人は何のために働くのか。仕事を通じてどんな満足を求めるのか。時代の流れとともに変化する働き方、そして経営手法。その中で「従業員満足度」に着目し様々な活動を続ける従業員満足度研究所株式会社 代表の藤原 清道(ふじわら・せいどう)さんに、従業員満足度を上げるためのノウハウをお聞きします。
第83回 「抽象化旅行」に出かけませんか?

具体化・抽象化みたいな話をこの対談でもよくしますけど、日本人ってやっぱり抽象化が苦手だなと感じるんですよ。いや、もしかしたら日本人だけじゃなく人間というものが苦手なのかもしれませんけど。

そうなんですよね。例えば「コンビニに売ってないもの」と問われた時、どうしても身近なもので考えてしまって、頑張っても「大工道具」ぐらいしか出てこない。でも本当は、月もAIも売ってないし、無限にあるはずなんです。

確かに得意ですし、好きですね。そういう意味で私は、自分の仕事は「企業の価値を抽象化して捉え直すこと」だと思ってるんです。皆が具体的に悩む部分を、少し引いた視点で捉える役割というか。…ただですね、自分のことになると途端に具体化しちゃうところがありまして(笑)。

サービス内容とか金額とか、具体的なところばかり考えちゃったりして(笑)。お客さんには「まず抽象化して考えないとダメですよ」なんて言っているのに。…ちなみに藤原さんから見て、抽象化した安田佳生ってどんな存在ですか?

う〜ん、それは難問ですね(笑)。安田さんを最初に知ったのはワイキューブ時代ですけど、「境目研究家」になられてからは、「雑談」をサービスとして提供されていたのが印象に残ってます。「得体のしれない面白さ」を感じてすぐに申し込みましたから。

でも安田さんは本当にすごいと思いますよ。多くの場合、着地点の曖昧な商品やサービスって、魅力が感じられない気がするんです。でも安田さんの考えるアイデアって、いろいろと抽象的なんだけどすごく面白そうなんですよ。

それはそうですね(笑)。そういう意味では、ある程度受け取りやすくする必要はあるのかもしれませんけど。ともあれ、正解もゴールもない部分こそが安田さんの最も得意とする部分でもあり、魅力でもあるんだと思います。

今は物事を抽象化したり、また具体化したり、またまた抽象化したり…っていう過程を自分の中で行ってるんですけど、本当はそれをお客さんと一緒にやりたいんです。抽象化までのプロセスを旅する……「抽象化旅行」とでも言いましょうか。
対談している二人
藤原 清道(ふじわら せいどう)
従業員満足度研究所株式会社 代表
1973年京都府生まれ。旅行会社、ベンチャー企業を経て24歳で起業。2007年、自社のクレド経営を個人版にアレンジした「マイクレド」を開発、講演活動などを開始。2013年、「従業員満足度研究所」設立。「従業員満足度実践塾」や会員制メールマガジン等のサービスを展開し、企業のES(従業員満足度)向上支援を行っている。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。