赤い出口、青い出口 第6回「やりたいこと、楽しいことの先にあるもの。」

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自覚して生きている人は少ないですが、人生には必ず終わりがやってきます。人生だけではありません。会社にも経営にも必ず終わりはやって来ます。でもそれは不幸なことではありません。不幸なのは終わりがないと信じていること。その結果、想定外の終わりがやって来て、予期せぬ不幸に襲われてしまうのです。どのような終わりを受け入れるのか。終わりに向き合っている人には青い出口が待っています。終わりに向き合えない人には赤い出口が待っています。人生も会社も経営も、終わりから逆算することが何よりも大切なのです。いろんな実例を踏まえながら、そのお話をさせていただきましょう。

第6回 やりたいこと、楽しいことの先にあるもの。

その理事長には2003年の初めにお仕事をいただきました。
新卒採用のサポートをしていた時のことです。理事長が経営されている企業は専門学校と資格取得スクールのグループ企業でした。一代で大きなグループになり、多角化を進められている状況でした。

示唆に富んだ話をたくさんいただきました。

「松尾君、人間は死ぬまで学びたい動物なんだよ」
残念ながら、この言葉をもらった若いころって、「金稼ぎたい」とか「広末涼子(当時めちゃくちゃ人気があった)と付き合いたい」とかしか、考えてなかったもので、もちろん聞き流していました。マーケターになるなら、人間のもつ根源的欲求のところですから、一番大事な言葉なんですけどね。

もうひとつ、強烈に覚えていることがあります。
スポーツや美容の専門学校を運営されていたので、それにかかわる取材をしていた時のことです。
「理事長、スポーツや美容の人材が社会に出て、果たして給料をもらえるのですか?そんなにたくさんの職業ありますか?」
よくこんなこと言ったなと、今思いだしても顔から火が出るほど恥ずかしい。
学歴や、テストの点数や、他人から渡されたモノサシで、測られていきがっているのが私自身、手に取るようにわかります。人を見下したような質問だと。

ただ、理事長は優しく答えてくれたのを覚えています。
「楽しいことが大事。楽しいことをする場ををつくれば、人が集まってきて、新しい職業が必ずできるよ。」
取材したものの、私の曲がった性根では正しく理解することもできませんでした。
だって、勉強して大学出ないと生きていけないくらいに思っていましたから。

それから数年たった時に、私はこの言葉を思い出すことになります。

テレビをつければ、美容家という職業の人がでてきて脚光を浴びていました。
さらに美容家という職業は細分化され、とてつもなく多くの「美」に対する職業が世の中にあり、さらに増え続けています。テーマは広がり、美と健康。卒業生がそれぞれ仕事を通じて体験し、学び、大きな市場へと発展させていっているのです。

スポーツの世界でも、同様でした。子供たちのサッカースクールは全国に広まり、サッカーコーチという新しい職業が存在しています。それはラグビーや卓球などマイナーだったスポーツにまで、スポーツビジネスとして確立されていきます。卒業生はその大きなビジネスの中で、選手はもちろんトレーナーやマッサージなどの新しい職業を開拓していくのです。

やりたいこと、楽しいことの出口には、職業ができる。
もちろん、競合なんていません。前例がないですから。

それに対して、今ある職業に就くというのは、赤い出口ですね。

「松尾君、SMAPの世界で一つだけの花って歌知ってる?あら、知らないの?だめだねー、ピンとこなきゃ。」
確かこんなことも言われたな。


- 著者自己紹介 -

人材会社、ソフトウェア会社、事業会社(トラック会社)と渡り歩き、
営業、WEBマーケティング、商品開発と何でも屋さんとして働きました。
独立後も、それぞれの会社の、新しい顧客を創り出す仕事をしています。

情報流通量の多少が、価値の大きさを決める時代となり、
「出口」の情報流通量を増やすことに重点を置いています。
これが「出口にこだわる」マーケティングの基となっています。

また、「出口にこだわる」実証として、
モロッコから美容オイルを商品化し、販売しています。
<https://aniajapan.com/>

商品の「出口」で情報が増えれば、ファンが増える。
「出口」に注力することで、新規マーケットの創造に力を発揮します。

出口にこだわるマーケター
松尾聡史

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