第19回 お金持ちは、幸せか?

この対談について

大阪・兵庫を中心に展開する、高価買取・激安販売がモットーの『電材買取センター』。​​創業者である株式会社フジデン代表・藤村泰宏さんの経営に対する想いや人生観に安田佳生が迫ります。

第19回 お金持ちは、幸せか?

安田

今日は藤村さんの「お金に対する価値観」を深堀りできたらと。というのも、以前の対談でもお聞きしましたが、藤村さんは若い頃にお金のことで苦労されていたじゃないですか。


藤村

身から出た錆とはいえ、ずっと貧乏してましたね。明日にも倒産するんじゃ…と恐怖を感じながら、常に「お金」のことを考えて過ごしてました。

安田

確かに事業を継続したり給料を払ったりするにはお金が必要ですからね。かといって藤村さん個人として「もっと稼いで大きな家に住みたい」とか「高級車を乗り回したい」みたいな欲求はあんまりないんじゃないか、とも思ったりして。


藤村

ああ、仰るとおり全くないですね(笑)。たぶん僕が思う「豊かさのライン」って、すごく低いんですよ。自分自身がもっと豊かになるためにお金が欲しい、とは思ってないですね。

安田

ああ、やっぱり。ともあれ、藤村さんだって若い頃は、それなりにお金持ちになりたいって思っていたでしょ?


藤村

そうだなぁ…振り返ってみると、会社ようやく軌道に乗り始めてやっと貧乏生活から抜け出せた頃はまだ、「お金がすべて」って思っていたかもしれない。

安田

お金に困っていた時期が長かったから、余計にそう思ったんでしょうね。


藤村

ええ。でもその価値観が覆された出来事があったんですよ。

安田

ほう、なにがあったんでしょうか?


藤村

ちょうど奥さんとよりを戻した頃、家族で遊園地に行ったんです。でもそれまで仕事ばかりで全然家族と向き合ってこなかったから、なんとなくお互いぎくしゃくしてて(笑)。それで僕はちょっと見栄を張って「今日は、欲しいものなんでも買ったるで!」と言ったんですよ。

安田

羽振りがいいところを見せたかったんですね(笑)。「お父さん、こんなにすごくなったんだぞ」って(笑)。


藤村

そうそう(笑)。「お金があれば家族の気持ちを繋ぎ止められるやろ」って。ところが僕らの前にいた家族連れが「今日は5000円しかないけれど、楽しもうね。お弁当も持ってきたからあとで一緒に食べよう」ってニコニコ話しているのが聞こえてきて。その瞬間、「あ、負けたな」と思ったんです。

安田

ふ〜む、どのあたりが「負けた」と思ったんですか。


藤村

うまく言えませんが、「幸せはお金では買えない」ということを痛感しちゃったというか。人間関係を「お金」でなんとかしようとしている時点で、あの家族には完全に負けているなと。

安田

なるほど。「お金がすべてではない」と気付いたわけですね。ちなみにこの「お金がすべてではない」って言葉、お金をたくさん持ってる人ほどよく言う気がするんです。


藤村

確かにそうかもしれませんね。「お金がすべてではない」かどうかは、お金を持ってみないとわからないですから。

安田

ええ、それも一理あるとは思います。でも今私が思うのは、お金がない状態でも「お金がすべてではない」って言えるのがベストなんじゃないか、ということなんです。


藤村

うーん…お金がないのにそんなこと言うのって、ただの強がりなんじゃないですか?(笑) 心からそんな風に思える人って、なかなかいないと思いますけど。

安田

ええ。なかなかいないと思います。でもだからこそ、そう心から思える人っていうのは、誰より強いとも思うんです。どんな状況であれ、お金に囚われることがないというか。


藤村

なるほどなるほど。そういう人はきっと、「今自分が持っているお金の範囲」で最大限に楽しめるってことですもんね。さっきの、5000円で遊園地に来ていた家族のように。…でもそう考えると僕の周りの経営者さんって、こう言ったら失礼かもしれませんけど…ケチな人が多いんですよ(笑)。

安田

ああ、経営者の中には、やたらとコスパとかタイパを考える人、いますよね。…私はあんまりそういう人は好きじゃないんですけど(笑)。


藤村

僕も苦手です(笑)。出張に行ってもできるだけ安いホテルに泊まるし、ご飯もチェーン店の居酒屋みたいなところばかり。別に毎日贅沢しろっていうわけではないけど、せっかくだったらもう少し心が豊かになるお金の使い方をすればいいのになぁと思うんですよね。

安田

私はそういう人のことを「貧乏くさい人」って呼んでます(笑)。そういう美学もあるのかもしれませんけど、私はそういう生き方は好きじゃないんで、しません(笑)。


藤村

安田さんはそうでしょうね。だって昔、「大阪城を本社にして、従業員は全員ポルシェで出勤」みたいなこと仰っていたくらいですもん(笑)。

安田

あ〜言ってましたね、若かりし頃(笑)。よく覚えていらっしゃいますね(笑)。


藤村

そりゃそうですよ。だって僕、その話を聞いて「すごいなぁ、こんな夢のあることを言える人いるんや!」ってものすごく衝撃を受けましたもん。世の中にはこんなすごい人がいるんやなぁって。

安田

そうやって褒めてくれる人、なかなかいないので嬉しいです(笑)。


藤村

だから僕も安田さんの真似をして「将来、大阪城を本社にしようと思ってるんや」って言って回ってます(笑)。最初はみんな、ただの冗談だと思って笑うんです。でも「いやいや、本気やで」って言い続けていると、だんだん「なんかこの人、面白い人やな〜。夢がある人やな〜」って思ってくれるんで。

安田

私も藤村さんだったら実現できちゃうんじゃないかと思えてきました(笑)。ぜひ大阪城の買収もしてもらいたいですね(笑)。

 

 


対談している二人

藤村 泰宏(ふじむら やすひろ)
株式会社フジデンホールディングス 代表取締役

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1966(昭和41)年、東京都生まれ。高校卒業後、友禅職人で経験を積み、1993(平成5)年に京都府八幡市にて「藤村電機設備」を個人創業。1999(平成11)年に株式会社へ組織変更し、社名も「株式会社フジデン」に変更。代表取締役に就任し、現在に至る。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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