戦略的経営が必要な時代〜お医者さんは、なやんでる。 第165回〜

第165回  戦略的経営が必要な時代

お医者さん
お医者さん
最低賃金がまた上がってしまった……保険診療は料金の値上げもできないし、利益が減るばかりだ。いったいどうしたらいいのだろう?
他の業種と違って価格転嫁ができないですもんね。悩んでるお医者さんは多いと思います。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ん? ああ、君は確か……
ご無沙汰しています。ドクターアバターの絹川です。お医者さんの様々な相談に乗りながら「アバター(分身)」としてお手伝いをしている者です。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ああ、そうだそうだ。ちょうどいいところに来てくれた。こういう課題に他のクリニックはどう対応しているのかな。
なかなか難しい問題です。売上を増やす方法としては、単価アップか顧客を増やすかしかないわけですが……
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
保険診療の場合は単価アップは難しい、つまり顧客数を増やすしかない、か。
ええ。とはいえこの人口減少の中で新規患者を獲得するのも簡単ではありません。結果、少ないパイを奪い合うレッドオーシャンになってしまっています。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
そうだろうな。…とはいえ、給与にしろ経費にしろ、払うものは払わねばならん。今のままでは、私の報酬を減らして対応するしかなくなってしまうよ。
他に方法があるとすれば、ひとつは自由診療です。自由診療には価格の縛りはありませんから、保険診療では無理だった単価アップも可能になります。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
言っていることはわかるよ。ただねぇ、開業以来ずっと保険診療でやってきたから、なかなか簡単には方向転換もできなくてね。
わかります。であれば、他の方法として「省人化」があります。業務をシステム化していくことで、今ほどの人数を雇わなくてもよい状態を作るんです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
なるほど……人件費を削減するということか。確かにそれはひとつあるかもしれない。だが、今後も最低賃金は上がり続けるのだろうし、よっぽど大胆にやらないと根本解決にはならない気がするな。
そうですね……あるいは、特定の診療科が不足しているエリアに移動する、という手もあります。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ふむ……確かにウチの科目を必要としているエリアはたくさんありそうだ。
ええ。いずれにせよ今後は戦略をしっかり考えた上で経営していく必要があります。開業する人も増えている中で、勝ち残るのは簡単ではありませんから。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
確かにそうだな。今までは保険診療という共通のルールの中で問題なく食えていたが、その時代は終りを迎えつつあるんだな。
ええ。ある意味、それぞれの商品やサービスで勝負している民間企業と同じになってきたということです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
確かに、そう考えれば当たり前のことのようにも思えるな。
ええ、工夫の余地ができるという意味では、決して後ろ向きな変化でもないと思うんです。いろいろなクリニックが個性を出していける時代になってきた、ともいえるわけで。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
そうだな、経営者としてはその方がやりがいがあるのかもしれない。
仰る通りです。先生にしかできない医療サービスを提供していきましょう!
絹川
絹川

 

 

医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。


著者:ドクターアバター 絹川 裕康

株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。

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