人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。
第144回 「捨ててきたもの」にあり方が出る

藤原さんのメルマガにあった「何を選んだかより、何を捨てたかにあり方が出る」という話が面白くて。

例えば履歴書って、やってきたことの一覧じゃないですか。会社のブランディングでも、社歴を整理するとやってきたことの歴史になる。でもその裏には、その何倍もの「やれたのにやらなかった」ことがある。そっちの方が個性を伝えるのに大事なんじゃないかと。

そうそう。自社の採用でもまさに同じことが言えると思っていて。「こんなことをやってきました」ではなくて、「こういうことはうちはやっていません、こういうところは正直まだ整っていません、でもそこにはちゃんと理由があります」と伝えてきた気がします。

うちはモノづくりのメーカーとして、昔から問屋さんや商社を使わずにやってきたんです。問屋さんに卸した方が販路の拡大も代金の回収もずっと楽なんですけど、いろんなメーカーの商品をまとめて扱う問屋さんでは、うちの商品への想いまでは伝えきれないだろうと。

そうですねぇ、会社員時代に教わった電話営業とか。法人向けに朝から晩まで経営者に電話をかけまくるという手法ですけど、自分ではどうしても嫌だったので独立後はバイトや社員にやってもらって。結果、売上は7~8億まで行ったんですけど最終的にやめました。

自分がやりたくないことを給料を払って人にやらせ続けるのはどうなのかと。それに、やればやるほど評判が悪くなっていくんです(笑)。相手がいらないと言っているところに電話するわけですから。会社が潰れてもいいという覚悟でやめましたけど、結果的にそれで業績は伸びたんです。

そうそう。今振り返って思うのは、特に小さい会社ほど「やらないこと」を決めるのは大事だと。大手はできるだけ欠点のない、何も捨てずにいい商品を目指せばいいですけど、中小企業がそれを真似しても勝てないので。

同感です。ただ大事なのは、儲からないから捨てたのではなく、儲かるのに捨てるというところにあり方が出るんですよね。「儲かるなら何でもやる」という人は目先の利益ばかり追いかけるので、結局あまり大きくならないことが多い。

ええ、まさに。求人でも同じことを言うんですよ。「こういう人が欲しい」と書くよりも、「こういう人はうちに来ても正直楽しくないと思います」と伝えた方が、かえって刺さる人には刺さる。それもあり方の問題ですよね。

ええ。採用も組織づくりも、根本は「あり方」だと思います。具体的なやり方を聞かれても、僕はまず「そもそもなぜそうしたいんですか」とあり方から掘ることが多い。そこさえはっきりしていれば、戦術は自然と出てくるはずですから。

ああ、確かに。ただ会社がある程度大きくなってくると、社長個人の生き方と会社としてのあり方が乖離してくることもある。その時に「自分はこうだけど、会社としてはこう」と両方をはっきりさせている会社に魅力を感じます。
対談している二人
藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表
1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

















