「遊んでいるかのように働きたい」をモットーに、毎日アロハシャツ姿で働く“アロハ美容師”こと岩上巧さん。自身が経営するヘアサロン「mahaloco(マハロコ)」には、岩上さんしか実現できない<ココロオドル髪型>を求め多くのお客様が訪れます。その卓越したビジネスセンスの秘密に、ブランディングの専門家・安田佳生が迫る対談企画です。
第17回 「定額通い放題」ができる美容室

岩上さんの美容室『マハロコ』には「パスポート制」と「チケット制」があるとお聞きしました。これはどういうものなんです?

お客様の髪の悩みに対して、もっと細かく、もっと日常的にフォローしていきたいなという想いがあって。それで2010年頃から始めました。「カットとかカラーを頼むほどではないけど、ちょっと整えてもらいたい」みたいなときってあるじゃないですか。

ええ。まず1つ目は、「お客様がどういうタイミングで、どんな施術を受けたくて来店されるのか」ということ。2つ目は、「スタッフがお客様の来店周期をきちんとコントロールすることができるのか」ということです。

そうですそうです。僕の意図はまさにそこ。つまりスタッフにお客様への「提案力」を身に着けてもらいたかったんです。例えばお客様が「カットで」とオーダーされても、あえて「カラーも挑戦しませんか?」とか「ここにパーマをかけるとセットが楽になりますよ」と言えるかどうか。

それまではきっと「お客様のご要望に100%応える」ことこそが、美容師の仕事だと信じて疑っていなかったんですね。でもお客様からの要望がエスカレートしていくことで、だんだんと奴隷のようになってしまったわけです。

ええ。でも、嫌になったからこそ、「どうにか改善しよう」という気持ちが働くようになった。それで徐々に「次はこのメニューをやってみましょう」「次回はこれくらいの期間を空けてから来てください」とご提案できるようになってきて。で、それに応じてお客様にも変化が出始めた。要するに、「美容師の提案を受け入れてくれるお客様」だけが残っていったんです。

そういうことです。まぁそんなこんなで、通い放題の期間をちょっとずつ延ばしてみたり、無料で利用可能なメニューを整理したりしながら、最終的に「半年で13万2000円」というパスポート制ができあがりまして。

僕が担当するお客様は、だいたい1回の施術で8〜9枚ほどですかね。

もちろん問題ないですよ。中には「娘が頻繁に使っちゃうから、私はホームカラーしながら、カットとハウオリだけチケットを使うことにするわ」なんていうお母様もいらっしゃいますから(笑)。
対談している二人
岩上 巧(いわかみ たくみ)
アロハ美容師/頭髪改善特許技術発明者/パーソナルブランディングプロデューサー/株式会社 OHANA 代表
美容専門学校卒業後、都内のサロンに就職するも、オーナーと価値観の違いから大喧嘩し即クビに。出身地である水戸に戻り実家の美容室で勤務しながら技術を磨き、2008年自身のヘアサロン「mahaloco(マハロコ) 」をオープン。結婚式のプロデュースやイベント企画なども行うパーソナルブランディングプロデュースサロンとして人気を博す。2014 年、髪質改善技術「美髪矯正 hauoli®(2021 年特許取得)」を開発。「まるでハワイで暮らしているように」をテーマに、毎日アロハシャツを着、家族・仲間・お客様と共にハワイアンライフを満喫中。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。