お医者さんは、なやんでる。 第12回 「医療業界がAI時代の先駆者になる?」

第12回 「医療業界がAI時代の先駆者になる?」

お医者さん
お医者さん
新型コロナウイルスの件以降、世の中はますますIT化が進んでいるなあ。リモートワークとかZOOM会議とか、そういうのがトレンドなんだろう。
お医者さん
お医者さん
その点、医療はあまり変わっていない気がする。もともとIT化が遅れていると言われてる業界だし…。このままじゃ世の中に置いていかれちゃうんじゃないかと心配だよ。
確かに他業界に比べると、医療はIT化が遅れていますよね。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
やっぱりそうだよね。…って、君は誰だい?
ドクターアバターの絹川です。お医者さんの様々な相談に乗りながら、「アバター(分身)」としてお手伝いをしています。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ふうん。じゃあ医療業界に詳しいんだね。他の病院とかはIT化をどう考えているんだろう。
そうですね、リモートでの診察や無人受付システムを導入したりしている病院も増えてはきました。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ああ、確かにそういうのは聞いたことがある。でも、なんていうか、医療って人対人で成り立ってると思うんだよ。医者と患者が生身で向き合ってなんぼ、っていうか。
ええ。仰っしゃりたいことはわかります。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
でも、世の中の動きを見れば、そうやってどんどんIT化していくべきなんだろうな。もともと医療業界はそれが遅れていたわけだし…。
いや、そうとも限りませんよ、先生。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ん? どういうこと?
もちろん、リモート診察にしろ無人受付にしろ、便利なシステムを導入していくことは悪いことではないと思います。ただそれとは別の話で、医療業界のIT化が”遅れていたおかげ”で、実は大きな強みが育っている。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
強み? うーん、何を言っているのかわからないよ。
ズバリ、「自分で考えることのできる人が今でもたくさんいる業界」なんです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
え?
IT化が進んでいる業界では、機械がいろいろなことを自動で行ってくれるため、人間が考える機会が減っているという側面があるんです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ああ、なるほど。
上層部は組織を効率よく管理するた めに「仕組み化」します。仕組みに組み込まれた人は日々ルーティンワー ク繰り返す。その結果考えることをしなくなる。システム依存度が高いので、一度システムにトラブルが起こると誰も何もできない。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
なるほど。確かにこないだ、コンビニで自動つり銭機が詰まって、すごく待たされた覚えがあるよ。
ええ、そういうことです。翻って医療業界は、システム依存度が低い分、人間が自分で考え自分で運用している部分が多い。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
まあ、システムが止まったからって患者放っておけないからね。容体が急変したり、想定した薬が効かなかったり、もともとイレギュラーが多いし。……でも、そうだとして、君は今後どうしていったらいいと思う?
私は考えているのは、医療業界こそがAI時代の先駆者になれるのではないかということです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
え? なんで?
世界的なIT化の動きは今後も続きます。つまり、世の中がどんどんシステム依存度を高めていくわけです。そして人間はもっともっと考えない生き物になっていく。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
……そうなったらむしろ、考えることは必要ないじゃないか。
いえ、そうじゃありません。考えて働ける人が今よりもずっと貴重な人材になるということです。例えばAIもあくまでプログラムですから、最適な運用方法を「考える」人間がいなければ力を発揮できない。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
なるほど。つまり、IT化が遅れていることの副産物として、この業界は「考える力」を失わずに住んでいるということでもあるわけか。
仰るとおりです。IT化は後からでもできますし、全面的にIT化する必要もない。せっかくの「考える力」を活かし、さらに発展させていければ、医療業界はこの先もどんどん進化していけると思いますよ!
絹川
絹川

医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。


著者:ドクターアバター 絹川 裕康

株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。

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