第79回 「環境破壊」という勘違い

この対談について

人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。

第79回 「環境破壊」という勘違い

安田

ちょっと哲学っぽい話になるんですが、「人間って自然の一部なんだろうか」という疑問がありまして。世の中では「自然を大切にしよう」とか「環境を守ろう」って当然のように言われてますけど、でもその自然って「誰の視点から見た自然」なのだろうと。


藤原

ほう、なるほど。そう言われてみると、あくまで「人間視点から見た自然」って感じですよね。

安田

そうなんですよ。人間はゴミを捨てるにも細かく分別したりしますけど、人工物と自然物の違いって、あくまで人間が見たときの尺度じゃないですか。海の生物が空き缶に住み着いたりすることもあるわけで、必ずしも人工物が自然にとって悪いものとも限らない。


藤原

ああ、確かにそうですね。そもそも人工物が自然の中にあることを「汚い」「不自然」と感じるのも人間だけでしょうし。もっとも、ウミガメがビニールを食べて死んでしまうというような現実的な問題もあるわけですが。

安田

確かにそういう明らかな問題は解決すべきです。ただもっとマクロに見た時に、アリが巣を作るのと人間がビルを建てるのって、何が違うんだろうと考えてしまうんですよ。そして冒頭の疑問が浮かぶ。つまり「人間は自然の中の一部なのか、それとも範囲外なのか」っていう。どう思います?


藤原

それはやっぱり一部ではあると思いますよ。人間の行動も、作ったものも含めて、自然のプロセスの一つでしかない。極端な話、「環境破壊」すら自然の一部とも言えてしまうわけで。その結人間が絶滅したとしても、人間の時代が終わって次の時代になるだけで。

安田

確かに確かに。地球の温度が5度上がって困るのも、結局は人間ですもんね。


藤原

「地球のために」と言いつつ、結局は人間の生活を維持したいだけなんですよ。そう考えると、だいぶ傲慢な主張に感じてきますね(笑)。

安田

「美しい地球」という表現も、人間の価値観でしかないですもんね(笑)。もしかしたら荒廃した地球こそが、ある種の生物にとっては快適な環境かもしれませんし。


藤原

そうでしょうねぇ。恐竜にとっては「美しさ」なんて意味がなかっただろうし(笑)。

安田

ね(笑)。冷静に考えたら、人類の歴史なんてほんの一瞬なんですよね。地球が誕生してから約40億年、人類はたった200万年。文明なんて、たかだか数千年です。


藤原

信長や秀吉なんて、地球から見れば「最近の人」ですよね(笑)。

安田

明治維新なんて先週ですよ(笑)。そんな若い文明が「地球を守る」なんて、よく言えたもんです。10億年後も地球は普通に存在しているでしょうけど、そこに人類がいる可能性はものすごく低いわけで。


藤原

それくらいのスパンで見ると、今の私たちの存在は、本当に小さな泡のようなものかもしれませんね。

安田

そもそも我々が今「生きている」って感覚も本当に現実なんだろうか、とすら思うんです。我々は目に見える世界を「現実」だと思ってますけど、宇宙では時間がなかったり、時空が歪んでいたり、ブラックホールでは光すら吸い込まれる。人間の常識なんて、まるで通じない世界があるわけですよ。


藤原

まだまだ解明できていないことばかりですもんね。お釈迦様ならわかっているかもしれませんけれど(笑)。

安田

重力って何なのか、宇宙って何なのか。太陽系を含め、銀河系そのものが移動していても、あまりにスケールが大きすぎて我々にはわからないんでしょうね。


藤原

これだけ科学が進歩しても、地震一つ正確に予測できない。自然はまだまだ謎だらけということですよね。

安田

それなのに人間は「支配できる」と思っているんですよ。ただ最近は、テクノロジー一辺倒だった流れが、少し自然回帰に向かってる気もします。人間の脳が急速な進化に疲れちゃったんでしょうかね(笑)。


藤原

そうかもしれません(笑)。それと同時に、「本当にテクノロジーの先に豊かさがあるんだろうか?」と疑い始めた人が増えているような気がしますね。

 


対談している二人

藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表

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1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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