「営業マンの提案力が低い……」〜お医者さんは、なやんでる。 第62回〜

第62回 「営業マンの提案力が低い……」

お医者さん
お医者さん
まったく……最近の営業マンは提案力がないな。そもそもこちらが実現したいことをきちんと理解してくれていない感じだ。
お医者さん
お医者さん
提案が通らなければ、彼らの利益にはならないんだ。もっと真剣に企画を練ってきてほしいものだ。

先ほど来ていた電子カルテの営業さんですか?
絹川
絹川

お医者さん
お医者さん
ん? ああその通り。いくつか相見積もりを取っているんだけど、どこの業者もなんというか、何のインパクトもない提案ばかりで。って、あなたは確か……

はい、ドクターアバターの絹川です。お医者さんの様々な相談に乗りながら「アバター(分身)」としてお手伝いをしている者です。
絹川
絹川

お医者さん
お医者さん
ああ、そうだそうだ。”ドクアバ”の絹川さんだ。ちょうどいいところに来てくれた。一体どうすればいい提案がもらえるか教えてよ。

そうですね。それには実は、最強の解決法があるんですよ。
絹川
絹川

お医者さん
お医者さん
おっ、本当? どうすればいいの?

ズバリ、提案自体にお金を払うことです。
絹川
絹川

お医者さん
お医者さん
は? いや、ちょっと待ってよ。意味がわからないよ。

ですから、そのプランを受けるか受けないかに関わらず、提案自体に報酬を払うということです。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
いやいや、そんなのおかしいよ。もしイケてない提案だったらどうするの。そんな無駄金出せないよ。

お気持ちはわかります。でもちょっと考えてみてほしいんです。そもそもなぜ営業さんたちは、いい提案をしてくれないんでしょう。
絹川
絹川

お医者さん
お医者さん
そんなの、単純に提案力がないんだろう。今は時代の変化も早いし、それについていけている会社や人材が少ないのかもしれない。

それもあるかもしれませんが、一旦営業マンの立場になって考えてみましょう。まず日本の商習慣として、提案書を作成して見積もりを出す時点ではお金が発生しませんよね。
絹川
絹川

お医者さん
お医者さん
ああ。だって、「それを買うかどうか」は提案時点では決まってないからね。

ええ。それに相見積もりの場合は、どこかが買ってどこかが負けます。そこで負けてしまった場合、提案書作成の工数がまるまる無駄になるわけです。
絹川
絹川

お医者さん
お医者さん
まあ、それは提案内容が悪かったということで諦めるしかないね。

先生から見ればその通りですが、営業マンから見たらどうでしょう。今は働き方改革の時代で、残業も許されなくなってきています。短い時間でたくさんの会社に提案していかないと、もう回らないんですよ。そうなると、一社一社にじっくり向き合って提案書を作るのが難しくなってくる。結果、どこも似たりよったりの、使い回しの提案書が上がってくることになる。
絹川
絹川

お医者さん
お医者さん
いや……それはその会社の事情であって、私がどうこう言う話じゃないだろう?

そうかもしれません。でも先生の要望は、「いい提案をしてもらえること」ですよね。その観点で考えれば、むしろ営業マンに「利益」を与え、本気で向き合ってもらった上で、提案内容を考えてもらったほうがよくありませんか?
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
……なるほど、忙しくて提案書を使い回すしかない営業の、「時間を買う」ということか。
仰るとおりです!営業側も、提案時点でお金をいただくわけですから、下手なプランは出せないでしょう。さらに言えば、提案自体で稼げるようになるなら、特定の商品を売る必要性も薄まってくる。
絹川
絹川
保険屋さんでイメージするとわかりやすいかもしれません。一社のプランを専属的に売る会社より、複数の会社のプランの中から最適なものを選んでくれる会社の方がよくないですか?
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
確かにそうだ! なるほど、提案自体にお金を払うなんて考えてもみなかったが、いい提案をもらうという目的に対しては確かにアリかもしれない。
ええ、ぜひ先生の方から営業マンに話してみてください。きっと喜んですごい提案書を作ってくれますよ。
絹川
絹川
お医者さん
お医者さん
よし、今度そんな話をしてみるよ。どんな反応をするかちょっと楽しみだな。
ぜひ!いい提案が上がってくることを願っております。
絹川
絹川

医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。


著者:ドクターアバター 絹川 裕康

株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。

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