第102回 「メタバースクリニックとは何か」
お医者さん
最近はすっかりオンラインの時代になったな。何をするにもネットで済むようになった。
お医者さん
医療の世界は関係ないと思っていたが、最近はリモート診察みたいな話も聞く。それに、なんだっけ、メタバースクリニック、なんていうのもあるとか。
メタバースはいま注目されてますよね。あのFacebookも社名をメタ・プラットフォームズ(Meta Platforms, Inc.)にしちゃったくらいですし。
絹川
お医者さん
ですよねえ。ともあれ、メタバースってのが何なのかはわからないんだけど(笑)。……って、あなたは一体?
はじめまして。ドクターアバターの絹川と申します。お医者さんの様々な相談に乗りながら、「アバター(分身)」としてお手伝いをしている者です。
絹川
お医者さん
へえ、ドクターアバター。メタバースもそうですけど、なんか今風でいいですね。……それで実際のところ、メタバースってのは何なんです?
そうですね、いろいろな定義の仕方がありますが、シンプルに言えば「インターネット上に作られたもう一つの世界」って感じでしょうか。かなり昔に「セカンドライフ」ってサービスが一瞬はやりましたけど、あれに近しいものというか。
絹川
お医者さん
ああ、あったあった。けっこういろんな企業が進出してた記憶があるなあ。
そうですよね。要するにああいう感じで、ネットに作られた世界の中で、会話したり買い物をしたりサービスを受けたりする仕組みです。
絹川
お医者さん
でも、セカンドライフはすぐ廃れちゃったわけじゃないですか。それがなぜいままた注目されてるんです?
端的に言えば、VR技術などが発展したことで、以前よりも没入感のある世界を作れるようになってきた、ということだと思います。OculusやPlayStation VRなど、高機能なVR機器がどんどん開発されていますから。
絹川
お医者さん
なるほど。以前はPC画面で眺めるだけだったけど、いまはまるで「その世界に本当にいる」みたいな感覚で楽しめるわけか。でも、「メタバースクリニック」というのは? どれだけリアルになろうが、オンライン上で治療や手術なんてできないですよね。
そうですね。メタバースクリニックというのは、そういった医療行為をするものではなく、要するに「医師が相談に乗る」サービスです。
絹川
お医者さん
相談?
メタバース上で医師に相談して、それで「この先生いいな」と思ったら実際の病院に来てもらう。あるいはオンライン診療を受けてもらう。そんな流れになっているんだと思います。
絹川
お医者さん
なるほどねえ。要するにメタバースを「集客」に使っているって感じかな。
仰るとおりです! ともあれ、まだメタバース自体の浸透度は低いですし、実験的に始めている状態だとは思います。逆に言えば、今のうちから試しておけば、将来的に大きなアドバンテージになるかもしれません。
絹川
お医者さん
そうですね。ちょっとおもしろそうだし、ダメでもともとくらいの気持ちで始めてみようかな。
すごくいいと思いますよ。ネットの重要度は今後ますます高まっていくはずですから。
絹川
お医者さん
それは間違いなさそうですよね。今のうちからネットでの商売に慣れておかないといけない気がする。
そう思います。医療に限らず、たとえば法律相談や労務相談などは確実にオンライン化していくと思いますし、「メタバース上でのビジネス」に長けた人は利益を得やすくなるでしょう。
絹川
お医者さん
なるほど。医療というとどうしてもネットとは相性が悪いと思ってしまうけど、そんな考えはもう古いのかもしれませんね。ちょっと具体的に考えてみようかな。
はい。ぜひメタバース上で人気のお医者さんになってください!
絹川
医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。
著者:ドクターアバター 絹川 裕康
株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。