第155回 無印とニトリを分けた「ブランディング」の差

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第155回 無印とニトリを分けた「ブランディング」の差

安田

無印良品とニトリの業績がかなり明暗を分けているらしくて。どちらも生活用品や家具を扱っていて領域は重なっているのに、業績ははっきりと差がついているそうなんです。


倉橋

その二社でいうと、ブランディングとデザインの力が違うんでしょうね。ニトリさんはずっと価格戦略で来ていたので、「安い=デザインはそこそこ」というイメージが浸透してしまっている。そこがある意味ブランディングになってしまっているんだと思います。

安田

「無印」って独特のファンがいますもんね。「無印のものが欲しい」という動機で買いに行く人がいる。一方でニトリさんに対しては「安いから買う」という入り方で、安さ以外のアピールポイントが弱いと。


倉橋

ええ。使ってみたら品質が近い商品もたくさんあると思うんですよ。

安田

そうですよね。お皿なんて見分けがつかないレベルのものもありますよ。


倉橋

そうなんです。でもお客さんは気持ちで買うものなので、ブランディングの差がそのまま売上の差になる。

安田

ははぁ。確かに家具って、新しい生活の一部を作るものですもんね。そのとき「安さ」で訴求してきたブランドよりも「デザイン」で訴求してきたブランドの方に気持ちが動くと。つまりは感情の問題なんですね。


倉橋

そう思います。もちろんニトリさんの商品が悪いわけじゃないんですが、お客さんのイメージが、実際に作っているもののレベルよりも低い位置にとどまってしまっている。そこが一歩超えられなかったんじゃないかなと思いますね。

安田

なるほどなぁ。でも面白いのは、無印ももともとは安さが売りだったんですよね。ブランドを外して安く売るから「無印良品」という名前だった。割れた干しシイタケを安く売っていたのが、なぜかそっちの方が売れてしまって、割れてないシイタケをわざわざ割って作るほどヒットしたのは有名な話で。


倉橋

そうですね。まあちゃんとマーケティングの観点から見ると、やっぱりそういったコンセプトを作ったのが大きいんだと思います。無印の商品って一つ一つに派手な個性はないんですけど、全部並べたときに統一感がある。どこに置いても邪魔にならない存在感を、ちゃんとブランディングしている。

安田

確かに、無印のお皿、箸、棚とか全部揃えると、統一感がありますね。でもニトリさんにはそれがあまり感じられない。一つ一つは悪くないのに、どこの商品かよくわからないというか。その差って何なんでしょう?


倉橋

安さで訴求してきたブランディングと、デザインで訴求してきたブランディングの蓄積の差ですよね。途中からコンセプトを変えようとしても、長年かけて浸透したイメージはなかなか変わらない。

安田

なるほどなぁ。それでいうと、ユニクロはどうなんでしょう。アパレルのSPA(製造小売業)がユニクロなら、家具のSPAを確立したのがニトリとも言われている。ユニクロも安さが売りなのにずっと伸び続けていますよね。

倉橋

ユニクロさんはもう「安くて機能が良くてデザインもいい」という王者のブランディングができているんですよ。ニトリさんは安さが利点でデザインが難点というイメージが、実際の商品力よりもまだ低い位置にある。

安田

確かに確かに。考えてみたら、私もユニクロや無印には行くんですけど、ニトリにはあまり行かないんですよ。安くてちゃんとした商品があるのはわかっているのに、なぜかニトリで雑貨を買おうとは思わないというか。

倉橋

僕もそうなんです。無印さんだったら何か買ったりするんですけどね。

安田

わかります。でも、そこまで差がつくほどではないようにも思うんですよね。何か別の要因も絡んでいるような気がしてならない。

倉橋

うーん、正直これはもっと研究しないといけないテーマだと思います。ニトリさんもこんなはずじゃなかったと思っているでしょうし。

安田

もし倉橋さんがニトリの経営を引き継いでくれと言われたら、どこから手をつけますか?

倉橋

いやぁ、正直どこから手をつけていいかわからないですよね(笑)。

安田

そうですよね。商品は悪くないのにイメージが追いついていないというのが、かなり難しい気がします。

倉橋

そうですね。でも一つ言えるのは、商品開発は会社の心臓部分なので、社長直轄であるべきだということです。店舗コンセプトも含めて、そこの意思疎通がないと会社全体のコンセプトがぼやけてしまう。

安田

なるほど。「うちはこういう商材でいくんだ」という方向性は、現場に任せるのではなく社長が示すべきだと。万代さんでもMDの部署には任せつつも、そこは必ず社長として関わっているわけですよね。

倉橋

そうです。ユニクロさんにしても無印さんにしても、商品開発のコンセプトは社長直轄だと思いますよ。だからこそ商品に統一感が生まれるし、ブランドとしての世界観ができる。そこを握り続けることが経営者の仕事なんだと思いますね。


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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