使ってはいけないとまでは言いませんが、参考程度にしかならないと思いますね。

ああ、せっかくオブラートに包んでいるんですから、やめてください（笑）。少し補足するなら、何百人何千人と社員がいる大手企業ならやる意味はあると思います。基本的にサーベイって過去実績をもとに作られているものなので。

そうそう。むしろそれくらいの人数なら、サーベイなんて回りくどいことをせず、直接話せばいい。日々の仕事やコミュニケーションの中で、部下が何を求めているか、どんな意識を持って仕事をしているかは分かりますよね。

そういうことです。だから少人数の会社なのにサーベイをやろうって、その発想をしている時点でダメだと思うんです。

実際その通りです。だから社員さんも本音を書けない。本音が書けないサーベイに何の意味があるのかって話ですよ。

そう思います。そういう社長ほど、仮に社員さんが本音で意見をぶつけてくれても、まっすぐ向き合わなかったりする。「言っても無駄だな」と社員さんが思ったら、ますます本音は出づらくなる。悪循環ですよ。

もちろんそうですよね。だから重要なのは、「改善すること」じゃないんですよね。そうではなくて、要望を出してくれた従業員としっかり向き合うことなんです。できないならできない理由を真摯に伝える。時間がかかるならそう言う。

わかりました（笑）。一つはワンオンワンと言われる個人面談ですね。これは今何に取り組んでいるのか、どんなことに苦労して、どんなことを頑張ったのか、などを話す場です。リアルタイムの話が聞けるので、半期に1回の評価面談などよりずっと解像度の高い、かつ本音に近い話が聞ける。

オンラインでのワンオンワンでも一定の効果はあると思いますよ。ただむしろ、リモート勤務が増えた現代だからこそ、たまの出勤日にはやっぱり生身の話をしてほしい。

まさにそういうことで（笑）。面と向かって話した方がまだ気づきやすいですから。それでいうと、うちは手渡しで給与明細を渡しているんですよね。

あ、いえいえ、給与自体は銀行振り込みなんですが、給料袋に明細と、それからちょっとしたメッセージを書いた一筆箋を入れて渡しているんです。

その人がいま取り組んでいる課題についてとか、案件についてとかですね。「あの件では頑張ってくれてたね」とか「今度あの件について詳しく教えてね」とか。

そうですね。逆に言えば、その程度のメッセージも書けないなら、その人をちゃんと見れてないってことですよ。

はい。「私のことをこんなにも見てくれてるんだなぁ」と思ってくれるようなメッセージでなければ意味がないですから。

ああ、とてもいい例えですね。従業員との関係も、まさにそういうことだと思います。「今日はいい顔してるな」「あ、なんか失敗したのかな」というのは、毎日見てるから気づけるものですからね。