大阪・兵庫を中心に展開する、高価買取・激安販売がモットーの『電材買取センター』。創業者である株式会社フジデン代表・藤村泰宏さんの経営に対する想いや人生観に安田佳生が迫ります。
第25回 会社の未来に「恐怖」を感じなくてすむ方法とは
社長って、どんなに業績が好調でもふと怖くなる時がありますよね。社員の多さや借金の大きさなどに、あらためてプレッシャーを感じてしまうというか。藤村さんはそういった恐怖とはどう向き合っていますか?
うーん…どうだろう。そもそも恐怖はあんまり感じてない気がしますね。
そうなんですか? 「会社のことを考えると怖くて眠れなくなる」なんてことはないと。
もちろん嫌なこととか辛いことがないわけじゃないですけど、寝られなくなるほどではないかな(笑)。結果的に「なんやかんや言うても幸せやな」と思っているんで。でも確かに経営者の人ってよく「怖い」って言いますね。ただ正直な話、そう言えるうちはまだ大丈夫なんだと思うんです。
…と言いますと?
本当にドン底の時って、その瞬間をなんとか乗り切ることにがむしゃらで、恐怖や不安を感じる余裕もないと思うんです。「会社の未来を考えると心配です」なんて言えるのは、ある意味まだ余裕がある状態なんやないかなぁ。
ははぁ、なるほど。でもそうなると、恐怖を感じないという藤村さんは、つまり余裕がないということになりませんか?(笑)
確かにそうなのかも(笑)。そういう僕に言わせれば、経営者の多くは「自分が築いてきたものを失いたくないだけ」なんですよ。借金が返せなくなったり、社員がいなくなったりして、「会社を失うこと」が怖いんじゃないかなぁ。
でも実際、会社を失うって怖いじゃないですか。最近は人手不足の問題やら賃金アップの話やらも重なって、急にガタガタっと倒産してしまったりするし。
確かにそういう「時代の流れ」はありますよね。経営者さんがそれを恐れるのもわからなくはない。でも僕はどちらかというと時代の流れに身を任せちゃうタイプかなぁ。
ほう。それは具体的にはどう任せるんです?
例えばこれからの時代は「初任給30万円」とか「最低時給1500円以上」が当たり前になると言われているでしょ? それが時代の流れなんだから、じゃあウチも上げましょ、となるだけです。上げると決めたら頑張るしかない。怖いとか言っている暇はないんです(笑)。
すごいなぁ(笑)。とはいえですよ、一度上げたらいくら業績が悪くても下げられないじゃないですか。だからこそ多くの経営者は賃上げに慎重になるわけで。
うーん、敢えて強い言い方をすれば、時代に合わせられないのは社長の力不足ですよ。つまり社長自身の問題なわけで、それを社員に押し付けるのは良くないんじゃないかなぁ。
なるほどなるほど。確かに仰る通りだと思いますけど、「言うは易く行うは難し」って話で。
それこそいつも安田さんが仰っているように、給料は「出せる・出せない」じゃなくて、「出す」んです。出すと決めて、そこから逆算して戦略を立てる。ウチはずっとそうやってきて、実際ちゃんと給与アップできてますから。
う〜む、素晴らしいです。以前の対談でも、「儲からなくなったら儲かる事業を始めたらいいんや」って仰っていましたもんね(笑)。
そうそう(笑)。それこそが経営者の仕事なんやと思うんですよ。「儲からへんな〜仕方ないな〜」で終わらせているのは、キツイ言い方をすれば「ダメな経営者」です。そんなことで社員を巻き添えにするなって思ってしまいますね。
確かに、そこで何も手を打てない社長には誰もついていきたくないですよね。
そうなんですよ。そうやってどんどん社員がやめていって、さらに儲からなくなってしまう。悪循環なんですよ。最初からガツッと給与を上げておけば、社員はさらに頑張ってくれて、結局前より儲かるようになる。儲かるからまた給与を上げられる。ほら、そっちの循環の方が絶対いいでしょう?
そうやって優秀な社員が定着する環境にするわけですね。結果、いろいろなことがうまくいくから社長の恐怖も和らいでいく。つまり「経営に関する不安を解消したければ、社員の給料を上げればいい」ということですね(笑)。
対談している二人
藤村 泰宏(ふじむら やすひろ)
株式会社フジデンホールディングス 代表取締役
1966(昭和41)年、東京都生まれ。高校卒業後、友禅職人で経験を積み、1993(平成5)年に京都府八幡市にて「藤村電機設備」を個人創業。1999(平成11)年に株式会社へ組織変更し、社名も「株式会社フジデン」に変更。代表取締役に就任し、現在に至る。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。