第21回 「砂糖」が血管をボロボロにする。

この対談について

健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。

第21回 「砂糖」が血管をボロボロにする。

安田
久保さんは、以前から一貫して「砂糖は体に悪い」って仰っていますよね?

久保
そうですねぇ。人間が生命を維持するために「砂糖」は全く必要ない。私はそう思っています。
安田
私も白いサラサラのお砂糖はなんとなく体に悪そうだと思います。でもたとえば沖縄の黒糖や日本の伝統的な和三盆が「100%体に悪い」と言われると、ちょっと違和感があって。

久保
あぁ、なるほど。そうですね、白い砂糖に比べれば黒糖や和三盆は体に優しい、という側面はあるかもしれません。
安田
そうですよね。黒糖はかなり自然に近い状態だと思いますし、一般的にも「体にいい」って言うじゃないですか。

久保
黒糖や和三盆には「雑成分」が入っているので、白砂糖ほど急激に血糖値があがることは少ないんですよね。それに、雑味の部分に栄養素が含まれているので、人為的に雑成分を取り除いた白い砂糖に比べれば体にいいと言えるかも。
安田
白い砂糖よりは「まし」というわけですね。とはいえ久保さんの考えとしては、黒糖も和三盆も一切食べないほうがいいんですか? それとも適量であれば健康にいいんでしょうか。

久保
黒糖にしろ和三盆にしろ、健康のために砂糖を摂る必要はない。私はそう思います。
安田
あぁ、やっぱりそうなんですね。私、甘い物好きなのになぁ(笑)。

久保
笑。砂糖が怖いのは、中毒性があることなんですよね。砂糖が体に入ると、すごい量の「ドーパミン」が出るんですよ。ドーパミンってもともと、苦労している状態からようやく脱したとき、つまり「あ〜自分、よく頑張ったぞ〜!」というときに出される物質で。
安田
満足感や達成感を感じた時に放出される物質なわけですね。じゃあ私が砂糖を食べているときは、楽して気持ちよくなっていたと(笑)。

久保
そうなりますね(笑)。人間の欲求を手軽に満たしてくれる便利なものではあるんですが、あまりそれに頼りすぎるのも考えものです。
安田
でも久保さん、脳が栄養にできるのは糖だけだって言いますよね。疲れた時に甘い物を食べると、頭がしっかり動き出すような気がするんですけど…。もしかして、あれは勘違いなんですか?

久保
いやいや、そんなことはありませんよ。私が必要ないと考えているのは「砂糖」であって、「糖」そのものではないんです。実際、ご飯などの炭水化物も「糖」ですし、少しずつゆっくりと体に入っていく分には、そんなに大きな悪さをするものではありません。
安田
そうか。砂糖の場合は急激に糖が入ることで、ドーパミンが異常に出る。で、脳が「気持ちいい」と勘違いしてしまい、それが中毒性につながっていくと。

久保
仰る通りです。そして、実は砂糖が体に悪い理由がもう1つあります。というか、私はこちらのほうがより深刻だと思っているんですけど…。
安田
え、なんですか?

久保
「糖化」という現象です。
安田
糖化…。酸化は聞いたことがありますが、糖化は初めてです。どういうものなんでしょうか?

久保
いわゆる老化現象の1つです。今、安田さんが仰った酸化は「サビ」ですが、糖化は「焦げ」の状態だと言われていますね。
安田
焦げ、ですか。なんだか物々しいですね。

久保
「糖」と長時間接することで「タンパク質」が変質し、細胞が焦げているような状態になってしまうんですよ。
安田
ほぉ、なるほど。でもそれがどうしてそんなに深刻なんですか?

久保
たとえば酸化した鉄の場合、還元すれば元の鉄に戻りますよね。一方、木を燃やして炭にした場合はどうでしょうか?
安田
あぁ…元状態には戻りませんね…。

久保
そうなんです。それと同じことが血管と血液の間で起こっている。タンパク質でできている血管の中を、血糖値の高い状態の血液、つまり糖がたくさん含まれた血液が流れ続ける。
安田
そうすると、血管がだんだん糖化していくわけですね。ちなみに、糖化した血管はどうなるんでしょうか?

久保
脆くなります。
安田
なるほど。ボロボロと崩れやすい、そんなイメージですね。

久保
ええ。実は糖尿病が本当に怖い理由はそこなんです。糖尿病って血糖値が下がらないことが怖いのではなく、血管が糖化することが恐ろしい問題なんですよ。
安田
ああ、なるほど。

久保
血糖値が高いということは、血管中に糖が多いということです。つまり血管は糖化し、脆くなる。中でも特に毛細血管が脆くなりやすいんです。
安田
毛細血管と言えば、体の末端まで張り巡らされている血管ですよね。

久保
仰る通りです。毛細血管が、体のすみずみの細胞に酸素や栄養を運んでくれているわけです。でもそれが糖化して脆くなり、やがて消えてしまったらどうなるでしょうか。
安田
栄養を運ぶことができなくなって、細胞が死んでしまうじゃないですか。

久保
そう。「壊死」してしまうんです。それが糖尿病の怖いところなんです。
安田
なるほど。久保さんがずっと「砂糖は体に悪い」と仰っていた真意が、ようやく理解できた気がします。これからは私も甘い物を控えなくては(笑)。

 


対談している二人

久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家

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仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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