第11回 食べ物の入り口は胃? 腸?

この対談について

健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。

第11回 食べ物の入り口は胃? 腸?

安田
以前、久保さんから「免疫は腸にある」と教えていただきましたよね。それはつまり腸以外の部分には免疫はないということなんでしょうか?

久保
いえいえ、全身にありますよ。たくさんある免疫細胞の約7割が腸の中に存在している。最も免疫機能が集中しているのが腸ということです。
安田
なるほど。それにはやっぱり何か理由があるんでしょうね?

久保
ええ。何かを食べると、それは食道を通って胃にいきますね。ちょっとお聞きしますが、その状態は「体の中に食べ物が入った」と言えると思われますか?
安田
え? う〜ん、どうかなあ…。そう言われてみると胃では消化されるだけで、吸収されるのは腸ですもんね。そういう意味では、腸で吸収されて初めて「体の中に入った」と言えるんじゃないでしょうか。

久保
仰る通りです。つまり人間にとっての食べ物の入り口は腸なんですよ。
安田
なるほど面白い。人にとって食べ物の入り口は、口ではなく腸ですか。

久保
ええ。食べ物って、基本的には「異物」なんですよ。しっかり噛んで消化し、それでやっと吸収できるようになるわけです。
安田
そうして初めて「異物」ではなくなり、体の中のものとして機能するんですね。

久保
はい。逆に言うと、腸で吸収できないサイズのものはある意味毒と一緒なんです。健康にいいとされているスムージーなんかがあるでしょう? あれを注射器で血管に直接入れたりしたら、健康どころか死んでしまいます。
安田
確かにそうでしょうねえ。ということは、血管に直接注入する点滴なんかも危ないんですか?

久保
ええ、危ないというか、そもそも他人の体内に入れられるのは認定された医薬品のみです。そして「何を入れるか」だけでなく「誰が入れるか」も厳しく管理されます。点滴を素人がやったら大問題。法律で罰せられますよ。
安田
ちなみに点滴をするのは、腸の吸収力が落ちているときですよね。ある意味、非常手段というか。

久保
ええ、物理的に食べれない時を含めて、仕方なく点滴で体に入れる、ということですね。本来は消化の良い食事を免疫細胞がたくさんある腸から吸収したほうがいいんですけど。
安田
正しい「入り口」は腸なんですもんね。それにしても、むしろ腸は「出口」というイメージがあったんですが、逆なんですねえ。

久保
そうですね。「入り口」のイメージは口や胃かもしれませんね。胃の基本的な役割は消化です。
安田
ちなみに「消化」ってどういうことなんですか? 腸が吸収できるように「異物」を溶かす役割なんですかね。

久保
そうですね。胃酸で食べ物をドロドロに溶かすわけです。先ほども「腸で吸収できるサイズ」の話をしましたが、そういう意味で言えば消化=サイズを小さくするということです。
安田
ああ、わかりやすいですね。腸で吸収するためには、小さく分解される必要があると。

久保
ええ。まずは歯で噛み砕き、次に胃で溶かされ、腸にいった後も酵素によってさらに小さく分解されます。
安田
そしてその過程で小さくしきれなかったものが、便として出てくると。

久保
はい。逆に言えば、それは体にとって「必要ないもの」ということです。いわゆる毒なども便と一緒に外に出されます。この一連の機能が、先日も話した免疫の「関門」ですね。腸がしっかり機能していれば、免疫の第一関門は守られているということになります。
安田
なるほどなあ。ところで、今の話でちょっと想像してしまったんですが、本当に必要なものを必要な量ぴったり食べた場合、便はまったく出ないんでしょうか。

久保
いえいえ、出ますよ(笑)。ファスティングしていても便は出ますから。
安田
え、そうなんですか?! それは何が出ているんですか?

久保
笑。そもそも便って、食べ物のカスだけではないんです。体の古い細胞なども「老廃物」として外に出されているんですよ。
安田
ああ、なるほど。いわば「過去の自分」が便になって出ていくわけですか(笑)。

久保
笑。それが健康な状態です。ただ、最近は腸の環境が悪くて悩んでいる方が多いですよね。腸の機能がおかしくなっていて、本来吸収しないはずの悪いもの、つまり毒が体内に侵入してしまう。
安田
まさに、関門が破られてしまっている状態ですね。それはどういう理由が考えられますか?

久保
一番大きいのは「消化不良」でしょうね。つまり、「分子が大きいもの」が腸にたくさんある状態です。
安田
本来であれば、腸から栄養として吸収できるサイズにまで分解されるはずなのに、それができていないというわけですか。

久保
ええ、そうです。腸の中に分子の大きいものが増えると、悪玉菌が増える。そしてそれが悪さをすることで腸内に炎症が起きる。結果として、腸に穴が開いてしまうと。
安田
え、穴が開くんですか?

久保
穴といっても、肉眼で見えるような大きさではありませんが、それでも菌などの異物は通り抜けられます。だから毒として体内に入り込んでしまうわけですね。そのまま血液の中に流れ出て、全身にめぐってしまうわけです。
安田
つまり腸がダメになると全身がダメになっちゃうんですね。だから腸内環境が大事なのか。腸内環境が乱れていると病気になる可能性が高くなる、という理由がわかってきました。

 


対談している二人

久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家

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仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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