第47回 成長し続けるために必要な「変化」

この対談について

人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。

第47回 成長し続けるために必要な「変化」

安田

藤原さんのメルマガで、「脳が元気なら年齢を重ねても成長できる」と書かれていたのが気になってまして。そうだったらいいなと私も期待しているんですけど、本当なんだろうかと。


藤原

なるほど。確かに安田さんが興味のありそうなトピックスです(笑)。

安田

まさに(笑)。ただね、「肉体が衰えても脳が元気なら大丈夫」とも書かれていますが、脳だって肉体の一部ですよね。細胞でできている以上、老化は避けられない気がするんです。


藤原

仰るとおり、脳も他の部分と同じように老化していくとは思います。私が言いたかったのは、「人は生涯成長し続けられる」ということと、「そのためには脳が元気であることが必要」ということなんです。

安田

ああ、なるほど。筋肉が年齢と共に衰えるように、脳も衰えはするわけですね。


藤原

もちろんもちろん。特に老化が進んだ最晩年には、確実に脳も衰えていくと思います。

安田

そうですよね。実際私自身、計算能力や記憶力はすでに衰えを感じていますし、反射神経が鈍くなるのも、筋肉だけでなく脳の反応が関係しているからですもんね。


藤原

そうですね。ただ脳の機能としての計算能力や記憶力が衰えても、また違う形で人や組織などに対する貢献は可能だと思うんです。

安田

ほう、つまり政治家や経営者も、やり方を変えれば何歳まででも続けられると?


藤原

いえいえ、そこは以前話題に上がったように、ある程度の年齢で世代交代するべきでしょうね。政治でも経営でも、「仕事に必要な機能」は衰えていくでしょうから。とはいえ全ての機能が衰えるわけではないんじゃないかと思うんです。

安田

と言いますと?


藤原

例えば「人間的な魅力を司る部分」は最晩年まで成長し続けるというのが私の見解で。

安田

ははぁ、なるほど。確かに90歳を超えても素晴らしい焼き物を作ったり、武術の技を極めていく人はいますからね。歳を重ねるにつれて、考え方が深みを増していくというか、人生の真理のようなものに近づいているというか。


藤原

ええ、まさに仰るとおりで。それも一つの成長だと考えられるんじゃないかと思うんです。

安田

なるほどなぁ。そういう意味では確かに成長していると感じます。脳の機能が低下する一方で、使い方はうまくなっているのかもしれませんね。実際、若い頃より素晴らしい焼き物を作る名人は大勢いるわけで。


藤原

それでいうと、「培ってきた感性を表現する力」が年齢とともに成長していくのかもしれませんね。

安田

ああ、確かに。必ずしも肉体的な話ではなく、心身のバランスが整っていくということなのかもしれませんね。将棋の羽生さんが「大局観」という言葉をよく使いますけど、その感覚に近い気がします。


藤原

確かに。全体の雰囲気をつかみ取るというか、俯瞰して物事を捉える力が付いてくるんでしょう。

安田

そうそう。何手も先を読んだりするような、計算能力の速さや正確さは、やっぱり20代後半がピークらしいですから。そこからはどんどん衰えていく。


藤原

でも棋士の方々はそれを過ぎてからの方が強くなっていきますもんね。それこそが「大局観」のなせる技だと。

安田

そういうことです。「なんとなくこの方向じゃない気がするな」という、単なるヤマ勘とは違う何かが研ぎ澄まされていくんでしょう。


藤原

ああ、わかります。人生でもありますよね。「理屈では右に行くのが正しいんだけど、どうも違和感があるから左を選ぶ」というような。

安田

そうそう。おそらく経験から来るんでしょうけど、その感覚は肉体以外に宿っている気がするんですよ。


藤原

ははぁ、確かに肉体だけで考えると、説明がつかない部分ではありますよね。むしろ心や魂というところに近いのかもしれない。

安田

私もそんな気がするんです。ともあれ、人が肉体だけにとどまらず、広い意味で成長し続けるということは、紛れもない事実でしょうね。


藤原

一体「何が」成長し続けるのか、という点については非常に興味深い部分ではありますよね。70歳80歳になっても成長して魅力を増していく人もいれば、30代でも魅力を感じられなくなってしまう人もいるわけで。

安田

確かに人によって違いますよね。ちなみに藤原さんにとって、魅力を感じなくなるのはどういう人なんでしょう?


藤原

うーん、成長を諦めてしまってるような感じがすると、あまり魅力を感じないかもしれないですね。「どうせ頑張ったって無駄でしょ」という後ろ向きな感じというか。安田さんはどうですか?

安田

私は「変化してない人」にはあまり興味が持てないんです。たとえ以前よりつまらなくなっていたとしても、なぜつまらなくなったのかということに興味がわくので(笑)。

藤原

なるほど、安田さんらしいですね(笑)。でもすごくわかります。一般的には悪い方向だとしても、いいか悪いかは結局主観ですから。例えば収入が減っていたとしても、以前より明らかに生き生きしていることもあるし。

安田

そうなんですよ。周りからすると悪い変化のように見えても、本人にとっては成長と感じていたりするわけですよね。だから私自身、いいも悪いも変化することに躊躇せずに受け入れていきたいなと常々思っていて。


藤原

確かに。それこそが成長し続けるために一番必要なことかもしれませんね。

 


対談している二人

藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表

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1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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