その134 サラリーマンの天国

ネット上は写真だの意見だのや音楽だのがたくさん流れていますが、
漫画なんかも過去のものは出版社が掘り起こしてコンテンツ化しているもので、
先日、自分も昔大ヒットしたことだけは知っていた
「サラリーマン何某」という破天荒な会社員の物語が目に留まり、
ちょっと見てみました。

大企業にコネで入ることになったら入社初日から重役に啖呵を切ったり、
ヤクザみたいな暴力のプロと殺し合い寸前のケンカをしたり、
サラリーマンってすごいな……と思いました。

たしか、わたくしもサラリーマンであるはずなんですが……。

そんな、サラリーマンである自覚を忘れるくらいに
サラリーマン生活にどっぷりつかって生きておりますと、
当然というべきか、周囲の方もほとんどがサラリーマンです。

世間には、フリーランスの方もいらっしゃれば
自営の方、経営者の方もいらっしゃれば
なにをやっているのかわからない方もいらっしゃる。

それぞれ、社会生活のシステムが違うからには
人生のジャンルがある程度異なっているわけですが、
最近の流行り文句で
あるコトバがサラリーマンしか使わないことに気がつきました。

それは、ふぁいなんしゃるいんでぺんでんすりたいあめんとあーりー、
通称「FIRE」です。

正確には雇用形態によらないものと思われますが、
サラリーマンをはじめとした雇われ人のうち、少なからぬ割合のひとが

「毎日イヤイヤ通っている勤め先と縁を切ってラクに暮らしたい」

という気持ちでいるであろうことを見事に掬い取った用語です。

しかし、その夢のFIREについて、
具体的に、誰が、何歳で、いくらのお金を持って実行するものなのかは
それを語る人によって徹底的にバラバラです。

人生で必要なお金の総量が一律に決められないのは当たり前ですが、
定義しか存在しないものに、イメージについては皆が共有できるというのは
ややもすればおかしな気がします。

たとえば、「幸せに生きていけるお金の心配のない人生とはなにか」を
いろいろな経営者の方に聞いてみたとして、
同じようなイメージが集まるでしょうか。
そもそも一定稼げている、成功されている方は、
生活を目的として働いている感覚ではないでしょうし。

では、なぜわたくしたちサラリーマンが
FIREというワードだけで盛り上がれるのか、と申しますと、

「毎日イヤイヤ通っている勤め先と縁を切る」

ことが実のところ最大の目的であるからに相違ございません。

勤め先は辞めれば辞められますし、その後も人生は続いてしまいます。
しかし、かつての古い世代が
「良い会社に入れば幸せになれる」となんとなく信じていたように、
いまは「お金に不自由しない状態で会社員でなくなれば天国に行ける」と
われわれはぼんやり信じているのです。
 

 

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著者自己紹介

「ぐぐっても名前が出てこない人」、略してGGです。フツーのサラリーマン。キャリアもフツー。

リーマン20年のキャリアを3ヶ月分に集約し、フツーだけど濃度はまあまあすごいエッセンスをご提供するカリキュラム、「グッドゴーイング」を制作中です。

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