
毎週楽しく聴かせていただいています。先日、大塚家具の決算が3期連続で赤字だというニュースがありました。お家騒動によるイメージ悪化から来る顧客離れも影響したでしょうが、大きな要因は現社長(娘)による戦略の展開にあったように思います。もともと父親が築き上げた会員制の高級路線が行き詰まったことに対して、娘は接客スタイルや商品ラインナップが時代に合わなくなっていると否定し、1人でも気楽に入れる店づくりを打ち出しカジュアル路線に方向転換しました。親子ゲンカの当時の報道は「父親の考えが古く、娘の主張のほうが合理的だ」というものだったように記憶していますが(私もそう思っていました)、3年経ってみるとその間の赤字は大きく拡大し、現在はまったく逆の評価となっています。父親の会員制高級路線を継続したままで果たして上手くいったかどうかはわかりませんが、かといって娘が進めた方向性が正しくなかったのは業績の悪化が証明しています。大塚家具はどのような戦略をとるべきだったのでしょうか。安田さんのご意見をお聞かせください。ということです。

うーん、ケンカっていうか……もう、あれ、3年も前なんですね。僕の当時のイメージは、お父さんが周りの幹部連れて集団で出てきて、頑固オヤジみたいな感じで、娘さんは1人で出てきて、この人もそうなんでしょうけど「オヤジさん、もういい加減譲ってあげりゃいいのに」っていう感じで、僕はそのシーンだけ見てたらそう思いましたね。でも、結局お父さんを株主総会で社長から外して追い出しちゃって、自分が社長になって上手くいかなかったってことなんですよね。

前の会社。プライベートな買い物はしたことないですね。とにかくすっごい数のソファが実物がバーッて並べてあって、とにかく早くピッタリ自分が欲しいソファが欲しかったんですよね。そうなると、もう選択肢として大塚家具に行くしかないんですよ。

そんな品揃えのところ他にないし。ただ、当時、僕はすごい熱い接客されるのが苦手なんで、入口でたしかに会員登録みたいなのをしてずーっと付いてこられるんですけど、めんどくさいなとは思ってました。それと、今の若者とかの考え方も変わってきてて、正直あのやり方は時代に合わないよなって感じは僕もすごいしましたね。

はい。だから、娘さんが会員制やめちゃって、もうちょっと入りやすくして、すごい高い家具っていうだけじゃなくしたと。ニトリみたいな超安いのはやっぱ勝てないんで。超安くもないけど、めちゃくちゃ高いものってもっと専門店化してて、カッシーナとか、そういうとこで買うじゃないですか。

カッシーナ。イタリアの家具だったと思うんですけど。なので、「めちゃくちゃ高いわけでもないけど、めちゃめちゃ安もんは嫌だ」っていう人向けのちょうど中間価格で、もうちょっと気楽に入りやすくやるっていうのは、話聞いたときにはこんなに外れるとは思わなかったですね、僕も。

会社が上手くいかない理由っていろいろあると思うんです。ただ、元のやり方で上手くいったのかっていうと、なかなかあれもやっぱ限界があって、方向転換は絶対必要だったと思うんですよね。たしか当時で700億とかぐらいまでいってたと思うんですけど、そのぐらいの規模になると、大企業とかでもそうじゃないですか、シャープとかが家電売れないから明日からラーメン屋やるかとかってできないわけで、やっぱある程度今までのビジネスを引き継いだままでの選択肢になるんで限られてくるんですよね、選べることが。

やっぱ一定の人数いるんじゃないですか。めちゃくちゃ高い何百万の家具は買えないけど、自分で組み立てるような……安っぽいじゃないですか、正直言って。ペラペラの家具だったりとかは嫌で、やっぱりある程度使っていけるような、「ブランド物じゃなくても良いんだけど、100万は出せないけど2・30万で良いソファ欲しい」みたいな人は一定数いると思いますよ。

はい。で、イメージ悪いっていうのは、たぶん売上下がってきちゃって「あのイメージが悪かったからだよね」みたいな相乗効果で、いったん落ち出すとイメージとか業績とかってなかなか回復すんの難しいんで、やっぱ最初にガーッといってればこうはなってなくて。まあ、でも、方向転換って無限に可能性があるわけじゃないですか。

だけど、あの規模になるとできることって限界あると思います。そのうちのひとつを「きっと上手くいくんじゃないか」と多くの人が思ってたからやってみて失敗したってことなんで、よくあることっちゃあ、よくあることなんじゃないですかね。

上手くいったらすごいですけどね。だから、「どの戦略上手くいくんですか?」って、この戦略じゃダメだったっていうのは結果出てるんで後付けでは何とでも言えますけど、正直言って「この戦略やったら上手くいく」なんていう戦略出せる人なんていないんじゃないかと思いますけどね。

いやぁ、僕だったら引き受けないですね。自信がないですね、正直言って。あの規模の会社であれだけの資産。やらないといけないこととか、抱えていかないといけない社員も決まってて、あれを何とかしろって言われても正直すごい難しいですね。

えーと、まあ、「どこかで必ず方向転換は必要だったでしょう」ということですよね。で、この戦略が間違ってたかどうかっていうのも、いろんな要因があるから何とも言えないと。戦略が悪かったというよりは「成功したら超すごい」ぐらいの感じじゃないでしょうか、っていうことですかね。
*本ぺージは、2018年10月3日、ポッドキャスト「安田佳生のゲリラマーケティング」において配信された内容です。音声はこちらから
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