電カルのカスタマイズにはご注意を!〜お医者さんは、なやんでる。 第153回〜

第153回 「電カルのカスタマイズにはご注意を!」

お医者さん
お医者さん
ああ……もう、なんかこの電カルって微妙に使いづらいんだよな。ボタンの配置も見にくいし……ここをちょっと変えればだいぶ便利になるのに。
お医者さん
お医者さん
今度電カル業者が来たらカスタマイズを頼んでみよう。ちょっといじるだけだから、きっと簡単にできるはずだ。
いや、多分簡単にはやってくれないと思いますよ。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
んん? なんでだよ、システム屋なんだからちょっとプログラムをいじればいいだけでしょ。……って、あなたは一体?
初めまして。ドクターアバターの絹川と申します。お医者さんの様々な相談に乗りながら、「アバター(分身)」としてお手伝いをしている者です。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ふうん。まったくの素人でもないってことか。でもだったら尚更、カスタマイズなんて当たり前なことも知ってるでしょ? 僕の知り合いもやってもらったって言ってたし。
はい、もちろん技術的に可能なことは知っています。先生が仰るとおり、恐らくそれほどの手間なく対応できるでしょう。でも、それなのに業者はなぜカスタマイズを嫌がるのか、という話で。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ますます意味がわからない。いったいなぜ嫌がるというの。
一番の理由は、診療報酬が変わった際などに、カスタマイズが入っているユーザーを個別でバージョンアップする必要が出てくるからです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
はぁ? よくわかんないけど、別に個別だろうが問題ないじゃない。
いや、全員がカスタマイズなしのユーザーなら、一括の対応で済むんですよ。いや、手間だけの問題じゃないです。仮に対応漏れなどが起こった場合、想定外のバグが発生する可能性もあります。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
だから、そうならないように対応するのが業者でしょ? プロなんだからさあ。
もちろん、ユーザーの要望には最大限応えるべきです。でも、日本人はそもそもカスタマイズ好きな傾向があって、しかも要望は個人ごとにバラバラ。そのすべてに応じてカスタマイズしていたら、バグの危険性はどんどん上がってしまいます。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
そうは言うけど、それは業者さん側の問題じゃない。別にこっちの責任じゃないよ。
いやいや、冷静に考えてください先生。電カルに大きなバグが起こった際、困るのは先生たちじゃないですか。そして、患者さんや世間に責められるのもクリニック側です。業者さんはそういう状況を防ごうとしてくれているんですよ。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
む……そうは言っても、現にこうして現場で不便が起こってるわけだよ。カスタマイズが無理って、この不便をずっと我慢しろってこと?
もちろん先生の仰っていることはわかります。もしどうしてもカスタムが必要な場合は、電子カルテ本体をいじらずに進めることをオススメします。個別でプログラムを作って、電子カルテとはデータだけをやり取りする形です。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
……ああ、なるほどね。そうすれば電カル側での個別アップデートは必要ないと。
仰るとおりです。カスタマイズは機能が強化されたり便利になったりというメリットがある反面、危険性もあるということです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
まあ……確かにあなたの言うことも一理あるんだろう。業者にはそういう部分を踏まえて相談してみるよ。
はい、そうしてあげてください。彼らは彼らでクリニックのことを考えているんですから。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
まぁ、そうかもしれないね。ちょっと考えを改めるよ。

 

医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。


著者:ドクターアバター 絹川 裕康

株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。

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