第59回 「コロナ禍による売上減をどう乗り切るか」
お医者さん
また都内に非常事態宣言か……もはや宣言が出ている状態の方が日常化してきたな。
お医者さん
ニュースでは連日「医療崩壊」「病床が足りない」なんて報道されているが……ウチはむしろ患者が減り続けている。
お医者さん
はあ…このままでは売上が減るばかりだ。どうやってコロナ禍を乗り切ればいいのか…
確かに、コロナが関係ない病院では、むしろ売上は減っていますよね。
絹川
お医者さん
ああ、でもそれが当然だよ。あれだけ「不要不急の外出はするな」と言われれば、人は外に出なくなるからな。それに、私だって医療関係者だ。この状況下で「気軽に来院してください」なんて言えない。……って、あなたは一体?
こんにちは、ドクターアバターの絹川です。お医者さんの様々な相談に乗りながら、「アバター(分身)」としてお手伝いをしている者です。
絹川
今は先生のように、経営面で悩んでいる方が多いんですよ。
絹川
お医者さん
…なるほど。まあ、確かに今、テレビが言っているのとは逆の意味で「崩壊」しそうな病院も多いかもしれないな。「患者が多すぎて」ではなく「少なすぎて」。
ええ。そもそも国による医療費削減が進められる中、今回のようなことが起こったわけですから。病院によっては大きなダメージを受けているでしょう。
絹川
お医者さん
その通りだ。現にウチもこのままじゃ立ち行かなくなる。かといって、相手が国やコロナじゃ文句も言えない。一体どうすればいいのか…
先生の場合、相手は国やコロナじゃないのかもしれませんよ。
絹川
お医者さん
なんだって? どういう意味だ。
これを見てください。「外来医師偏在指標」※という資料です。これによると、先生の病院がある地域はかなりの上位にランキングされています。そもそも競合が非常に多いんですよ。
絹川
※「外来医師偏在指標」=地域ごとの人口10万人に対する医師数を数値化したもの
お医者さん
……なるほど、つまり競争が激しいレッドオーシャンということか。とはいえ、それがわかったところでどうしようもない。まさか競合の病院を地域から追い出すこともできないしな。
むしろ先生、ご自身が移住するのはいかがでしょう。
絹川
お医者さん
は? 移住って、病院はどうするんだよ。
一緒に移転するんです。先ほどの資料の中で医師数が少ない場所を選定し、そこに自宅ごと移動する。地方なら都内で開業するよりずっと低価格ですし、生活コストも下がります。
絹川
お医者さん
…つまり、競合が少ない地域で、低コストで開業するということか。
仰るとおりです。今は各自治体が移住者を積極的に受け入れていたりしますし、それが医者ならなおさら手厚いサポートが受けられるでしょう。ちょっと方向は違いますが、仕事と旅行を組み合わせた「ワーケーション」という観点で、ご自身が好きな地域を選んでもいいのではないでしょうか。
絹川
お医者さん
…確かに、いつか田舎に引っ込みたいという夢はあるんだ。私も家内もこういう都会より自然いっぱいの場所が好きなんだよ。
それであれば、いまがタイミングなのかもしれませんね。それに先生、これは経営的な意味だけじゃないんです。
絹川
お医者さん
うん? どういうことかね。
今の地域には、コンビニ以上の数の病院があります。だからこそ患者は病院を選べるし、もしかしたら医者に対するありがたみも忘れてしまっているのかもしれない。でも、これが医師の足りていない地域ならどうでしょう。
絹川
お医者さん
なるほど。言いたいことはなんとなくわかるよ。確かに医師としては後者のほうがやりがいを感じるだろうね。
ええ。つまりこれは、患者数や売上というだけではなく、ある意味「人生の選択」の話なんです。それくらいの視野でいろいろなことを見直すと、感じ方も違ってくるのではないでしょうか。
絹川
お医者さん
…そうだな。確かにそうだ。
今は医療だけでなく、あらゆる業界が「未来」を見つめ直さざるを得ない状況にあります。それを悲観的に捉えるだけなく、今までできなかったことにチャレンジするいい機会だと思えれば、ポジティブなアイデアが出てくるはずです。
絹川
お医者さん
…うん、よし、いろいろなことを前向きに考えてみよう。
ぜひ!これからの活躍に期待しています。
絹川
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医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。
著者:ドクターアバター 絹川 裕康
株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。