第70回 惰性で続ける是非

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自覚して生きている人は少ないですが、人生には必ず終わりがやってきます。人生だけではありません。会社にも経営にも必ず終わりはやって来ます。でもそれは不幸なことではありません。不幸なのは終わりがないと信じていること。その結果、想定外の終わりがやって来て、予期せぬ不幸に襲われてしまうのです。どのような終わりを受け入れるのか。終わりに向き合っている人には青い出口が待っています。終わりに向き合えない人には赤い出口が待っています。人生も会社も経営も、終わりから逆算することが何よりも大切なのです。いろんな実例を踏まえながら、そのお話をさせていただきましょう。

今から20年以上前になりますが、
競馬が大好きでした。
「競馬は月曜日から始まる」と言っては、
週明けに競馬ブックを買いに行き、
土日のレースの復習と、
週末のレースの予習をやり続けました。

血統はどうか?
練習(追切り)のタイムは?
過去のレースの傾向は?
競馬場との相性は?
レースの展開は?
考えることはたくさんあります。

競馬はギャンブルなので、
目的はお金を増やすことなのですが、
いつしか、
予想があたったことが喜びになります。
そうなると、
馬券は外れたとしても、
展開や馬券に絡んだ馬が予想通りであれば、
納得するどころか、満足しさえします。
そして最後は、
一度大儲けさせてもらった馬や、
毎回裏切られている馬に執着して、
「応援馬券」や「私の夢」という言葉とともに、
一人前の競馬通として仕上がっていくのです。

今はやらなくなった競馬を
揶揄しているわけではありません。
娯楽として、とても面白いものだと思います。
もちろんJRAに預けている(溶けてなくなった)
お金を取り戻したいとも思いません。

では、なぜやめたのかというと、
競馬への目的が変化しているのがわかったからです。
「お金儲け」から、
「予想があたったことによる満足感」へ、
そして最後は「馬への愛情」と、
結局、競馬を続けるための理由づけが
変化しているだけだと気づきました。

環境や思考が変化しても、
実際に競馬を続けていたのは、
損をした自分を否定したくない
というような気持ちが働いたのかもしれません。


私達の生活を振り返ってみると、
住宅ローンの支払いも、
節税効果の高い生命保険も、
自家用車の保有も、
当初の目的が変わったとしても、
惰性で続けているものに囲まれています。

企業経営においても、
上手に経営されている経営者は、
この辺がうまいことに気づきます。
そのような方は、
事業が儲かっていても、そうでなくとも、
目的が変わってきたと感じたときに、
事業の見直しをされます。
結果として、
事業は次のステージへと上がっていくのです。

私の競馬遊びも、
そんな経営者の方の何気ない一言によって、
気づかされ、出口へと向かいました。

「目的が変わったなら、ゼロリセットしないとね」

 

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- 著者自己紹介 -

人材会社、ソフトウェア会社、事業会社(トラック会社)と渡り歩き、営業、WEBマーケティング、商品開発と何でも屋さんとして働きました。独立後も、それぞれの会社の、新しい顧客を創り出す仕事をしています。
「自分が商売できないのに、人の商品が売れるはずがない。」と勝手に思い込んで、モロッコから美容オイルを商品化し販売しています。<https://aniajapan.com/>
売ったり買ったり、貸したり借りたり。所有者や利用者の「出口」と「入口」を繰り返して、商材を有効活用していく。そんな新規マーケットの創造をしていきたいと思っています。

出口にこだわるマーケター
松尾聡史

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