大阪・兵庫を中心に展開する、高価買取・激安販売がモットーの『電材買取センター』。創業者である株式会社フジデン代表・藤村泰宏さんの経営に対する想いや人生観に安田佳生が迫ります。
第10回 仕事の詳細は決まっていないのに、20代の若者を即決採用した理由
今日は、以前の対談でも登場した「執行役員の宇佐さん」についてお聞きしたいなと。お話の端々から、宇佐さんが『株式会社フジデン』にとってすごく重要な存在だということが伝わってきます。そもそもの出会いのキッカケはなんだったんでしょうか?
出会いは京都市が主催していたイベントですね。企業と大学卒業後の若者をマッチングするような内容で、地元企業の1つとしてウチも参加しました。まぁ、どちらかというとIT系の仕事を探している学生さんを集めていたので、ちょっと場違いではあったんですけど(笑)。
当時のフジデンさんと言えば、エアコン取付工事の仲介事業がメインですもんね。確かにIT系の仕事を希望する学生さんとはアンマッチな気がします(笑)。どうして参加しちゃったんですか?(笑)
…なんでなんでしょうね、自分でもよくわからないです(笑)。ただ、ちょうどその頃、ホームページを自分で作ろうとホームページビルダーの学校に行っていたんですよね。
いろいろやっていますね〜(笑)。
でも3日間通って「あ、これは無理だ」と(笑)。だから、そういうことが得意そうな人材を探そうと思ったのかもしれません。
なるほど、わかりやすい(笑)。そして会場で宇佐さんに出会ったんですね。
そうそう。「ITエンジニア」っていう名札をつけている若者がいたんで、「こりゃええわ」と話しかけたんです。5分ほど喋って、「キミ、採用!」と(笑)。
5分?! 展開が早すぎます(笑)。いったいどんな話をされたんですか?
「ウチはこれからネットに力を入れていきたいと思ってる。キミに全部任せるから、やってくれる? パソコンとかも全部こっちで用意するし」って言いました。そしたら「はい、やります」って(笑)。
なんと(笑)。そんなざっくりした話に即答する宇佐さんもすごいですけど、それを信じてすぐ採用しちゃう藤村さんもすごいです(笑)。社員一人雇うのって、けっこう覚悟がいるものじゃないですか。
まぁそうなんですけどね。しかも当時のウチってあんまり業績もよくなくて。新人を雇う余裕なんてほとんどなかったんです。
ますます即決しちゃダメじゃないですか(笑)。
ほんまにねぇ(笑)。でも実はその時、宇佐とは別にもう1人採用してるんですよね(笑)。
え、2人?! すみません、私、ちょっと理解が追いつかないです(笑)。
ものすごく優秀な人材をもう一人見つけてしまって(笑)。彼女もIT系だったんですけど、デザインや絵を描くスキルがあって、すごくいい子だし、絶対一緒に仕事したいなと思ったんです。今はもう結婚・出産でご退職されたんですけど。
ははぁ……なるほど。とはいえ、勝手に2人も採用してきたら役員さんとか社員さんに怒られませんでした?
一応採用前に経理に電話して聞いてみたんですよ。そしたら「社長が採用したいんだったら、いいんやないですか〜」って(笑)。
なんと(笑)。藤村さんだけでなく周りの方もなかなかすごいですね(笑)。ともあれ、会社のOKも出たわけで、安心して採用することになったと。
いやそれが、彼女はやっぱりすごく優秀なんで、他の企業からも内定をもらってたんです。ウチに来るか別の企業に行くか悩んでいて、「これは取られちゃうかな」と思ってたんですけど…。
へぇ。でも最終的にはフジデンを選んでくれたわけですよね。何が決め手だったんです?
それがね、宇佐なんですよ。彼が彼女を口説いてくれたんです。
ん? 宇佐さんって、その時点ではまだ社員じゃないですよね?
ええ、入社前ですから(笑)。でも「そっちの会社に行くよりフジデンに入った方が、自分のやりたいことができると思うで」って説得してくれて(笑)。
ははぁ、すごいなぁ!(笑)。さすが宇佐さんだ。ちなみに入社後の働きもすごかったんでしょう?
そんな優秀な方を5分で採用したなんて…藤村さん、めちゃくちゃ「人材運」がいいですよ!
対談している二人
藤村 泰宏(ふじむら やすひろ)
株式会社フジデンホールディングス 代表取締役
1966(昭和41)年、東京都生まれ。高校卒業後、友禅職人で経験を積み、1993(平成5)年に京都府八幡市にて「藤村電機設備」を個人創業。1999(平成11)年に株式会社へ組織変更し、社名も「株式会社フジデン」に変更。代表取締役に就任し、現在に至る。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。