人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。
第18回 無価値なものに目を向けよう!

仰るとおりです。ただ、時には「自分には価値があるとは思えないもの」についても考える必要がある、という話で。要は自分の知っていることだけ、興味があることだけに意識を向けるのではなく、もっと視野を広げて、他者の価値観にも興味を持とうということです。

わかります。ちょっと別の話ですが、日本って飲食店に入ると水はタダじゃないですか。お茶を無料で出してくれるところも珍しくない。一方でコーヒーは「〇〇フラペチーノ」「〇〇ラテ」などといって、600〜700円もする。

そうそう。旅館に行けば、無料どころか「お疲れになったでしょう」と仲居さん自らお茶を入れてくれるわけですよ。そして日本人はそれを当たり前だと感じる。これ、つまり「緑茶というものはお金を払う価値がない」と思っているということですよね。

ははぁ、なるほど。金やダイヤの価値は誰でも知ってますけど、ちょっとした工夫をすることでさらに価値を上げることも可能かもしれないですよね。すごく斬新な梱包方法で売り出したり、あるいは新しい価値を提案するようなキャッチコピーを添えたり。

なんというか、人生自体がその修業という感じです(笑)。旅行に行っても、誰かと会食していても、常に「無価値の価値」を考えるようにしています。まぁ、それだとあまりに漠然としていると言うなら、個人的には「メルマガ」を書くことをオススメしますね。

その「無価値の価値」の話に限らないんですが、思考の整理に最適なんです。人間の思考って本人が思っているよりグチャグチャしているので、それを文字という形に整理してアウトプットすることで、単なる思いつきだったものがビジネスアイデアになったりする。

ははぁ、なるほど。私自身もメルマガを書いているので、その感覚はすごくよくわかります。

そうでしょう? 先ほど話に出た商品開発の場でも、新しい商品価値を作ろうとしているときに「あ、あのときメルマガに書いたアイデアが使えるかも」なんてパッと思いついたりもする。つまり新たな価値を生み出しやすくなるんです。

確かにそうですね。これを読んでいる経営者さん、騙されたと思ってぜひメルマガを書き始めてください(笑)。ちなみに、そもそも「価値」って人それぞれだったりするじゃないですか。例えば経営者さんも、お金の使い方は様々でしょう?

その可能性は高いと思います。逆に言えば、新たな価値を生み出したいなら、他人の価値観をしっかり理解することが重要で。つまり「無価値の価値」を創造するためには、「他人の価値観」に着目することが必要不可欠なんですよ。
対談している二人
藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表
1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。