第165回 買い物は最後に残された「自由」

この対談について

“生粋の商売人”倉橋純一。全国21店舗展開中の遊べるリユースショップ『万代』を始め、農機具販売事業『農家さんの味方』、オークション事業『杜の都オークション』など、次々に新しいビジネスを考え出す倉橋さんの“売り方”を探ります。

第165回 買い物は最後に残された「自由」

安田

「買い物とは自由の象徴である」と仰っていましたよね。あの話をもう少し詳しく聞きたいんですけど、何をもって自由なんでしょう?


倉橋

買い物って基本的に許可がいらないじゃないですか。大人になれば、何を買うかは自分で好きに選べる。これほど民主的な活動ってないんじゃないかなと思うんです。

安田

確かに。どの店に行くのも自由だし、買うも買わないも自由ですもんね。


倉橋

ええ。でもその自由って、当たり前すぎて気づきにくいんですよ。例えば戦時下では買い物に制限がかかる。物資が軍に回されたり配給制だったり。自由を奪われて初めて、買い物がどれだけ楽しいものだったかがわかるんだと思います。

安田

なるほどなぁ。買い物ってお金を「使う」シーンですが、一方の稼ぐ方を考えると、自由がない人の方が多いと思うんです。会社員をはじめとして、決められた場所で決められた仕事をして、決められた報酬を受け取るわけで。


倉橋

そうですね。その分、お金を使う場面での開放感が強いんでしょうね。

安田

ああ、確かに。一方で経営者って、お金を持っている割にそこまで買い物で喜ぶイメージがないんです。むしろ普通の会社員の方がオフの買い物や遊びをすごく楽しそうにやっている印象がある。


倉橋

経営者は仕事そのものが自分で選んだもので、自由を感じる頻度が多いですからね。自然と物への執着がなくなるんだと思います。

安田

ははぁ、なるほど。そもそも仕事で自由を味わえるから、買い物にそこまで求めないと。そう考えると多くの人にとって買い物って、残されたわずかな自由なのかもしれませんね。


倉橋

ええ。「娯楽」と言ってもいいと思います。僕が「買い物」を研究し続ける理由もそこにあります。

安田

「繁盛店研究家」たる所以ですね。日本の消費者は世界一厳しいと言われますけど、もしかしたら仕事で我慢し続けているから、自由になれる買い物のシーンではより妥協しなくなるのかもしれないですね。価格もサービスも品質も、すべて高い基準を求めたくなるというか。


倉橋

そうかもしれません。数少ない自由の場だからこそ、そこで妥協したくないんでしょうね。

安田

なるほどなぁ。店舗運営でいうと、「お客さんの自由」はどのぐらい意識するものなんでしょう? 逆に言えば、何をしたらお客さんは不自由を感じるのか。

倉橋

わかりやすいところで言えば、欠品させないことですね。「欲しいものがない」というのは不自由そのものですから。お客様のニーズがあるものをきちんと用意するのは、ものすごく大切なんです。

安田

限られたものの中から選ばせてはいけないと。

倉橋

ええ。例えば洗剤が1個だけ置いてあっても面白くないですから。たくさんある中から品質を見て、価格を見て、「うちの洗濯機に合うのはどれかな」と選ぶ。その過程が楽しいんです。選択肢がなければ、それは「自由な買い物」とは言えないんです。

安田

確かに。結局いつも同じものを買うんですけど、ちゃんと迷って選んで買っていますもんね(笑)。

倉橋

そうそう(笑)。レジに並んでいるときって、「これを買おう」と決めているわけですよね。そういう時って普段より少しテンションが上がっていたりする。中には並んでいる間に「やっぱりやめておこう」と戻すこともありますけど、それも含めて買い物を楽しんでいるんです。

安田

わかります。同じ種類のものが何列もある中で、「これにしよう」と真ん中の列を選んだりとかね(笑)。

倉橋

「どの子を連れて帰るか」みたいに選んでいるんですよ(笑)。同じ商品なのに10個の中から選んでいる。買い物するとなるとそこまで選びたくなるのが、人間心理なんだと思います。

安田

奥が深いですねぇ。そういえば、レジの近くにやたら小さい商品がたくさん並んでいるのも気になっていて。お菓子コーナーにも同じものがあるのに、なんでここにも置いてあるんだろうと。

倉橋

あそこは「戦略コーナー」と言われていて、購入頻度がかなり高いんですよ。ピッと買い物かごに入れてしまう。研究しがいのある場所ですよ。棚の何段目にどう並べればどのぐらい売れるかも、科学的にすべて証明されていますから。

安田

へぇ。自分の意思で選んでいるように見えて、実は研究し尽くされているわけですね。

倉橋

そう思います。特にコンビニはすごいですよ。1個だけ買うつもりだったのに5個買ってしまうのも、すべて設計されていますから。


対談している二人

倉橋 純一(くらはし じゅんいち)
株式会社万代 代表

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株式会社万代 代表|25歳に起業→北海道・東北エリア中心に20店舗 地域密着型で展開中|日本のサブカルチャーを世界に届けるため取り組み中|Reuse × Amusement リユースとアミューズの融合が強み|変わり続ける売り場やサービスを日々改善中|「私たちの仕事、それはお客様働く人に感動を創ること」をモットーに活動中

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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