その28 不完全で自由

年に2回くらいナイロンのバッグを買っているような気がします。
部屋のバッグを積みあがっている一角をいま見てきたのですが、
2回ではなかったかもしれません。
どれもいわゆるブランドバッグはなく、
実用的一辺倒のデイパック、リュックが中心です。

ハイブランドのバッグは汚れたりくたびれたりすると
頑張って使っている感が出てしまって、ややもすれば新しい安物より貧乏くさいので
ちょっと理不尽なのですよね。
ああ、でも、長年想い続けているモデルがひとつだけあるのですが、
機能性はダメだし当然すぐボロくなるようだし、
想っているうちが幸せなのがわかりすぎてつらい……

閑話休題(死語)、
リュックタイプのナイロンバッグは、近年は俄然おもしろいジャンルです。
以前は大人がオンの日に使うようなものではなかったのですが、
パソコンを持ち歩く前提になると手持ち・肩掛けよりはるかに機能的なので
すっかり定着しましたし、商品展開も盛んです。
ただし、デザインの面ではビジネス向けは
「黒一色」「四角」を前提としたデザインばかりで若干つまらんですが。

それでも、パソコン用のスペースをどう設定するか、
どれくらいの容量、用途を想定したものにするか、
小物入れをどう考えるか、防水をどの程度重視するか、
荷室やポケットにどうアクセスするか…
など、他のたとえばブリーフケース型のバッグと比較して
アレンジの幅が広く、容量の差以上にバリエーションが生まれやすいのです。

また、あまり第一要求になることはありませんが、
町で使うリュックのほとんどが満たしていない、
あるいはできなくはないが達成度合いが微妙な「機能」が「自立」です。

昔から、手持ちのビジネス鞄だと
両手をフリーにしたいときがあるのだから地面に置けてこそだろう、
などといわれたものですが、リュックだって同じように自立して置けると
これはイイと思う場面がいくらでもあります。

しかし自立する(しやすい)形というのは、
デザイン上は相当に制約になるものでもあります。
見た目も下を大きく、底を平らにと、スタイリッシュにはなりづらいものがあります。
便利なのは百も承知だけれど、自立を確保しようとすると
それが最優先になるほどの条件になるので、結果そこまでは追わない、
そんな機能なのです。

逆にいえば、なにもかも満たす製品はありえず、
いろいろな機能を取捨選択することで成り立っている製品ごとの特徴を生かす、
楽しむことがリュックの一番のおもしろさなのだと思います。

……だからまあ、一見同じようなものがふえてしまうってわけですわなあ。

 

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著者自己紹介

「ぐぐっても名前が出てこない人」、略してGGです。フツーのサラリーマン。キャリアもフツー。

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