第64回 「西洋医学は衰退期に入った?」
お医者さん
ダメだ、今月も売上が下がってる…。現状維持すら難しくなってきた。
お医者さん
政府は医療費を削減し続けてるし、それに加えてコロナショックだ。まさにダブルパンチというところだな。
お医者さん
このままじゃ状況は悪くなる一方だ。何とかしなきゃ……でも、何をどうすればいいって言うんだ?
やはりコロナの影響は大きいですか?
絹川
お医者さん
そうですね。いや、なんというか、その大きさをジワジワ実感しているという感じでしょうか。今すぐどうこうって話じゃなくても、3年後5年後となると自信がなくて……って、あなた一体どなたですか?
初めまして、ドクターアバターの絹川と申します。お医者さんの様々な相談に乗りながら「アバター(分身)」としてお手伝いをしている者です。
絹川
お医者さん
……へえ、そんな職業があるんですね。でもこんな時期だ、きっと悩んでいるお医者さんは多いんでしょうね。
ええ、特にご自身で病院を経営されているオーナー医師はすごく悩んでますよね。
絹川
お医者さん
やっぱり売上に対する悩みが多いんですか?
端的に言えば、仰るとおりです。もう少し踏み込むなら、患者数の減少ですよね。単価は変わらなくとも、患者数が減っているので、トータルの売上も当然下がる。これに対して、一部の方は「単価を上げる」という方法で対応していますね。
絹川
お医者さん
……つまり、特に必要でもない検査をしたり、新しい薬を出したり……という?
ええ、背に腹は代えられないということでしょう。ただ当然、これは正しいやり方とは言えない。
絹川
お医者さん
……とはいえ、気持ちはわかります。保険料で食っている身からすると、そうするしかないというか。だって他に方法ありますか?
そうですね。個人的には今ほど「大胆な変革」が必要とされている時代はないと思っています。コロナはある意味、現代の医学ビジネスの限界を示唆しているように感じるんですよ。
絹川
お医者さん
現代の医学ビジネスの限界?
もう少し言えば、保険診療ビジネスの限界です。このシステムで食べていくには、どうしたってガンガン薬を出したり検査を行っていかなきゃならない。患者さんもバカじゃありませんから、そういった裏事情に遅かれ早かれ気づくでしょう。結果、医師に対する信頼は失われ、病院から足が遠のく。
絹川
つまり早晩、保険診療ビジネスは衰退していくだろうと私は考えます。
絹川
お医者さん
衰退って……そんなの、私たちに「死ね」と言っているようなものじゃないですか。
だからこそ「大胆な変革」が必要なんです。医療に対するニーズが変わってきたなら、それに柔軟に対応していかなきゃいけない。
絹川
お医者さん
そうは言いますけど……具体的にどんな変革をすればいいって言うんですか。
やり方は無限にあります。ただ全体の方向性として「西洋医学からの脱却」というのは重要でしょう。西洋医学「だけ」のビジネスを脱却し、新たな価値を提供するビジネスを考えていく、ということです。言わば民間企業がコア事業とは別の「新規事業」を立ち上げるような。
絹川
お医者さん
……確かに、そう言われてみれば、私達って「1つの事業に頼った会社」をやっているんですね。
仰るとおりです。製品やサービスにライフサイクルがあるように、事業にもいずれ衰退期が来るのです。今こそ、これからの時代の医療ビジネスを考えていくべきなんです。
絹川
お医者さん
今の状況を嘆いているばかりでは、何もなりませんもんね。うん、なんだか少し視野が広がりました!これからの時代に患者さんから求められる病院とは何か、ちょっと真剣に考えてみます!
ぜひ!次世代の医療ビジネスを生み出してください!
絹川
医療エンジニアとして多くの病院に関わり、お医者さんのなやみを聞きまくってきた絹川裕康によるコラム。
著者:ドクターアバター 絹川 裕康
株式会社ザイデフロス代表取締役。電子カルテ導入のスペシャリストとして、大規模総合病院から個人クリニックまでを幅広く担当。エンジニアには珍しく大の「お喋り好き」で、いつの間にかお医者さんの相談相手になってしまう。2020年、なやめるお医者さんたちを”分身”としてサポートする「ドクターアバター」としての活動をスタート。