今週は。
酉の市も終わり、
日々深まりゆく秋。
広葉樹の枝々からは、
濃く色付いた葉が一枚また一枚と、
さよならも言わずに落ちていく。
小春日和に恵まれた先週の日曜日、
久しぶりにのんびりと
鎌倉駅前の書店まで歩いた。
朝比奈街道から、
八幡宮の境内を通って小町通りへ。
いまは映画記念館になった
川喜多邸の前を通り、
小さな踏切を渡ると、
正面に鎌倉五山第三位の寿福寺。
かつて今小路と呼ばれていた通りを
駅の方へ歩きかけていくと
左に小さな看板があるのが目に留まった。
焼き菓子のお店のようであるが
カフェも併設しているらしい。
ちょっと気になって、
書店の帰りに立ち寄ってみる。
予想通り、珈琲が美味しい
居心地の良いお店だった。
帰り際、レジで
店主と思われる女性に尋ねた。
-こちらのお店、新しいの?
―1年ほど前からやっています。
―そう、気がつかなかったな。
―お店をあけるのが不定期なんですよね。
-へー、それでかな。
“くせ”で店名の由来を尋ねる。
―TOROkkoって、
あのトロッコのことだよね。
どうしてトロッコなの?
-そうですよね。
どこにもトロッコらしいところがないから。
-うん。
-じつは、ここは2軒目で
最初にお店を出したのは北鎌倉だったんです。
北鎌倉ってほら…。
あ、鎌倉の方ですか?
-うん。
-ならわかりますよね。
あそこって結構な山じゃないですか。
お店は山の上の方にあったんですが、
すごい急な坂で。
-うん、うん。
-その感じが、以前
鹿児島に旅行したときに乗った
トロッコ列車からの眺めに似ていて。
知らなかったが、鹿児島には、
薩摩焼酎の運搬に使われていた
トロッコ列車がいまも
走っている街があるらしい。
なるほど。それで合点がいった。
-美味しい珈琲をごちそうさま。
また来ますね。
-はい。お待ちしています。
お気をつけて。
トロッコを降りると、辺りはもう真っ暗。
私は歩きながら
次回のブログの書き出しを考えはじめている。