第97回「仮想空間での意匠権」

このコラムについて
世の中の情報は99%が「現在」または「過去」のものでしょう。たった1%の未来情報をつかめる人だけが、自分のキャリアやビジネスを輝かせるのです。でも、未来情報なんか手に入らないよ!と思ったアナタ。ご安心を。もしアナタが古い体質の会社に勤めているなら超ラッキー。そんな会社の経営者ならビジネスがハネるかも。

未来コンパスが、あなたの知らない未来を指し示します。

 第97回  「仮想空間での意匠権」

第95回のコラムでメタバース上の商標権についてお伝えしました。
今回ご紹介するのはメタバース上の意匠権について。すでに登録されているデザインがありました。


意匠登録第1692265号(権利者:三菱電機株式会社)
【画像図】

【変化した状態を示す画像図】


メタバース上で行うセミナーやプレゼンのシーンについて、三菱電機が画像の意匠権を取得していました。実線であらわした部分が意匠権の範囲になるので、発表者やスクリーン上のコンテンツ等にかかるデザインは、権利に含まれません。一方で、聴講者を模したアバターも含めて権利が取られていますね。

未来コンパスが指すミライ

この権利が取得されたということは、セミナーなどの情報までもがメタバース上でやり取りされるだろうということです。メタバース上で、セミナーが当たり前のように普及するのでしょうか。

メタバースとは違う観点から考えてみました。それは、コロナとマスクの観点です。
コロナ禍でマスク着用が当たり前になったことに伴い、“マスクなし”の顔を見せることに抵抗を感じる女性が増えていると言います。これまで「化粧した顔はOKだけど、すっぴんはNG」という方が多かったように思いますが、それが「マスク有りOK、マスク無しNG、すっぴんNG」という考え方に置き換わっているようです。

もしメタバースが普及した場合、人々の“顔みせ”に対する考え方に変化はおきるでしょうか。アバターなら他人に見せられるけど、マスクや化粧の有無に関わらず、自分の素顔は見せたくないという感覚になるでしょうか。特に10~20代の若い世代において、素顔を出したくない人達が一定数でてくるだろうと私は予想します。「リアルのセミナーはもちろん、オンラインセミナーも出欠確認に顔出しが求められるので気が引ける。ならば、メタバース上のセミナーを受けたい。」というユーザーが出てきても不思議ではありません。
予備校や学習塾のサービスでも同じことが起こり得ます。メタバースなら先生との質疑ができるので、単なる動画授業とは異なる学習効果が得られるでしょうし、仲間とのコミュニケーションもチャット以上に盛り上がるでしょう。顔出ししたくない10代に訴求できそうです。

こう書いていると、現実世界のさまざまな商品・サービスがメタバース上でも再現されるのが当然のように思えてきます。もし実現すれば、まっさらな市場が立ち上がるという事なので、企業がメタバース上の商標や意匠についての権利を取り始めているのも納得です。

 

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 この記事を書いた人  

八重田 貴司(やえだ たかし)

外資系企業/法務・知財管掌。弁理士。
会社での業務とは別に、中小・ベンチャー企業への知財サポートをライフワークとする。クライアント企業が気づいていない知的財産を最大化させ、上場時の株価を上げたり、高値で会社売却M&Aをしたりと言った”知財を使って会社を跳ねさせること”を目指す。
仕事としても個人としても新しいビジネスに興味があり、尖ったビジネスモデルを見聞きするのが好き。

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