第68回 美容室なのに、ジュエリーやパンが売られている理由

この対談について

「遊んでいるかのように働きたい」をモットーに、毎日アロハシャツ姿で働く“アロハ美容師”こと岩上巧さん。自身が経営するヘアサロン「mahaloco(マハロコ)」には、岩上さんしか実現できない<ココロオドル髪型>を求め多くのお客様が訪れます。その卓越したビジネスセンスの秘密に、ブランディングの専門家・安田佳生が迫る対談企画です。

第68回 美容室なのに、ジュエリーやパンが売られている理由

安田

岩上さんのFacebookInstagramを拝見したんですが、『マハロコ』でのブライダルイベントが復活するんですね!


岩上

そうなんですよ。コロナ禍でいったんストップしてしまっていたので、久しぶりにイベントができるとワクワクしています。

安田

それこそコロナ前のマハロコって、ほぼ毎週末ごとに結婚式の2次会イベントが入っていたり、お菓子屋さんやパン屋さんなんかもやっていたり…といろいろされていましたもんね。


岩上

そうなんですよ、「一体何屋なんだろう?」って自分でも思ったり(笑)。

安田

すごくユニークですよね。でも実際、本業ではない言わば「ちょっと余計なこと」をすることによって、お店自体を差別化できるわけじゃないですか。岩上さんは最初からそういう効果を狙っていたんですか?


岩上

う〜ん。というより僕の中で、美容師は「お客様の生活全般をサポートする仕事」だと思っていて。

安田

ふ〜む。つまり美容師という仕事はただ髪を切ることではなく、お客さん一人ひとりのライフステージに寄り添うことだと。


岩上

そうですそうです。お客様の人生がより豊かになるためのお手伝いというか。だって毎月1回美容室に通うとして、年間12回は美容師と顔を合わせるわけですよ。これってなかなかの回数でじゃないですか。職場の同僚や家族、友達以外で、年間12回も会う人っています?(笑)

安田

そう言われてみると、そんなに定期的に会う人はほとんどいないかもしれない(笑)。


岩上

でしょ?(笑) しかも施術中ってわりと時間が長いので、お客様から身の上話なんかを打ち明けられることも多い。例えば「今こんなトラブルを抱えているんだけど、弁護士の知り合いいません?」みたいな相談をされたり(笑)。

安田

ははぁ、なかなかリアルな話だ(笑)。でも岩上さんなら力になってくれそうだもんなぁ。


岩上

ありがとうございます(笑)ウェディングパーティーも最初は既存のお客様の「楽しみごと」をサポートしたくて始めたことなんですよ。それが好評で、いつの間にか広告を打ったり集客したりして商品になっていっただけで。

安田

まあでも、長く続けていくにはマネタイズは必須ですからね。


岩上

仰るとおりです。そういう意味では当初から事業化のイメージはあったんでしょうね。最初にウェディングパーティーのオーダーを受けた時には、実際に結婚式場で働いているお客様や、まさに今結婚式の打ち合わせをしているというお客様なんかに一生懸命取材してましたもん。カットしながら(笑)。

安田

そうだったんですね(笑)。パン屋さんやハワイアンジュエリーもそういう経緯で事業になっていった感じですか。


岩上

そうですね。ハワイアンジュエリーは、マハロコの設計士さんのお知り合いに直営店をやられている方がいて、それが縁でやっていたんですよね。残念ながらコロナ禍でストップしてしまったんですが、100組くらいの方が作ってくださいました。

安田

は〜、100組ですか。美容室なのに、ジュエリーがそんなに売れるのはすごい(笑)。


岩上

ジュエリーはレジの近くに置いてあって、会計の時に自然と目に入るんですよ。最初は独身だったお客様たちが、そのうち彼氏ができて、結婚が決まり、さて指輪はどうしようと思った時に「そういえばマハロコにもジュエリーがあったな」と(笑)。

安田

なるほど〜! 無意識に刷り込んでおくわけですか(笑)。


岩上

そうそう(笑)。それにそういう大事なときって、知らないジュエリーショップに行くよりも、いつも髪を切ってもらっているスタッフに相談した方が安心じゃないですか。

安田

確かに! いや〜、さすが考えていらっしゃる。ちなみにパン屋さんはどういういきさつで?


岩上

僕が水戸で仕事を始めた時からずっと…それこそ25年くらいにわたって通い続けてくださっているお客様がいるんですけど。その方は長らくパン作りが趣味で、せっかくだからウチの店で販売してもらえないかなって。

安田

は〜、それもやっぱりお客様がキッカケなんですね。以前のお話だと、パンが焼き上がると美容室内にいい匂いが充満していたって仰っていましたよね(笑)。


岩上

そうそう(笑)。その匂いだけでめちゃくちゃ売れていました(笑)。

安田

でも今はもうパン屋さんもやっていないんですよね?


岩上

その方がパン作りを辞めてしまったので、それで終わりにしました。ウチとしては、「大事なお客さんがパン作りを趣味にしていた」からやっていたわけで、パン屋をやりたくて誰かを連れてきた、ということではなかったので。

安田

なるほどなぁ。そう考えるとマハロコって、「そこに集まっている人がやりたいことを応援している場所」なんですよね。


岩上

そう言ってもらえると嬉しいですね。なんというか、お客さんの人生を応援していくうちに今のようなカタチになりました。

安田

いやぁ、素晴らしいですね。ちなみにそのパン屋さんをやっていた方とは、もうお会いしてないんですか?


岩上

いえいえ、今も変わらず「お客様」としてマハロコに通っていただいています。大切なお客様の一人です!

安田

お〜、いい関係性が築けていたからこそ、縁も切れずに未だに繋がっているんですね。重ね重ね素晴らしいです!


対談している二人

岩上 巧(いわかみ たくみ)
アロハ美容師/頭髪改善特許技術発明者/パーソナルブランディングプロデューサー/株式会社 OHANA 代表

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美容専門学校卒業後、都内のサロンに就職するも、オーナーと価値観の違いから大喧嘩し即クビに。出身地である水戸に戻り実家の美容室で勤務しながら技術を磨き、2008年自身のヘアサロン「mahaloco(マハロコ) 」をオープン。結婚式のプロデュースやイベント企画なども行うパーソナルブランディングプロデュースサロンとして人気を博す。2014 年、髪質改善技術「美髪矯正 hauoli®(2021 年特許取得)」を開発。「まるでハワイで暮らしているように」をテーマに、毎日アロハシャツを着、家族・仲間・お客様と共にハワイアンライフを満喫中。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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