「遊んでいるかのように働きたい」をモットーに、毎日アロハシャツ姿で働く“アロハ美容師”こと岩上巧さん。自身が経営するヘアサロン「mahaloco(マハロコ)」には、岩上さんしか実現できない<ココロオドル髪型>を求め多くのお客様が訪れます。その卓越したビジネスセンスの秘密に、ブランディングの専門家・安田佳生が迫る対談企画です。
第59回 AI化が進む今、人による接客は有料になる?

日本って「おもてなし大国」と呼ばれていますよね。実際飲食店に入れば店員さんの接客は丁寧だし、お水もおしぼりもタダで出てくるし。

確かにそうですね。海外で日本と同じようなサービスを受けようと思ったら、チップを払わないと無理でしょうね。

そうそう。でも日本はこれからどんどん労働人口が減っていくじゃないですか。だから今のクオリティを維持することはどんどん難しくなる。もし今まで通りの丁寧な接客をしてほしいなら、その分の追加料金を払ってねという世界になってくるかもしれないですよね。

そもそも最近の飲食店って、接客そのものが省かれてきましたよね。自分のスマホからオーダーして、配膳ロボットが料理を運んできてくれて、お会計も席に座ったままスマホで決済できて。そのまま「ありがとうございました」も言われずに退店していく、みたいな(笑)。

飲食店に限らずコンビニやスーパーもセルフレジが当たり前になってきたじゃないですか。この流れをどう見るかはいろいろあると思うんですが、「接客に期待をされない分、お店の評判もマイナスになることはない」というメリットがあるなと思っていて。

そうそう。例えば、出てくる料理はせっかく美味しいのに、接客してくれる店員さんがモタモタしていたり無愛想だったら、なんとなくそのお店の全体のイメージが悪くなっちゃうじゃないですか。そういうことがなくなっていくのかもなと。

確かになぁ。ちなみに岩上さんは「お金が取れるレベルの接客」ってどれくらいのものをイメージされます?

端的に言えば、「AIにできない対応」であることが前提になるでしょうね。AIよりも高いレベルで目の前にいる人を心地よくできるか。それができるなら「追加料金をもらっての接客」も成り立つと思いますよ。

なるほど、「心地よくさせる」か。確かに言われたことをミスなくスピーディーにやるだけだったら、もうAIの方が得意ですもんね。そうではない部分でどれだけサービスできるか。逆に言えば、そこである程度の信頼を得られたら、ガンガン集客できそうですね。

そうでしょうね。世界がどんどんAI化していく中で、そういうお店は希少価値がどんどん高くなるでしょう。実際既にそういう接客をしてくれるお店はすごく繁盛している。つまりこれは未来の話じゃなくて、もう現実の話なんです。
対談している二人
岩上 巧(いわかみ たくみ)
アロハ美容師/頭髪改善特許技術発明者/パーソナルブランディングプロデューサー/株式会社 OHANA 代表
美容専門学校卒業後、都内のサロンに就職するも、オーナーと価値観の違いから大喧嘩し即クビに。出身地である水戸に戻り実家の美容室で勤務しながら技術を磨き、2008年自身のヘアサロン「mahaloco(マハロコ) 」をオープン。結婚式のプロデュースやイベント企画なども行うパーソナルブランディングプロデュースサロンとして人気を博す。2014 年、髪質改善技術「美髪矯正 hauoli®(2021 年特許取得)」を開発。「まるでハワイで暮らしているように」をテーマに、毎日アロハシャツを着、家族・仲間・お客様と共にハワイアンライフを満喫中。
安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家
1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。