その61「意味なさそうなことが、案外大事だったりするって話」

 このコンテンツについて

なぜこんなツマラナイものにこだわるのだろう。そういう「ちょっと変わった人」っていますよね。市川さんはまさにそういう人。でもそういう人が今の時代にはとても大事。なぜなら一見ビジネスになんの関係もなさそうな、絶対にお金にならなそうなものが、価値を生み出す時代だから。凝り固まった自分の頭をほぐすために、ぜひ一度(騙されたと思って)市川ワールドへ足を踏み入れてみてください。

 

僕らは仕事で様々な提案をしていきます。
たまに、「それって意味ありますか?」と言われることもあります(汗)
これ、結構ね、ショックですよw

例えば、Google Analyticsのような数値データを見ていると、数字の上下が最大の関心事になってきます。
その場合、「その提案は、この数字の上下に関係ありますか?直結しないように思いますけど?」って話になるわけです。

数字の上下については、POSデータを眺めて分析して、施策を考えるようなもので、これはこれですごく重要ですよね。
売れ筋商品の在庫切れを起こさないように事前に手を打ったり、関連商品をあわせて買ってもらう方法を考えたり、死に筋商品を探したり、色々できますよね。
ただ、当たり前なんですが、お客様の関心事はPOSデータではないんですよね。
そんな数値データの存在を意識もしないでしょう。
それがお店だったら、お店の品揃えだけでなく、陳列方法や接客、トイレがきれい、家から近いってことがお客様の関心事かもしれませんよね。
つまり、「お店の駐車場を停めやすくする」という案は、POSデータを眺めていたら浮かばないってことなんです。
そして、その提案を聞いても「それって意味あります?」となりかねないよ、と。
でも、車で来店するお客様の立場になってみると、これはすごく重要だってことは分かりますよね。
駐車に気を使うようなところには、気軽に行こうと思いませんからね。
なのに「お客様には気軽に来店してもらいたい」って言ってたら変でしょう?
でもね、そういう矛盾って結構ありますよ。

なので、数値データを見て様々な手を打ってきて頭打ちになっている場合、「それって意味ありますか?」と感じることにも案外活路があるんじゃないか?って思ったりするわけです。

では、なぜそれができないのか?
それは、ご担当者が結果責任を負うことになっていて、彼らが大きなプレッシャーを感じているからです。
さらに、会社からは「できるだけ早く、費用をかけずに、最高の結果を出せ」と言われるわけです。
まぁ、僕もそういうこと言っちゃう方なので、人のことは言えませんけど、担当者さんの立場からすると、
「安い、早い、美味い」なんて、都合良いことあるそうそうかッ!ボケぇ!
って感じですよね・・・
経営者を代表して、経営者の理不尽さを謝罪したい、そんな気持ちになります。

じゃあ、どうしたら彼らが機能し始めるのか?
社長や決済責任者が、「結果責任はこちら(会社)が負うから、可能性があると思われることに挑戦して欲しい。時間がかかるのも理解はしている。」と伝えるだけで随分視野は広がると思います。
まぁ、こんな偉そうに言っておきながら、僕にはこうした心の広さはないんですけどね。
だって、「どうなってる?」「いつできる?」「まだできない?」とせっついちゃうのでね・・・涙

つまり、社長が数字で話をすれば、社員さんの関心事は数字になります。
社長からは毎日のように「数字はどうなってる?」と聞かれるわけですからね。
プレッシャーを強く感じ、それが行き過ぎると該当する数字だけに意識が行き、ドンドン視野が狭くなります。
数字の上下が全てになってくるので、そうなると今までは気づけていたことにすら気づけなくなり、思うように結果が出なくなります。
でも、相変わらず社長からは「数字は?」と聞かれ、プレッシャーは増大、更に狭くなる視野・・・
恐ろしい悪循環ですよね。

数字だけを見ると一見無関係に思えるようなことが、案外、数字を作る上でも重要だったってことはありますよね。
例えば、売上・利益という数字を意識して視野が狭くなれば、社風のようなものへの関心が薄れていくかもしれません。
社風が悪ければ社員さんの定着も悪くなり、優秀な社員さんが離職していきます。
かと言って採用をしても教える人がいませんから、新人はなかなか成長しません。
売上・利益を意識した結果、掲げる目標を達成できる布陣には程遠い素人集団になっていた・・・みたいなね。

フォーカスするのは必要なことですが、単に視野が狭くなっているだけではないか?(狭くさせていないか?)と自問するのが大切ですね。

・・・自分で書いてて、反省する気持ちになっているのは何でだろう。

 

 

著者の他の記事を見る

著者/市川 厚(いちかわ あつし)

株式会社ライオンハート 代表取締役会長
https://www.lionheart.co.jp/

LH&creatives Inc.(フィリピン法人) CEO
https://lionheart.asia/

<経歴>
三重県の陶芸家の家に生まれる。
(僕が継がなかったので、父の代で終焉を迎えることになる…)
大学時代、遅めの中二病を発症。経済学部に入ったのに、何を思ったか「ファッションデザイナーになるんや!」と思い立ち、大学を中退。アパレル企業に就職。
ところが、現実は甘くなく、全く使えない僕に業を煮やした社長から、「Webサイト作れないとクビだからな!」と言われ、泣く(T_T)パソコンの電源の付け方も知らなかったけど、気合でWebサイト制作を習得。しかし、実際のところは、言い訳ばかりで全く成長できず・・・怒られて、毎日泣く(T_T)そんな頃、「デザインにも色々ある」と改めて気づいて、広告業界へ転職、広告制作会社のデザイナーとしてのキャリアをスタート。
「今度は言い訳をしない!」と決めて仕事に没頭し、四六時中仕事していたら、黒目がめくれ上がってきて、眼科医から「失明するよ」と言われ、ビビる。2004年勤務先で出会った同僚や友人を誘って起業、有限会社ライオンハートを設立(現 株式会社ライオンハート)。ところが、創業メンバーとあっさり分裂、人間不信に。残ったメンバーと再スタート。
2014年、設立10周年を機に、創業メンバーで唯一残っていた人間を日本法人の社長にし、自身は会長になり動きやすい状態を創る。この頃からブランディングエージェンシーを名乗り始める。
2016年、フィリピン(マニラ)にITアウトソーシング企業(LH&creatives Inc.)を設立。設立準備期間から家族とともに移り住み、フィリピンで3年半を過ごす。
フィリピン人マネジメントを通して、猜疑心の塊になり、性悪説に変わる。
2019年6月、日本に帰国し、日本法人のマネジメントに復帰。社内コミュニケーションを充実させるために席替えしたり、誰も掃除しない椅子をきれいにしたり、「眠いときはしゃべった方が良いよねッ」ってスタッフに話しかけながら仕事をするなど、独自のインナー・ブランディングの理論を実験していたところ、会社の調子が上がった。そもそもブランディングってなんだ?と思っていたところに、BFIの安田さんと出会い、勝手にご縁を感じてコンサルを受けてみる。そしたら安田さんに誘われ、2020年、anote konoteに参加することに。

感想・著者への質問はこちらから