変と不変の取説 第76回「子会社の社長は誰?」

「変化だ、変化だ、変化が大事だ」とみなさんおっしゃいますが、会社も商品も人生も、「変えなくてはならないもの」があるのと同様、「変わらないもの」「変えてはならないもの」もあるのです。ではその境目は一体どこにあるのか。境目研究家の安田が泉先生にあれやこれや聞いていきます。

 第76回「子会社の社長は誰?」

前回、第75回は「絶滅危惧種は誰?」

安田

政治家を目指す人は「国を動かしたい」「歴史に名前を残したい」って気持ちが、少なからずあるわけでしょ。

あるでしょうね。

安田

でも日本の政治家は「選挙しか見てない」「アメリカのご機嫌伺いだ」って言われてますよ。

言われてますね(笑)

安田

結局、何が目的で政治家になるのか。正直よく分からないんですけど。お金儲けって感じでもないし。

うーん。

安田

たとえば安倍さんって、トランプに気に入られてて、選挙にも強いですけど。やってて楽しいんですかね。

楽しそうな顔には見えないですね。苦しそうな顔ですよ(笑)

安田

ですよね(笑)

ヤジも飛ばしてるし。ヤジ飛ばすってことは、かなり精神的にしんどいんです。

安田

小泉元首相は郵政民営化をやり切って「もういいわ」って辞めちゃったでしょ。

はい。

安田

あっちのほうが分かりやすいっていうか。安倍さんは何をやりたくて首相をやってるのか。だって執着してるっちゃ執着してるじゃないですか。首相という立場に。

してますよね。

安田

かといって「この国を変えたい!」みたいなのも感じないし。憲法改正とは言ってますけど、それに人生を賭けてるようにも見えない。

世間に動かされてる感じがします。

安田

世間に?でも民意を反映してるようには見えませんけど。

民主主義なので民度を反映してるわけです。つまり鏡になってる。

安田

鏡ですか。

われわれ国民はみんな世間に動かされて流されてる。その象徴みたいな存在。

安田

なるほど。ということは普通の国民と変わらないってことですか?総理大臣も。

そうです。普通の国民と同じ。

安田

でも一応、日本国のトップじゃないですか。「アメリカの言いなりになってるぞ」とか「中国との関係どうするんだ?」とか。考えないんでしょうか。

考えてるとは思いますよ。

安田

そしたら「自分がやらないと、この国の未来はないぞ」ってなりませんか。

あまりにもキャパが小さすぎて「その課題は自分の範疇を超えてる」と感じるんじゃないですか。

安田

範疇を超えてる?日本国総理大臣なのに。

はい。

安田

じゃあ、普通のオッチャンが総理大臣になっちゃった感じですか?

そうでしょうね。学校でも「なんでこんなヤツが学級委員長?なんで生徒会長やってんの?」ってあるじゃないですか。みんなが選んだのに。

安田

確かに。ありますね。

あんな感じじゃないですか。

安田

そういえば面接で「生徒会長やってました」「えっ、君が?!」みたいな人がいました。

でしょ。生徒会長にしては器が小さいというか。

安田

はい。めちゃくちゃ優秀ってわけでもないし。あれって、どういう理屈で選ばれるんですかね。

いろんな領域において「無難な人」を選んでるんでしょうね。

安田

無難な人?

最大公約数的にまとまるというか。

安田

はー、なるほど。でも、安倍さんを選んでるのは国民じゃなく自民党員ですよ。

彼らは次の選挙に勝てそうな人を担いでるだけ。

安田

まあそうですよね。じゃあ安倍さんは選挙の顔として無難だってことですか?

日本という国は無難にやっておけばうまくいくので。無難リーダーがいい。

安田

そんなのでいいんですかね。

これまではそれでよかったんですよ。これからは無理でしょうけど。

安田

でも戦後の日本なんて、すごく大変な時代だったはずですけど。

その頃はもっと気概のある政治家がリーダーをやってました。

安田

じゃあ、いつ頃から無難な人が選ばれるようになったんですか?

やっぱりバブルはじけた後ぐらいじゃないですか

安田

平成になってからですか?

はい。

安田

だから、ずっと横ばいってことですか。

そういうことです。無難な人なので。上も行かんし、下も行かんし、現状維持みたいな。

安田

じゃあ自民党員は現状維持をめざしてると?

自民党員は、やっぱり「無難」を求めてるんですよ(笑)

安田

じゃあ、ある意味大企業の幹部と同じですか?

まったく一緒ですね。

安田

サラリーマン経営者と一緒?

一緒です。だからサラリーマン経営者っぽいじゃないですか、安倍さんって。

安田

国のトップですよ?

日本のトップは“サラリーマン”でいいんですよ。株主がアメリカなので。

安田

やっぱ株主はアメリカですか。

もちろんそうです。

安田

国民じゃなく?

国民もみんなサラリーマンなんですよ。日本は総サラリーマン化されてる。

安田

なんと!

だから自主自立してない。

安田

でも「株」に相当するものって何なんですか?アメリカが日本国の株を持ってるわけではないし。

やっぱり軍事を握ってること。それと、戦争で負けたあとにメンタリティも握った。

安田

「メンタリティを握る」ってどういう状態なんですか。「逆らえない」ってことですか?

逆らえない気持ちになってるってことです。

安田

そんなことできるんですか?

たとえば学校に「恐怖」で支配してる先生がいるとしますよね。

安田

はい。

一度「恐怖」に支配されると、その先生がいなくなっても逆らえなくなる。

安田

なるほど。恐怖を植え付けられてると。

恐怖と憧れですね。GHQとマッカーサーがそれを洗脳した。「俺らのおかげで民主化できた」「戦争で負けたけど復活した」「そのきっかけをつくったのはアメリカやで」というプロパガンダで。

安田

たしかに憧れがありました。アメリカに対する。

「憧れ」と「恐怖」と両方で縛ってるから自主自立できない。

安田

じゃあ日本国総理大臣って、いったい何なんですか?

まあ子会社の社長みたいなもんですね。


場活師/泉一也と、境目研究家/安田佳生
変人同士の対談


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第1回:「変わるもの・変わらないもの」
長い間、時間をかけて構築された、感覚や価値観について問い直します。

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