人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。
第34回 未来に必要なのは「ベーシック土地」?!

前回は「会社単位でベーシックインカムを導入することはできるんじゃないか」というお話をしましたね。とはいえ今の段階では、「社員がお金になる仕事をこなさないと会社の利益は生まれない」という考え方が圧倒的に多い。

そうなんですよね。ただ私は逆に、こういう取り組みはむしろ国が主導すべきだと思っていて。というのも、現在の会社という仕組みは、「長期的な収益」には向いていないんです。経営者さんも、頭ではそうしたいと思っていても、今期の売上が……今月の利益が……とどうしても近視眼的になってしまう。

そうそう。一方国家はもっと長期の視点で考えられるわけです。最近は国家も株式会社化しているなんて言われてますけど、一般の会社に比べたらよっぽど長期視点の会社なので、仕組みとして向いているんじゃないかと思うんです。

確かに。国が主導で人を集めて、それぞれが得意なことを見極めた上で「あなたが苦にならない得意なこれで人の役に立ってくれたら、ベーシックインカムを払いますよ」とやっていけば、すごく豊かな国になりそうですよね。

いいですね、それが実現できたら素晴らしいなぁ。人と人とがお互いにいい影響を与え合って、幸福度も上がりそうです。…それでふと思い出したんですけど、新入社員が入社した初日に私が必ず言うことがあって。

「仕事ができないからといって、会社に貢献できてないわけではないんだよ」と。新入社員で特に新卒だったら、初日からいきなりガンガン仕事ができるはずがないわけですよね。でも、そこに存在しているだけで周囲に何かしらの影響は与えているわけで。

ええ、まさに。「つまらない」と思ってそこにいるのか、「少しでも役に立ちたい!」という気持ちでそこにいるのかで、周りのメンバーや会社全体にプラスかマイナスかの影響は必ずあるので、そこをしっかり意識してほしいと。

そうそう。前回お話したムードメーカーの社員も、直接お金は稼げないかもしれないけど、周囲が心地よく仕事ができる環境づくりには貢献していた。そういう貢献にきちんと気付いてあげて、しっかり評価に反映していく必要があるなと。安田さんの仰るベーシックインカムにも通じる考え方だと思いますけれど。

そうなんです。嫌なことを我慢してやってるより、得意なことをのびのびとやった方が全体的なパフォーマンスが上がるに決まってますから。これからはAIもどんどん進化していくわけですし、そういう考え方を本気で検討すべきですよ。

そうですよ。孫さんの言っていることが正しければ、衣食住の衣と食については人間がほとんど介在しなくなると思います。そうすると、今一番お金がかかっている人件費がなくなることで、生きていくためのコストが激減することもあり得るわけです。
対談している二人
藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表
1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。