「遊んでいるかのように働きたい」をモットーに、毎日アロハシャツ姿で働く“アロハ美容師”こと岩上巧さん。自身が経営するヘアサロン「mahaloco(マハロコ)」には、岩上さんしか実現できない<ココロオドル髪型>を求め多くのお客様が訪れます。その卓越したビジネスセンスの秘密に、ブランディングの専門家・安田佳生が迫る対談企画です。
第32回 お客さんの希望をなんでも叶えてくれる場所

マハロコは美容室や飲食店などの垣根を超えて、もはや「マハロコという独自の世界」を作っていますよね。ただ多くの経営者は「世界観で売る」ってことが苦手なんですよね。言い方を変えると、抽象度を上げてビジネスを考えられないというか。

先代がやっていたことを、そのまま「当たり前のこと」として受け入れているんでしょうね。もっとも僕は子どもの頃から「なんで美容室という看板じゃなきゃいけないんだろう」と思ってたタイプでしたけど(笑)。

いや〜、そこが不思議なんですよ。生まれ育ったご実家が美容室で、つまり岩上さんも「2代目」ですよね? そんな環境で育ちながら、なぜマハロコのように「美容室の枠」を超えた場所を作ることができたんですか?

例えば結婚式の二次会プロデュースの仕事は、結婚式のヘアメイク相談に乗っている時に「二次会どうしようかな〜」と相談されたのがきっかけです。

そりゃそうでしょうね(笑)。でも話を聞いてたら「じゃあ僕がやろうか?」となっていって。他にも、洋服屋さんをやっているお客様から「この店、展示会の会場によさそうだなぁ」って話が出たので、「じゃあやっちゃう?」みたいな(笑)。

なるほどなぁ(笑)。なんというか、「お客さんの要望があった」というのは事実なんでしょうけど、それをスルーせず、自分ごとにして実現しちゃうのが「いかにも岩上さん」って感じです。「お客さんがどうしたいのか」に真剣に寄り添った結果というか。

どうでしょうかねぇ(笑)。でも皆さんスタッフとのコミュニケーションに心地よさを感じてくださっているのは確かですね。実際に施術するスタッフだけでなく、アシスタントの子たちもすごく可愛がってくださるんですよ。

ある時「〇〇君、そろそろシャンプーしてくれない?」ってアシスタントの子に声をかけてくれたお客様がいて。「今日、お着替えをお持ちだったらやることもできますけど(笑)」って僕が冗談で言ったら、「着替えはないけどやってみようかな」って仰ってくださって。

そうそう(笑)。そういうお店だって、岩上さんと同じように「お客さんに寄り添って、お客さんが喜ぶものを提供している」わけじゃないですか。でも、そんな努力に見合う儲けがあるかっていうと、あんまりない気がして。一方、マハロコはちゃんと儲かっている。この違いって何なんでしょうね?

だからこそ、枠にとらわれず柔軟にビジネス展開ができている、ってことなんだと思います。だから僕としてはこれからも「世界」や「場」としての魅力をさらに上げていきたいなとは思っています。
対談している二人
岩上 巧(いわかみ たくみ)
アロハ美容師/頭髪改善特許技術発明者/パーソナルブランディングプロデューサー/株式会社 OHANA 代表
美容専門学校卒業後、都内のサロンに就職するも、オーナーと価値観の違いから大喧嘩し即クビに。出身地である水戸に戻り実家の美容室で勤務しながら技術を磨き、2008年自身のヘアサロン「mahaloco(マハロコ) 」をオープン。結婚式のプロデュースやイベント企画なども行うパーソナルブランディングプロデュースサロンとして人気を博す。2014 年、髪質改善技術「美髪矯正 hauoli®(2021 年特許取得)」を開発。「まるでハワイで暮らしているように」をテーマに、毎日アロハシャツを着、家族・仲間・お客様と共にハワイアンライフを満喫中。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。