赤い出口、青い出口 第35回「購入動機はお客様のもの」

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自覚して生きている人は少ないですが、人生には必ず終わりがやってきます。人生だけではありません。会社にも経営にも必ず終わりはやって来ます。でもそれは不幸なことではありません。不幸なのは終わりがないと信じていること。その結果、想定外の終わりがやって来て、予期せぬ不幸に襲われてしまうのです。どのような終わりを受け入れるのか。終わりに向き合っている人には青い出口が待っています。終わりに向き合えない人には赤い出口が待っています。人生も会社も経営も、終わりから逆算することが何よりも大切なのです。いろんな実例を踏まえながら、そのお話をさせていただきましょう。

第35回 購入動機はお客様のもの

【クリスマスプレゼントを買う目的】

クリスマスの季節になりました。
各家庭のサンタさんが、
子供の欲しいものをヒアリングをしていることと思われます。
子供の喜んだ顔を想像するのは、
一つの楽しみであり、
ある意味、宗教や信心を超えたイベントとして定着しています。

子供に何が欲しいか聞くと、
その瞬間に欲しいものをこたえます。
大人である私たちからすると、
「どうせ年が明けるころには、使わなくなるでしょ?」
と言いたくなるものばかり要求してきます。
ただ、子供の喜ぶ顔を見たいために、
毎年頑張って、プレゼントしているのです。
そう考えると、プレゼントの購入の目的は、
プレゼントを実際に使う前に達成されているといえます。

【売り手と買い手のすれ違い】

私は妻と一緒に、ネットでスキンケア用のオイルを
輸入販売しています。
ありがたいことに、結構な数の感謝の声をいただきます。
商品には自信を持っていますので、本当にうれしい声です。
ただ、その感謝の内容は、
・梱包が丁寧で、商品への愛着を感じました。
・発送が早く、すぐ手元に届きました。
という声がとても多いのです。

もちろん、梱包と発送の早さは気遣っているのですが、
商品を使った感想ではないのに、少し違和感を感じます。
売る側は商品の効果・効能をアピールしているのに、
購入側は手に入れた時点での喜びを、聞かせてくれます。

【買うという満足感】

昔は商品を手に取って確認し、
買って、家に帰って商品を使用していました。
買った時の気持ちがそのまま続いたので、
商品を買う目的が、
商品の使用目的と一緒だったかもしれません。

今は、ネットで発注するので、
購入をしてから手に届くまでの時間が結構かかります。
買った後は、購入したことに満足して、
買ったことすら忘れているというのもあるでしょう。
買ったその満足感が目的となる場合が、
増えているとも言えそうです。

【購入動機を決めつけない】

当たり前のことですが、
購入の目的は、千差万別その人次第とも言えます。
プレゼントを渡すことが目的。
買うことそのものが目的。
しかし商品を作る人は、
そこまでなかなか思い至りません。

商品を作る人は商品の思い入れや、
商品特性を一生懸命言葉であらわそうとします。
それは王道なのですが、
突き詰め過ぎて、袋小路に迷い込んだ商品をしばしば目にします。

もし、頑張っても売れない商品をお持ちなら、
「お客様に購入動機を押し付けていないか?」
と、もう一度考えてみることをおすすめします。

そう考えることによって、
新しいマーケティングの出口が見えてきそうです。

 


- 著者自己紹介 -

人材会社、ソフトウェア会社、事業会社(トラック会社)と渡り歩き、営業、WEBマーケティング、商品開発と何でも屋さんとして働きました。独立後も、それぞれの会社の、新しい顧客を創り出す仕事をしています。
「自分が商売できないのに、人の商品が売れるはずがない。」と勝手に思い込んで、モロッコから美容オイルを商品化し販売しています。<https://aniajapan.com/>
売ったり買ったり、貸したり借りたり。所有者や利用者の「出口」と「入口」を繰り返して、商材を有効活用していく。そんな新規マーケットの創造をしていきたいと思っています。

出口にこだわるマーケター
松尾聡史

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