変と不変の取説 第78回「人口をコントロールするもの」

「変化だ、変化だ、変化が大事だ」とみなさんおっしゃいますが、会社も商品も人生も、「変えなくてはならないもの」があるのと同様、「変わらないもの」「変えてはならないもの」もあるのです。ではその境目は一体どこにあるのか。境目研究家の安田が泉先生にあれやこれや聞いていきます。

 第78回「人口をコントロールするもの」

前回、第77回は「地方を変えるのは誰?」

安田

地球の人口は70億を超えたんでしたっけ?

それはもう10年ぐらい前ですね。今は80億に近いです。

安田

恐ろしい数ですね。日本では「人口減少で大変なことになる」って騒いでますけど。

世界的には増え続けてます。

安田

地球上の大型動物も、今やほとんどが家畜という状態らしいです。

家畜の数は野生哺乳類の20倍と言われています。つまり哺乳類の95%は家畜。

安田

植物も大半がトウモロコシとか小麦とか米とか。つまり人間がらみの動物や植物で覆い尽くされてるわけですよ、地球が。

異常な状態ですよ。動物を全部集めた重量の3分の1が人間らしいですから。

安田

えっ!そうなんですか!?

はい。3分の1が人間で3分の1がアリ。

安田

すごく偏った絵柄ですね。

アリはともかく人間は多すぎですね。宇宙から見ると夜もずっと灯りがついてるし。

安田

今さら「ウミガメを助ける」とか言ったところで、たかが知れてるわけで。

このままいったら人工物で地球は覆い尽くされます。

安田

最終的にはどうなると思います?人間は増え続けますか。

2040年には100億と言われてますね。

安田

地球が許容できる人間の数って、どこかに限度がありそうですけど。

人間が増えると家畜や穀物も増えますから。

安田

「これ以上人間を増やすな」というメッセージが地球から出てきそう。

地震やハリケーンのような天災で適正人口に戻されるんじゃないですか。コロナだってそうかもしれない。

安田

何人ぐらいが適正なんでしょうか?

僕らが子どものときって30億とか40億とか、そのぐらいでしたよね。

安田

そんなイメージです。

それが倍近くになり、今でほぼピークじゃないですか。

安田

やっぱ既にピークなんですかね。コロナや異常気象を見てると、そんな気もします。

私もそう感じます。

安田

でも物理的には、まだまだ人間が住んでない地域のほうが多いですよ。

物理的な限界の前に別の限界がくると思います。

安田

たとえば食料とか?

食料ではないと思います。

安田

食料も限界がきませんか?無機物から有機物をつくり出すことはできないし。

養殖はできますから。

安田

でも養殖だって限界がありますよ。すでに95%が家畜ですし。

虫とか。「虫のタンパク質はええで」って感じで。成長も早いし。

安田

虫ですか!

あり得ますよ。このまま人間が増えていったら。

安田

食料以外では何が引き金になるんでしょう。

水じゃないですか。

安田

水ですか。

きれいな水。

安田

海水を真水にする技術があるらしいですよ。

ありますね。

安田

水と空気と食料があれば、人間は生きていけますけど。

生きていくことは可能です。

安田

じゃあ科学が究極的に進歩したら、500億とか1,000億の人口に到達する可能性もある?

日本の人口が減ってるように、地球もどこかでそうなるんじゃないかと私は思ってます。

安田

物理的に「食料がない」「水がない」ってことではなく?ウイルスなり、人口が増えない病気なり、何かが起こる?

前回、精子が減っていくという話をしましたけど。何らかの調整が起こるような気がします。チューニングされていくというか。

安田

それは地球によるチューニングですか。

おそらくそうでしょう。

安田

今は不妊治療もすごい技術ですよ。何があっても科学の力で子どもをつくり続けるかもしれない。

技術は進歩していくでしょう。

安田

人間と自然との戦いみたいなものが起こる?

私はそうならないと思います。技術云々ではない淘汰が起こる。

安田

レミングという動物は、増えすぎると海に飛び込んで自殺するそうです。自然淘汰じゃなく“自分淘汰”が始まる。

日本もそれに近いですよね。

安田

自殺が増えてるってことですか。

いま日本の人口が増えないのは、たぶんメンタリティの問題。

安田

それはどういう?

未来に希望が持てないとかワクワクしないとか。子どもをつくって増やしていく気力がなくなってきてる。

安田

希望が持てないから子どもをつくらないと。

未来に対する希望はすごく影響します。「これからもっと豊かになって、幸せになっていくで」みたいなのがないと。

安田

でも先進国ほど出生率は下がってますよ。アフリカのように食べるものがない国でたくさん子どもが生まれる。

それは生物としての防衛本能でしょうね。

安田

「たくさん産まなきゃ生き残れない」みたいな。

はい。だから生活水準が上がれば出生率は落ちていく。

安田

それって矛盾しませんか?

どうしてですか?

安田

だって生活水準が上がれば、未来への希望も膨らむのでは?

いや、それは別でしょうね。

安田

生活水準と未来への希望は別だってことですか?

はい。日本も生活水準が上がって出生率が下がったじゃないですか。

安田

確かに。じゃあ未来への希望って何なんですか?

今より良くなること。

安田

それは生活水準ではなく?

生活の便利さとかテクノロジー云々ではなく、幸せかどうか。

安田

じゃあ幸せって何なんですか?

わかりません(笑)

安田

え!

でも今向かっている先に、幸せを実感できてないってことは確かです。


場活師/泉一也と、境目研究家/安田佳生
変人同士の対談


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第1回:「変わるもの・変わらないもの」
長い間、時間をかけて構築された、感覚や価値観について問い直します。

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