人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。
第17回 「質の高い悩み」と「質の低い悩み」の違い

藤原さんのメルマガに「質の低い悩みは心と体を蝕む。質の高い悩みは人生を豊かにする」と書いてありました。ということで今回は、「質の低い悩み・質の高い悩み」についてお聞きしていきたいなと。

ああ、まさにそういうことです。筋トレも、負荷の高いものの方が効果があるわけです。悩みも同じで、悩みに対しての負荷を自ら上げていけば「質の高い悩み」となり、逆に負荷を下げて楽な方に行けば「質の低い悩み」になる。

ええ。それで少しメニューの内容を変えまして。結果、筋肉量は多少落ちてしまったけれど、日常生活を過ごすにはむしろ快適な体型になりました。これは藤原さんの理屈でいうと、「悩みの質を下げた」ということになっちゃいますか?

ある意味ではそうかもしれませんが、そもそも最も重要なのは「何のために悩んでいるか」なわけです。安田さんが「筋肉隆々の体型になるぞ!」という目的でやっていたなら、その転換は「悩みの質を下げた」と言えるかもしれない。でも、「日常生活を快適に過ごしたい!」という目的なら、むしろ質は上がったと言える。

そうそう。そしてこれは筋トレに限らず、あらゆることに言える。例えば多くの方が「給与が低い」とか「休みが少ない」とか「仕事がつまらない」って仰るじゃないですか。言うだけで終わっていたら「質の低い悩み」ですけど、「じゃあどうやったら改善するだろう」と真摯に向き合い始めると、悩みの質が上がっていく。

ははぁ、なるほど。藤原さんの仰る「悩みの質」というのは、そういうことなんですね。ちなみに私自身も「どうしたらもっと楽になれるか」ばかり考えている人間なんですが、本気で楽をしたいのであれば相当努力しないといけないんですよね(笑)。

ですよね。でも日本って、「楽をしたい」っていうと「甘えるな!」「もっと頑張れ!」みたいに言われるでしょう? あれに昔から違和感があって。楽することを否定するって、一見すごく真面目な姿勢に見えてしまうけれど、実際はある種の思考停止状態だと思うんです。

そうそう。「会社が給料を上げてくれない!」って言ってるだけの人は、完全に人任せですから。逆に「どうすれば楽になれるか」を考えまくっている人は、それだけ主体的に負荷をかけているわけで、悩みの質も上がっている。

ああ、確かにわかりやすいですね。「この状況が嫌だ!何とかしてくれ!」っていう他責思考だと質が低くて、「あれもこれも自分の責任だ、どう改善していこう」という自責思考だと質が高い。…とはいえですよ藤原さん、人間なんて誰かのせいにしたい生き物じゃないですか(笑)。

要は自分以外の人は全員タヌキが化けてると思い込むってことです(笑)。というのもね、例えば道路でワンちゃんにぶつかられても、別にワンちゃんには腹を立てないでしょう? でもその動物の飼い主には腹を立てたりする。
対談している二人
藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表
1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。