モノづくり時代には必須だった工場や仕入れが不要になった。一等地のオフィスよりPVの多いオフィシャルサイト。立派なパンフレットよりフォロワーが多いSNSアカウント。経営に求められる資源が大きく変化しているのである。ソロアントレプレナーという究極の経営スタイルまで現れてきた。
かつての会社経営には資金力が不可欠だった。工場を建て、オフィスを構え、原材料を仕入れて、人を雇う。仕事が回って利益が生み出されるまでの資金を確保していることが、経営者になる必須条件だったのである。まとまった資本がないと社長になれない。社長という肩書きが特別な時代であった。
裏を返せば資本家の時代だったとも言える。豊富な資金力があれば誰でも経営者になれた。儲かる事業を選んで投資すれば利益を生み出すことができた。募集すれば人はいくらでも集まったし、会社へのロイヤリティや仕事を最優先する生活は当たり前であった。お金さえあれば人は動かせたのである。
時代が変わり、資金力は経営の十分条件ではなくなった。まず、お金を払っても人が集まらない。無理なロイヤリティや仕事優先を求めると簡単に辞めてしまう。事業自体も非常に難しくなった。儲かりそうな事業を選んで投資するだけではもう利益が出ない。現代社会にはモノも事業も溢れている。
現代の経営者に求められているものは二つ。一つ目は新たな価値を生み出せる創造力である。独自のビジョンを掲げ、これまでにない価値を提供し、新たなマーケットを生み出していく人。こういう人材の元に資金が集まってくる。そして二つ目は人を集める求心力である。お金だけではもう人はついてこない。
給料が高いことはもはや十分条件ではない。「この人と働きたい」「この人の会社に入りたい」というフォロワーを抱えていること。それが社長に求められる新資本となるだろう。いくら資金を持っているかではなく何人のフォロワーを抱えているか。フォロワー数はブランド力と採用力に直結するのだ。
政治家もミュージシャンもフォロワー数によって力の大きさが決まる。経営者も同じ構造になるだろう。ビジョンやこだわりを発信することでフォロワーが増え、フォロワーの中から未来の社員やパートナーが現れる。フォロワーという資本を持たない経営者は高い採用コストを払い続けることになる。
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