「患者数・売上が安定しない…」〜お医者さんは、なやんでる。 第56回〜

第56回 「患者数・売上が安定しない…」

お医者さん
お医者さん
いやあ、今日は忙しかったなあ。久々に満足のいく売上になった。よかったよかった。
お医者さん
お医者さん
……でも、あらためて考えてみると、ウチの病院はどうしてこう患者数に波があるんだろう。この間会った知り合いの病院経営者は、患者数も売上も毎日ほとんど変わらないと言っていたし。

それは恐らく、先生の病院がフロー型の患者さんメインだからでしょうね。
絹川
絹川

お医者さん
お医者さん
フロー型? 一体それはなんですか。……いや、っていうかその前にあなたどなたです?

はじめまして。ドクターアバターの絹川です。お医者さんの様々な相談に乗りながら「アバター(分身)」としてお手伝いをしている者です。
絹川
絹川
最近は経営に悩んでらっしゃる先生も多くなっているので、いろいろ病院を回らせていただいていまして。
絹川
絹川

お医者さん
お医者さん
へえ、そうなんですね。それで、フロー型の患者さん、というのはどういうことなんです?

まず患者さんの内訳を考えてみましょうか。先生の病院はどんな疾患の患者さんが多いですか?
絹川
絹川

お医者さん
お医者さん
どんな患者さん? うーん、うちは普通の内科なので、風邪とか胃腸炎とかが多いですかね。あ、あとインフルエンザが流行したらいっぱい来ます。

そうですよね。つまり「いつかかるかわからない疾患」の患者さんがメインだということです。慢性疾患ではない患者さん、ということです。
絹川
絹川

お医者さん
お医者さん
それは確かにそうですね。患者さんがいつ病気になるかは、僕ら医者が決めることではないですから。

確かにそうなんですが、その考え方だと、「患者数が一定でない」という先生の悩みはずっと解決されないことになりますよね。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
まあ……確かに。

逆に言えば、その考え方こそが、先生の病院の患者数に波がある理由なんです。
絹川
絹川

お医者さん
お医者さん
いや、そうは仰いますけど、仕方がないでしょう。何か解決策でもあるんでしょうか。

あります。それで少し思い出してほしいんですが、先生が先日お話を聞いたという知り合いの方の病院は、おそらくストック型の患者さんをメインにしているんじゃないでしょうか。
絹川
絹川

お医者さん
お医者さん
ストック型?

ええ、つまり「継続的な疾患」をお持ちの患者さんです。慢性疾患持ちの患者さんということですね。いかがです?
絹川
絹川

お医者さん
お医者さん
ああ、たしかに彼の病院は糖尿病の患者さんが多いみたいです。彼の専門が糖尿病なので。

やはりそうでしたか。つまりその方の病院は、定期的に来院される患者さんが大勢いるということでしょう。フロー型とストック型。このストック型の患者さんの割合を増やしていくことで、先生の病院の患者数も安定してくると思いますよ。
絹川
絹川

お医者さん
お医者さん
なるほど、指摘されてみれば単純な話ですね。僕は医者=「待ちのビジネス」だという意識が強すぎたのかもしれません。

意識が変われば数字も具体的に変わっていきますよ。まずは患者さんの50%をストック型にすることを目標にしてみましょう。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
なるほど、目標も具体的にするわけですね。最終的にはどれくらいのバランスがいいんですか?
個人的には、ストック型80%、フロー型20%くらいがおすすめですね。そうなると売上はかなり安定します。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
わかりました。ともあれうちの場合、今の患者さんの何%がストック型なのかを可視化することから始めないといけないな。
いいですね!診察や治療に忙しくて、意外と経営のことを考える時間がないお医者さんも多いんです。まずは冷静に、そして具体的に、自分の病院の経営状態を把握すること。それがすべてのスタートです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
そうですね。そうしてみます。なんだか既に自分の意識が変わった感じです。ありがとうございます!
いえいえ、また必要があればお声がけください!
絹川
絹川

医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。


著者:ドクターアバター 絹川 裕康

株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。

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