「遊んでいるかのように働きたい」をモットーに、毎日アロハシャツ姿で働く“アロハ美容師”こと岩上巧さん。自身が経営するヘアサロン「mahaloco(マハロコ)」には、岩上さんしか実現できない<ココロオドル髪型>を求め多くのお客様が訪れます。その卓越したビジネスセンスの秘密に、ブランディングの専門家・安田佳生が迫る対談企画です。
第5回 美容師に求められるコミュニケーション術

そうですね。「マハロコ」の若いスタッフにも「どんなコミュニケーションを取ればいいんでしょうか」ってよく相談されるんですよ。

ええ。気持ちはわかるんですけど、本当にお客さんの満足を高めたいなら、毎回しっかり向き合った方がいいと思います。それに、これはお客さん側だとわからないかもしれませんが、美容師がお客さんから引き出すべき情報というのもあって。

そうですそうです。かといって、お客さんが始めた世間話を遮るわけにもいかないでしょう? だからその世間話からスムーズにヘアスタイルやカラーの話に持っていく。そういうトーク技術も必要になってくるんです。

まさにそういうことです。ただ最近は少し状況が変わってきてまして。安田さん、ホットペッパービューティーはご存知ですか?

その髪型にしたいと思った理由やプロセスを聞くことで、もしかしたらその人に本当に合う別の髪型を提案できるかもしれない。そんな風に考えるわけです。それにね、自分の個性や魅力って、意外と本人はわからなかったりするんですよ。

そうですそうです。実際、美容院に来られるお客さんって「気になる芸能人やSNSなどで見つけた髪型にしたい」っていうリクエストって多いんです。もちろんそれが悪いわけではないんですけど、みんながみんな同じ髪型にしていたらもったいないというか。

ああ、松田聖子さんの「聖子ちゃんカット」とかってことですよね。古い時代の例えですみませんが(笑)。あの時代は似合う似合わないは関係なしに、みんなこぞって聖子ちゃんカットにしていましたもんね。

それがまた課題だなぁと思っていて。と言うのも安田さん仰るように、「完成された髪型」を買ってもらう方が楽だ、その方がお客さんも喜んでくれるしリピートもしてくれる、と考えている美容師さんはすごく多いんですよ。

仰るとおりです。さらに言えば、ヘアスタイルはその人のごく一部に過ぎないわけで。もっと「その人全体」を知って、つまり服の好み、仕事内容、趣味、ライフスタイルなども考えながらパーソナルブランディングをしていけたらなと。
対談している二人
岩上 巧(いわかみ たくみ)
アロハ美容師/頭髪改善特許技術発明者/パーソナルブランディングプロデューサー/株式会社 OHANA 代表
美容専門学校卒業後、都内のサロンに就職するも、オーナーと価値観の違いから大喧嘩し即クビに。出身地である水戸に戻り実家の美容室で勤務しながら技術を磨き、2008年自身のヘアサロン「mahaloco(マハロコ) 」をオープン。結婚式のプロデュースやイベント企画なども行うパーソナルブランディングプロデュースサロンとして人気を博す。2014 年、髪質改善技術「美髪矯正 hauoli®(2021 年特許取得)」を開発。「まるでハワイで暮らしているように」をテーマに、毎日アロハシャツを着、家族・仲間・お客様と共にハワイアンライフを満喫中。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。