保険診療ビジネスは、サイゼリヤに学べ〜お医者さんは、なやんでる。 第172回 〜

第172回 「保険診療ビジネスは、サイゼリヤに学べ」

お医者さん
お医者さん
おいおい、「クリニックの報酬単価を5.5%下げる」だって? 国は私たちのビジネスを潰そうとしているのか……
お医者さん
お医者さん
しかし、国の決定に文句を言っていても仕方がない。対策を打たねばそれこそウチが潰れてしまう。
財政制度等審議会の決定についてですよね。いよいよ国も医療費削減に本気を見せてきましたね。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
そうなんだよ。医療費削減の方針は以前から出していたが、ここに来て一気に引き締めにかかっている感じだ。……って、君は一体?
はじめまして。ドクターアバターの絹川と言います。お医者さんの様々な相談に乗りながら「アバター(分身)」としてお手伝いをしている者です。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ふむ、なるほど。そういう人なら、今回の決定についても詳しいんだろう。ウチのような小さなクリニックが打てる対策も含め、いろいろ教えてくれないかな。
もちろんです。まず今回の意見書を出した財政制度等審議会は、財務省の諮問機関です。今回は彼らが政府に対して「クリニックの報酬単価を5.5%下げる」という意見を出したということですね。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
なるほど。つまり意見を出しただけでまだ決定したわけではないと。
そういうことです。ただ決定するのも時間の問題でしょう。いずれにせよ報酬単価を下げるという方向性は変わらないと思います。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
そうだろうな。それにしても、国は僕らのことをどう考えているんだろう。あまりに一方的じゃないか。
厳しい言い方をすれば、保険診療をやっている医療機関は「国の下請け」です。親亀がコケれば子亀もコケる、ということですね。民間の中小企業が下請け脱却を目指すのも、そういう一蓮托生の関係から逃れたいからです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ぐうの音も出ないな。実際その通りだから。かといって親亀と一緒に大人しくコケている場合でもない。どんな対策が考えられる?
ひとつはやはり、保険診療からの脱却、つまり自由診療に切り替えることですね。しかし考え方によっては、保険診療のままもう少しふんばる、という戦略もアリです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ふむ、それはどうしてだ?
このまま単価が下がっていけば、今言ったように自由診療に切り替える所が出始めます。それができず廃業する所も少なくないでしょう。つまり競合が減っていくわけです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
ああ、そういうことか。それで保険診療を望む患者がウチに流れてくる、という可能性があるわけか。
仰るとおりです。そういう状態まで持ちこたえられるかが鍵だということですね。ちなみに私は「サイゼリヤ」の戦略が、保険診療ビジネスの参考になると思っているんです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
サイゼリヤって、あのファミリーレストランの? どういうところが参考になるんだね。
1つ目は「コストゾーンの縮小」です。コストゾーンというのは、サイゼリヤで言えば厨房ですね。厨房を小さくすることで、座席数を増やしている。結果、お客さんがたくさん入れるようになり売上もあがる。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
なるほど。まあ医療機関とレストランにはいろいろ違いがあるが、確かに重要な視点だ。
2つ目は「効率化により人件費を削減」しているところです。サイゼリヤはすべての店内業務を全スタッフがこなせるようなオペレーションを組んでいます。包丁を使わない調理、お客さん自身にオーダーを書いてもらうことでミスを減らす、配膳にお盆を使わないなど、ちょっとした工夫の積み重ねで効率化を実現しているんです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
確かに人件費の問題は業種関わらず挙がるものだからな。そして大きな削減を実現するのは、小さな工夫の積み重ねだと。
そういうことです。そして3つ目は、「徹底的なシステム化」です、人がやるべきところとシステムに任せるところを明確にわけている。これによりさらなる効率化を行っています。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
なるほど。確かに参考にすべきところは多そうだ。それに、あれだけ安い値段設定で繁盛させているところは、保険診療で単価が下がる私たちも見習うべき点なんだろう。うん、ありがとう。すごく為になったよ。
いえいえ、とんでもありません、他にも客単価が低くて成功している企業はいくつもありますので、そういったところの戦略を参考にしてみるといいと思います!
絹川
絹川

 

医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。


著者:ドクターアバター 絹川 裕康

株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。

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