「遊んでいるかのように働きたい」をモットーに、毎日アロハシャツ姿で働く“アロハ美容師”こと岩上巧さん。自身が経営するヘアサロン「mahaloco(マハロコ)」には、岩上さんしか実現できない<ココロオドル髪型>を求め多くのお客様が訪れます。その卓越したビジネスセンスの秘密に、ブランディングの専門家・安田佳生が迫る対談企画です。
第34回 毎朝5時から波乗りする美容師
今日は岩上さんのプライベートに迫らせていただこうかと。岩上さん、聞くところによると毎朝サーフィンされているんですって?
最近は夜に「ハウオリ相談会」が増えてきたこともあって、毎朝必ずとはいきませんけどね。それでも週に3〜4回は行ってるんじゃないかな。
へぇ〜すごい! もはやプロサーファーですね(笑)。何時頃から海に出るんですか?
特に時間は決めてないですね。仕事に間に合うよう「7時半まで」と終わりだけ決めてますけど。2時間は乗りたいので、5時とか5時半くらいには着くことが多いと思います。
ふ〜む、なかなか早いですね。となると起床時間は?
僕、サーフィンに行くかどうかに限らず、毎日4時過ぎには起きるようにしているんですよ。まあその分、夜は早めに9時とか10時には寝ることにはなるんですけど(笑)。
ははぁ…私も夜9時には寝てますけど、朝7時までぐっすりですよ(笑)。お話を聞いていると、岩上さんって「サーフィンに行くこと」に合わせて生活されているみたいですね。
言われてみるとそうかもしれませんね。9時半の出勤に間に合うよう、サーフィンの時間や支度の時間を逆算しているので。
なるほどなるほど。ちなみにいつからそういう生活スタイルになったんですか?
コロナ渦からですね。というか僕、コロナ渦前にはサーフィンなんて全然やってなかったんですよ(笑)。
え、そうなんですか!
はい(笑)。そもそもウェディングパーティーや結婚式の二次会なんかの企画をやっていた頃って、仕事が終わるのがかなり遅かったんですよ。それこそ日をまたぐ時もあったりして。
ははぁ、そんな生活だったらさすがに朝4時には起きられませんね(笑)。
ええ、出勤に間に合う時間ギリギリまで寝ていました(笑)。
でもある意味、コロナのおかげでハードワークから抜け出せたわけじゃないですか。せっかくゆっくり休めるようになったのに、なんでまた4時に起きてまでサーフィンするようになったんですか?
もともとのきっかけは娘だったんですよ。4年前の6月に「サーフィンやりたいんだけど」って言われて、ちょうど使っていないボードもあったので「じゃあ一緒にやってみる?」って。
いいですね〜。娘さんと一緒に始められたと。じゃあ今もお2人で海に行ってるんですか?
いえ、娘は寒くなってきた頃に「私はもういいわ~」ってやめちゃいました(笑)。
そうだったんですね(笑)。だけど岩上さんはそのまま続けていると。
ええ(笑)。サーフィン自体が面白かったってのは当然あるんですけど、そもそも当時はすごく時間が余っている時期で。コロナの影響で、ウェディングだけじゃなく、美容の仕事も本当に暇だったんです。ハウオリを教えるための出張も全部なくなっちゃったし。
なるほどなるほど。その余った時間をサーフィンに充てたということなんですね。確かに岩上さんはじっとしているのが嫌な性分な気がします(笑)。ちなみにサーフィンは誰かから教わっていたんですか?
誰に教わるわけでもなく、とりあえず見様見真似で…という感じでした(笑)。だからサーファーの「暗黙のルール」も知らなくて、よく怒鳴られたりもしましたよ(笑)。
へぇ、そんなものがあるんですね。例えばどんな?
誰かが既に乗っている波には他の人は乗っちゃいけない、とか。でも、上手な人たちがどんどん乗っていっちゃうので、下手な人はず~っと乗れないままで(笑)。
は〜、ただ海の中でプカプカ浮いているだけと(笑)。
そうそう(笑)。だから海に入る時間を早めていったんです。暗いうちなら人もいないから、ルールなんかも関係なしに好きに練習できるだろうって。
ということは、苦肉の策で「早朝サーフィン」に行き着いたわけですね(笑)。
そうなんです(笑)。でも毎朝行っていることで顔見知りも増えまして。だからこそここまで続けてこられたんだと思います。
なるほどなぁ。とは言え、今はもうコロナも落ち着いてますし、岩上さんだって以前のような忙しさが戻ってきたと思うんです。それなのになぜ未だに「早朝サーフィン」を日課にしていらっしゃるんですか?
それはもうズバリ、行った方が調子がいいから。その一言に尽きます。
これが不思議なことに、30分でも1時間でも海に入った方が、脳がクリアになるんですよ。なんていうか、1日の中に「自然と触れ合う時間」がある方が調子がいいんです。
ははぁ、なるほど。運動自体というより、海に入ることが重要なんですね。
そうそう。というのも、僕は長年同じ場所でルーティンで仕事をしていて、しかもお客様も9割方リピーターなんです。だからもはや自分がコテンパンにやられることなんてほぼない。
ああ、なるほど。わかる気がします。それは心地いいことではあるけれど、成長実感が感じられなくなっちゃうんですよね。マンネリに陥っちゃうというか。
そうそう。でもサーフィンは違う。思うように波には乗れないし、他の人から怒鳴られるし(笑)。仕事では味わえないような理不尽な経験ができるわけです。
理不尽な経験が“できる”か…なるほど。実際そういう経験が仕事にも生かされてくるんでしょうしね。
そうなんですよ。僕たち美容師も含め、クリエイティブな仕事をしている人って室内にこもりがちになっちゃうじゃないですか。たくさんインプットしなきゃいけない人ほど、それがおろそかになっちゃうんです。
あぁ、確かに。私も一日家から一歩も出ない日があります(笑)。
ですよね(笑)。だからサーフィンでも山登りでもなんでもいいんですが、自然と触れ合う時間を意識的に作るといいんじゃないかなと思っています。その方が絶対にクリエイティビティがアップすると思うので。
なるほど。さすがにサーフィンはハードルが高いですが(笑)、私も何か工夫してみたいと思います!
対談している二人
岩上 巧(いわかみ たくみ)
アロハ美容師/頭髪改善特許技術発明者/パーソナルブランディングプロデューサー/株式会社 OHANA 代表
美容専門学校卒業後、都内のサロンに就職するも、オーナーと価値観の違いから大喧嘩し即クビに。出身地である水戸に戻り実家の美容室で勤務しながら技術を磨き、2008年自身のヘアサロン「mahaloco(マハロコ) 」をオープン。結婚式のプロデュースやイベント企画なども行うパーソナルブランディングプロデュースサロンとして人気を博す。2014 年、髪質改善技術「美髪矯正 hauoli®(2021 年特許取得)」を開発。「まるでハワイで暮らしているように」をテーマに、毎日アロハシャツを着、家族・仲間・お客様と共にハワイアンライフを満喫中。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。