであっても、ブランド全体の評価が落ちかねない。


中辻

そうなんですよ。そうなると品質統一のためにセントラルキッチンを…みたいな話になってくるんでしょうけど、そこまでは私には難しいかな。

安田

なるほど。そう考えると、中辻さんには多店舗展開よりECの方が向いてそうな気がします。


中辻

あっ、実はちょうど5月からECをスタートさせたんですよ!

安田

なんと、そうでしたか! それは商圏がぐっと広がりますね。準備、大変だったんじゃないですか?


中辻

そうですね。出荷作業に対応するために、実店舗の営業日をちょっと短縮していて。週の半分くらいはお店を閉めているから、全体の売上で言うとちょっとダウンしているんですけど、利益率は良くなっています。

安田

お〜素晴らしい。じゃあ今後もしばらくはECに力を入れていく感じですか?


中辻

ええ。スタートアップなので、まずはミニマムなところから着実に利益を出せるようにはしていきたいなと思っていますね。

安田

なるほどなるほど。ちなみに話は変わりますが、もしも中辻さんがまたゼロから事業をやるとなったら、やっぱりBtoBから始めますか?


中辻

そうですね、そっちの方が自分に向いていると思いますし。

安田

私もそう思います。中辻さんは経営者相手の商売の方が絶対に向いているなと。なんていうか、社長に好かれそうな要素を持っているんですよ(笑)。


中辻

え〜そうですか?(笑)。たまに毒舌すぎて嫌われちゃうこともありますけど(笑)。

安田

いや、そこがいいんですよ。社長ともなると、周りにはイエスマンばかりになりがちですからね。ズバッと言ってくれる人の存在が貴重なわけです。


中辻

私もお仕事をいただく以上、こんなの売れないよなーと思うものに「いいですね、売りましょう!」なんて言うのはちょっと違うかなと思うので。そこはやっぱりしっかり言っていかないと。

安田

素晴らしいです。でも、せっかく厳しい意見を出してあげても、感情的になってしまう社長もいますよね?


中辻

あぁ…いますね(笑)。会社のことを考えたら、ちゃんと受け入れて欲しいなあとは思いますけど。

安田

そうですよね。でもこれがBtoCになるともっと感情的で繊細になるじゃないですか。そういう面でも、BtoCビジネスは大変ですよね。


中辻

そうですね、「カスハラ(カスタマーハラスメント)」なんて言葉も流行るくらいですから。BtoCで利益を出し続けられる人、本当に尊敬します。とは言え私もまずはECを軌道に乗せて、BtoCでもしっかりと結果を出せるように頑張ります!

安田

ぜひぜひ! 私も今度、ECでコビトベニエさんのチュロスを購入したいと思います!

 


対談している二人

中辻 麗(なかつじ うらら)
株式会社MAMENOKI COMPANY 専務取締役

Twitter

1989年生まれ、大阪府泉大津市出身。12歳で不良の道を歩み始め、14歳から不登校になり15歳で長女を妊娠、出産。17歳で離婚しシングルマザーになる。2017年、株式会社ペイント王入社。チラシデザイン・広告の知識を活かして広告部門全般のディレクションを担当し、入社半年で広告効果を5倍に。その実績が認められ、2018年に広告(ポスティング)会社 (株)マメノキカンパニー設立に伴い専務取締役に就任。現在は【日本イチ高いポスティング代行サービス】のキャッチコピーで日本ポスティングセンターを運営。

安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 

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