ベテラン事務員がIT化を拒絶する〜お医者さんは、なやんでる。 第143回〜

第143回 「ベテラン事務員がIT化を拒絶する」

お医者さん
お医者さん
はぁ……まったく、うちの事務員はどうしてああも頭が固いんだろう。医療業界もDXの時代なのに、「私そういうの苦手なんで」と話すら聞いてくれない。
お医者さん
お医者さん
長年働いてくれたベテランだけど、この際、そういった分野に抵抗のない若手を採用した方がいいのかもしれないなあ。
IT化についていけない事務員さん……最近の“あるある”ですね。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ん? 突然なんだね。ああ、あなたは確か以前お話した……
ご無沙汰しております。ドクターアバターの絹川です。お医者さんの様々な相談に乗りながら、「アバター(分身)」としてお手伝いをしている者です。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
そうだそうだ、絹川さんだ。いや、それにしても恥ずかしいところを見られてしまったな。
いえいえ、先ほども言いましたが、最近いろいろなクリニックで聞く悩みなんですよ。スタッフさんのITリテラシーの低さが、DX化の障害になっているという。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
そうなんだよねえ…。まあ、彼女は先代の時から働いてくれているベテランなんだけど、それだけにやっぱりいろいろ“古い”んだよなあ。
現実的に、高齢になればなるほど新技術への対応は難しいですからね。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
そうそう。でも僕らの医療業界もどんどんIT化が進んでいるわけじゃない? だから難しくても対応してもらわないといけないんだけど、なかなかね。
レセコン、電子カルテまでは大丈夫でも、キャッシュレス支払い、Web予約システムなど、どんどんシステム化されていく中で、「これ以上はもう無理!」となってしまう事務員さんもいるでしょうね。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
まさにそういう感じだよ。ともあれ、スーパーでも無人レジ化が進んでいたり、ファミレスなどでもタブレットでの注文が当たり前になってきてるよね。普通に暮らしていれば、嫌でも覚えると思うんだけどなあ。
それはもしかしたら「本当にできない」のではなく「自分たちが長年やってきたやり方を変えたくない」という気持ちなのかもしれませんね。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ああ、そう言われてみれば確かにそうかも。つまり、「できるけどやらない」ってことか。仕事が終われば当たり前にスマホを触ってあれこれやってるわけだもんな。
人間にとって、職場っていうのはすごく大事な居場所ですからね。せっかく居心地のいい環境だったのに、それが変わっちゃうんじゃないかって怖いんだと思いますよ。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
いや、まあねえ、気持ちはわかるけどさ。一体どうしたもんか。
外部の業者さんを呼んで説明してもらう、というのは1つの方法かと思います。意外と前向きに聞いてくれたりしますよ。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
へえ、そういうもんか。確かに身内には甘えが出ちゃうもんね。
ええ。一方で、やっぱり身内間、つまりクリニック内でのコミュニケーションも大事なんです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ん、と言うと?
スタッフさんが乗り気にならない理由は、もしかしたら「先生の考えがきちんと伝わっていないから」かもしれないということです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
私の気持ち……
はい。先生は経営者ですから、頭の中でいろんなことを考えています。でもその内容をスタッフは知らないのかもしれません。先生の行動だけを見て、誤解をして不安になっているのかも。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ああ、なるほどなあ……確かに私はあんまり説明しないタイプだからなあ。
先生がどういう思惑を持っているのか、どんなクリニックにしていきたいのか。そういう部分を積極的に伝えることで、反応が変わってくるかもしれませんよ。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
うん、確かにそうかもしれない。彼女の気持ちもちゃんと考えてあげるべきだったな。
ええ。このIT化時代においても、長く現場を見てきたベテランさんは貴重な存在です。時に誰も気付かなかったバグを見つけたりします。根気よく説明してより長く働いてもらいましょう!
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
そうだね!なんだか気持ちが楽になったよ。ありがとう!

 

医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。


著者:ドクターアバター 絹川 裕康

株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。

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