元大手ビジネスマン39歳の
小さなビジネス開業スクール 体験記 ~8日目「コンセプトを絞りに絞ってキャッチをつくる」~

商品をマーケットに接続するための文章。

それがコンセプト文である。ただの商品説明ではないし、メリットを端的に伝えるだけのものでもない。なぜその商品が生まれたのか、その商品は顧客にどんな変化を起こすのか、これらを記した小さな物語のような文章。読んだ人の心を動かし、記憶に残すもの。それがコンセプト文である。今回は、マーケットに接続するために作成した、コンセプト文についての体験記である。

コンセプト文のコツ

BFS8日目は、商品をマーケットに接続するためのコンセプト文を各自が発表し、磨き上げていくことを目指す。7日目の最後に、講師の佐藤さんよりコンセプト文の作り方を教えてもらっており、それに習って8日目までに各自がコンセプト文をつくってきた。そのコンセプト文をみんなで共有し、佐藤さんや他の受講生からアドバイスをもらい、さらにコンセプト文を磨き上げていく。

コンセプト文をつくるコツは以下の3つだ。

コツ① 基本要素は「なぜ」「何を」「誰に」
「なぜ」:なぜその商品を作るのかという自分の背景や思い。
「何を」:どんな商品で、どんな変化を起こすのかという、お客さんの未来。
「誰に」:誰のための商品なのかという、宛先。
これらを文章で伝える。この3要素がコンセプト文の基本となる。

コツ② 自分の主観を入れる
上記「なぜ」の部分には、自分の主観(思い)を入れること。これがないと、一般論を述べているだけの文章になり、読んだ人の心に響かない。自分の見えている景色、自分の感じている課題、なぜ自分がそれをやるのかという理由。主観を語るから、相手に伝わる文章になる。

コツ③ 例え話を入れる
例え話を加えることで、自分の主張と、読んでいる人の実感(体験)を繋げてあげるのだ。読んだ人が、「あ~、たしかに」と思ってもらえる例え話が入れられると、納得感が高まる。

さて、上記のコツ3つを入れて僕がつくったコンセプト文は以下のようになる。マーケットに接続しようとしている感じが伝わったらうれしい。

出来上がったコンセプト文

密着ドキュメンタリーってありますよね。著名人と数ヶ月のあいだ行動をともにし、その人の普段は表に出さない、自然体の姿を伝える番組です。この番組を見終わった後は、不思議とその人を応援したくなります。スポーツ選手なら、その選手の試合を観たくなり、職人なら、その職人の作ったものが欲しくなる。何を思い、どんな苦悩があり、どう乗り越えようとしているのか。その人の裏側を知る前と知った後では、思い入れが違っています。

僕はかれこれ10年以上モノづくり企業で開発・設計業務を行い、モノづくりの面白さを体験してきました。まわりから無理だと言われる難題に取り掛かり、頭を悩ませ、「これだ!」と思えるアイデアが出たときのワクワク感。そのアイデアも、実際やってみるとすんなりいくことは少なくて、新たな壁にぶつかったときの緊張感。いくつもの壁を乗り越えるたびに、洗練されていく技術。この過程こそがモノづくりの醍醐味ですし、ここに物語があります。

<サービス名>は我々が一緒になって新商品を開発し、モノづくりの過程をお客さんにお伝えしていくサービスです。外部の人間だから見えること、技術者だからわかること、一緒に開発するから伝えられること、これらを言葉にしていき、モノづくりの過程をリアルタイムにお客さんに知ってもらう。商品ができあがる頃には、お客さんに商品を好きになってもらうのです。

僕は物事の本質を考えるのが好きで、おカタい技術をやわらかく、難解なテーマをわかりやすく、文章だけでなく図やイラストを使って伝えることを得意としています。わかりにくい物事に出会うと、わかりやすくしたくてウズウズしてしまいます。そんな僕だから、御社の商品の魅力を、もっとうまく伝えられると思うんです。

はじめての自社製品。世界初に挑戦する商品。社長と社員の思いのこもった商品。こうした商品を開発しながら、そこにある物語も一緒に作ってみませんか。

コンセプト文とはなにか

今回、コンセプト文を作ってみて気がついたこと。それは、コンセプト文とは「つながり」を記すように書くと良いということ。「こんないい商品ですよ」という自分の思いの押しつけではなく、「あなたの望みを叶えます」という御用聞きでもない。自分の思い(商品)と、相手の望む未来との関係(つながり)を表現し、自分と相手の間にそっと置いておくような文章。そんな文章にできると、フラットな気持ちで読めて、読んだ人の心に残る。「商品とマーケットが接続する」とは、自分の思いと、相手の望む未来をつなげることなのだ。

次回はネーミングとタグライン

次回は、このコンセプト文を元にして、商品の名前(ネーミング)と、その商品を一言で表したタグラインを作成する。コンセプトを凝縮した、ネーミングとタグライン。これを考えるのがなかなか難しい。ネーミングのパートは、僕がBFSで最も苦しんだものだ。なぜ苦しんだのか。その話はまた次回。

これまでの体験記一覧

ー 書いた人 ー
大谷 信(おおたに まこと)
大手企業でエンジニアとして勤務していたが9月に退職、自分らしい働き方・生き方を模索中。ブログも連載しています。

HP https://otani-makoto.net/
Twitter https://twitter.com/OtaniMkt

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