その139 管理職

知人の職場では、中間管理職になった後、いろいろあって自分から降格する人が結構な割合で発生するそうです。いろいろ、というのは、ようするに人間関係などでメンタルにダメージを受けるということですが、こういった事例は事業内容や規模によらず、あらゆる会社、組織でめずらしいことではないと思います。

管理職とひと口に言っても、大量の人を束ねることを生業とした、文字通りのプロのマネジャーから、部下すら存在しない冗談のような名ばかり管理職まで、組織によって内実はさまざまでしょう。
しかし、その中で共通しているのは、組織は管理職という名のもとに、非管理職には求めない「何か」を義務として課しているということです。

「何か」とは、仕事の組織の場合、「成果」や「責任」ということになりますが、冒頭の例ではそれが日常的に耐えうるメンタルのキャパを超えることがある、ということです。

いまの若い人は何々しない、ということがいわれて久しいですが、昇進したがらない、管理職になりたがらない、ということものそのひとつであり、間近でそういった失敗例を目にしていたら、まあそこに行きつくのも一理あります。

これも長く言われていることですが、いちプレイヤーから始まり、主任、係長、課長にステップアップするといったキャリアマップはオワコン化が進んでいます。
「名ばかり管理職」に代表される、「責任量を増やすかわりの肩書」という職種の割り当てではもはや誰も幸せになれません。

経営者にプロ経営者が存在するように、中間管理職であってもプレイヤーとは別物の「プロ化」していくことが本来は理想なのでしょうが、少なくとも日本社会の大部分では、マネジメントを専門とするのは経営者自身であったり、それに近い層まで飛躍してしまいます。

現場レベルの人間が昇進して管理職となるとき、そこには「見よう見まね」というガイドブックしか置かれていないのです。

そんな環境でも上層部から評価される、実績を出せるのはどういう人かというと、たとえば

「部下をガン詰めできる人」

なのだそうです。
まあたしかに、そうであればマネジメントスキルがなくても実行できるし、ましてや自分が病むこともありませんしね。

当人以外、という違いをのぞいて、あいかわらず誰も幸せになれそうもないですが……。

 

 

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著者自己紹介

「ぐぐっても名前が出てこない人」、略してGGです。フツーのサラリーマン。キャリアもフツー。

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