第81回「割とすぐかも、自動運転」

このコラムについて
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未来コンパスが、あなたの知らない未来を指し示します。

 第81回  「割とすぐかも、自動運転」

妻の実家がある滋賀県に帰省すると、地域バスの廃止案内が出ていました。
過疎地における交通難民のニュースを聞いたことはありましたが、身近な場所で実際に交通インフラが無くなるのを目にすると、衝撃というか、街が少しずつ消滅していくかのような怖さがありました。

ところで、第6回のコラムにて、自動運転について書きました。
自宅と最寄り駅を自動運転車が繋ぐことで、“駅近”がカバーする範囲が広がること。それにより、マンションの資産価値と駅近の関係が変わる可能性について触れています。

未来コンパスが指すミライ

改めて考えてみると、過疎地にこそ自動運転車はフィットするし、必要でもあります。
国土交通省は、高齢化が進む中山間地域(平野の周辺部から山間部)において、2017年より自動運転サービスの実証実験をしてきました。同省の研究所が2021年に発表した資料「一般道路における自動運転サービスの社会実装に向けた研究」には、自動運転の障害となる要因が特定されています。
その要因は「路上駐車」が最も多く17%。第二位の「GPS等の不具合(12%)」を大きく上回っています。技術的な不具合よりも、ある意味では人的要因による障害が自動運転を妨げているという事実です。
これは、重要なポイントであり、自動運転実現に向けて希望の持てるポイントでもあります。
人的要因の路上駐車問題は、思いのほかスムーズに解消できる可能性があるからです。

実は、自動運転バスが地域に根差し始めている地区があります。茨城県堺町です。堺町は、低速の自動運転バスを2020年10月より定常運行させていますが、これにより路上駐車がほとんど無くなったと言われています。自分たちの足となる自動運転バスを妨げる路上駐車を、住民が率先して辞めたというのです。ユーザーが意識を変えれば、人的要因による障害を解消できるという実例です。

境町において、自動運転バスのサービスを提供しているのはBOLDLY株式会社というソフトバンクの子会社です。BOLDLY社は、利用者が少ないエリアでも利用し易いスケジュールでバスを運行する管理システムに関する特許を出願しています。過疎地や中山間部での自動運転は、今後さらに便利になっていくものと思われます。


特開2021-068368号(出願人:BOLDLY株式会社、スズキ株式会社)
【発明の名称】運行管理装置、運行管理方法、および端末


自動運転車が走るミライはまだまだ先だと思っていましたが、認識を改めないといけないようです。中山間部では既にバスの運行がされ始めていますし、案外ここ数年で都市部でも自動運転車両が走るようになるかもしれませんね。

 

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 この記事を書いた人  

八重田 貴司(やえだ たかし)

外資系企業/法務・知財管掌。弁理士。
会社での業務とは別に、中小・ベンチャー企業への知財サポートをライフワークとする。クライアント企業が気づいていない知的財産を最大化させ、上場時の株価を上げたり、高値で会社売却M&Aをしたりと言った”知財を使って会社を跳ねさせること”を目指す。
仕事としても個人としても新しいビジネスに興味があり、尖ったビジネスモデルを見聞きするのが好き。

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