第43回 ハードな筋トレは健康に悪い

この対談について

健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。

第43回 ハードな筋トレは健康に悪い

安田
私は39歳の頃、「人生で一度くらいはバーベルを上げてみたいな」と思い立ったんです。そこから15年間、真面目にジムに通ってハードな筋トレをしていたんですよ。徐々にマッチョになってスーツも似合うようになったし、嬉しかったんですけど。

久保
でももう今はやられてないんですよね? なぜですか?
安田
筋肉をつけるために無理してバーベル上げるじゃないですか。そうするとだんだん身体の節々に痛いところが出てきて。で、「これは生きていくために必要なことではないのかもしれない」と思ってしまって。

久保
あぁ、なるほど(笑)。確かにウェイトトレーニングのようなハードな運動って、やりすぎると逆に身体を痛めてしまいますし、場合によっては寿命も縮めてしまうと思います。
安田
寿命も短くなりますか。

久保
はい。例えばプロスポーツ選手って、短命な方が多い印象じゃないですか?
安田
ああ、確かに。プロスポーツ選手が90歳100歳まで生きたパターンって、あまり聞かないかもしれない。知らないだけかもしれませんけど。

久保
実際、健康人生塾の顧問看護師さんが仰るには、激しい運動をすることで出てくる「活性酸素」が、身体の中で悪さをしてしまうんだそうで。だからあながち関係がないとも言えないわけです。
安田
ああ、以前お話していただきましたね。本来、活性酸素は体内に侵入した菌を倒してくれる「武器」のようなものだけど、過剰に増えてしまうと正常な細胞まで攻撃し始めてしまうって。

久保
そうですそうです。で、実はこの活性酸素って、呼吸をするだけでも出るんですね。ただ1日1回、心拍数130〜140くらいの「軽い運動」であれば、免疫を高めるためにちょうどいい量が出る。
安田
なるほど。しかし呼吸がゼェゼェと荒くなるような「激しい運動」をすると、活性酸素が大量に出過ぎて、結果として正常な細胞が攻撃されてしまうと。

久保
仰る通りです。そういったダメージが長年にわたって積み重なるから、ハードなトレーニングをし続けているプロスポーツ選手はなかなか長生きできないんだろうと。ちなみにこれは医学的にも言われていることです。
安田
そうだったんですね。そう言えばムキムキの人たちって、めちゃくちゃ重たいバーベルを持ち上げて、自分の筋肉を一度破壊するそうなんです。それが回復する過程で筋肉が大きくなるから。でもそれ、冷静に考えて身体にすごく悪い気がするんですけど…。

久保
私もそう思っています。そもそも筋肉には赤筋(遅筋)と白筋(速筋)の2種類があって。ウェイトトレーニングでは白筋の方を鍛えるんですが、白筋って酸素を使わずに瞬発的な力を出せる特徴があるんですね。
安田
あぁ、確かに! 重たいバーベルを上げている時って息を止めています(笑)。では赤筋の場合は酸素が必要になるんですね。

久保
はい。赤筋って「インナーマッスル」と呼ばれる筋肉で、有酸素運動をしているときに使っている筋肉なんです。言わば持久力のある筋肉。
安田
なんとなく有酸素運動のほうが体には良さそうというイメージがありますが、白筋を使う無酸素運動の時、体内はどうなっているんでしょうか?

久保
白筋を使うと、乳酸がどんどん出てきます。
安田
ああ、「乳酸をたくさんためたほうが筋肉が大きくなる」ってジムで言われましたよ!

久保
ええ。ただ乳酸って体を「酸化=錆びている状態」にしてしまうんですよ。しかも酸素が使われていない環境って、実は癌が好きな環境でもあって。
安田
おっと…全然体に良いとは言えない状態じゃないですか…(笑)。

久保
さらに言うと、トレーニングの合間にエネルギー補給のために糖も多めに取りません? 糖が多い=高血糖の状態も、癌細胞が好むんです。
安田
健康のために筋トレをしているはずだったのに、実は身体にはめちゃくちゃ悪いことをしていたと。

久保
もちろん適度な運動は身体に良いんです。ただ何百kgのバーベルを持ち上げるというような不自然なことは、結果的に命を縮めることになるんじゃないのかなと思います。
安田
でも、ちょっと疑問なんですよね。そもそも男性がマッチョになりたいと思うのって、根本には「女性にモテたい」という気持ちがあるからだと思っていて。

久保
確かに若い方ほどそういう目的で筋トレをされる場合も多いかもしれません(笑)。
安田
日本はそれほどでもないかもしれませんが、世界的に見れば圧倒的にマッチョ男性の方がモテるんですよ。で、どんな生物でも、子孫繁栄のためにメスは健康的で強いオスの方を選ぶ。その理論でいけばマッチョ=健康で強い、ということになりませんか?(笑)

久保
笑。確かにアメリカでは、モテたければベンチプレスで100kg以上は上げろ、っていうのが鉄則らしいですが(笑)。ただ私としては、「命を守るために強い体が必要だった」という歴史的背景が現代に残っているだけだと思いますね。
安田
なるほど。中世時代に身一つで戦っていたり、原始時代にマンモスと戦っていた名残だと。確かにそう考えると「筋骨隆々のマッチョ」でなければ生き残るのは難しかった時代が長かったわけで。

久保
ええ。だからこのまま平和な時代が続いていけば、もしかするとマッチョじゃなくて優男がもてはやされる時代が来るかもしれませんよ(笑)。
安田
笑。それだったらますますハードな筋トレをする意味もなくなっていきそうですね(笑)。

 


対談している二人

久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家

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仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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