赤い出口、青い出口 第40回「納品するまでが『商品』です。」

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自覚して生きている人は少ないですが、人生には必ず終わりがやってきます。人生だけではありません。会社にも経営にも必ず終わりはやって来ます。でもそれは不幸なことではありません。不幸なのは終わりがないと信じていること。その結果、想定外の終わりがやって来て、予期せぬ不幸に襲われてしまうのです。どのような終わりを受け入れるのか。終わりに向き合っている人には青い出口が待っています。終わりに向き合えない人には赤い出口が待っています。人生も会社も経営も、終わりから逆算することが何よりも大切なのです。いろんな実例を踏まえながら、そのお話をさせていただきましょう。

第40回 納品するまでが「商品」です。

2週にわたり、ネット商売を長く続けるコツを
お伝えしてきました。今回は、
商品サービスの納品(デリバリー)工程の話をします。

そもそもネットで商売をする際に、
見落とされがちなことが、納品コストです。
1000円で仕入れて2000円で売ると、
利益率50%と言っている人がいますが、
相手が商品やサービスを受け取るまでに、
物流や時間に関わるコストがかかります。

納品を考慮しないと、商売は長続きしないのです。

【デリバリーの物流コスト】

ひとつの商品を納品する際、
材料を買う仕入れの輸送・保管倉庫、
発送のための集荷・宅配費用など、
運送に係る費用は、相当なものになります。

宅配の費用だけでも500円はするのですから、
ひとつの商品を販売するのに、
1000円くらいの粗利なんて、
ないも同然になってしまいます。
いざ蓋を開けてみると「儲からない」となり、
商売を続けることができません。

【デリバリーの時間コスト】

納品はモノだけではありません。
サービスを納品する場合もあります。
例えば、注文生産やデザインの依頼などは、
発注をもらってから、仕事が発生します。
オプション金額が
決まっていると良いのですが、
何度もやり直しをしたり、
修正を要求されると、
納品そのものができません。

そうなると、
その時間で他の仕事はできず、
入金もないという
袋小路に迷い込むことになります。

これも商売が長続きしにくくなる要因です。

【モノがない、手離れが良い商売とは】

納品には物流コストや時間コストが
かかることを考慮しないと、
商売が長続きしないこともあります。
一方で、
納品コストを避けようとして商材を作ろうとすると、
モノもない、成果物もない、手離れがよい
「情報」「ノウハウ」を売るしかありません。

しかし、
この「情報」「ノウハウ」は
お客様の満足度を上げ続けることがとても難しく、
そもそも、商売を長続きさせるということに
不向きな商材だったりします。

納品コストを計算していないと、
商売が続きません。
それなのに、
納品コストのかからない商品は、
顧客満足度が上がらない。

それならば、
納品コストまで考えられた商売を、
考えていかねばなりません。


【お客様の満足度とは】

ネット商売を長続きさせるためには、
デリバリーまでを商売だと
考えることが重要です。

商売のお客様満足度は、
商品の良さだけでなく、
納品の良さも大きく影響するからです。

特にネット商売はクリックして決済した瞬間に、
購入側は商品への期待値が高くなります。
どのようにその期待に応えるのかで、
お客様の満足度が変わります。

お客様の期待値が不満に変わる前に、
素早く納品すること。
お客様の期待値を上回る、
商品以外のちょっとした工夫。
これを商品コストに上乗せして
きっちり商品サービスに組み込むことが重要です。

ということは、
納品コストを「コスト」と考えず、
他と差別化して顧客満足度を上げるための
「投資」だと考えるのが良いでしょう。

今から商売を始める方は、
自社の商品の出口を、
もう一度考えてみてはいかがでしょうか。

 


- 著者自己紹介 -

人材会社、ソフトウェア会社、事業会社(トラック会社)と渡り歩き、営業、WEBマーケティング、商品開発と何でも屋さんとして働きました。独立後も、それぞれの会社の、新しい顧客を創り出す仕事をしています。
「自分が商売できないのに、人の商品が売れるはずがない。」と勝手に思い込んで、モロッコから美容オイルを商品化し販売しています。<https://aniajapan.com/>
売ったり買ったり、貸したり借りたり。所有者や利用者の「出口」と「入口」を繰り返して、商材を有効活用していく。そんな新規マーケットの創造をしていきたいと思っています。

出口にこだわるマーケター
松尾聡史

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