第6回 生活習慣病は「食」で治るのか

この対談について

健康人生塾の塾長にしてホリスティックニュートリション(総括的栄養学)研究家の久保さんと、「健康とは何か」を深堀りしていく対談企画。「健康と不健康は何が違うのか」「人間は不健康では幸せになれないのか」など、様々な角度から「健康」を考えます。

第6回 生活習慣病は「食」で治るのか

安田
前回のお話では、病原菌や怪我のように「体の外側」に原因がある時は医学が有効だということでしたけど。では逆に「体の内側」から原因が現れる場合はどうすればいいんでしょうか?

久保
「自分の内側に原因がある」というと、例えば生活習慣とか食習慣によって病気になっている状態が考えられますね。いわゆる「生活習慣病」です。
安田
つまり「食べ物」が原因の一つになっているということですよね。でも個人的には、食べ物って「外からきている」イメージなんですよ。それでもなお、自分の内側に原因があると言えるんでしょうか。

久保
確かに食べ物自体は外にあるものです。でも重要なのは「何をどれだけ食べるか、何を食べないか」ということ。それを決めているのは自分、つまり「内側」です。
安田
ああ、確かにそうですね。いくら薬を飲んでも、「何をどれだけ食べるか」を決めている自分自身が変わるわけじゃない。

久保
そうそう。薬や手術って「外からくる敵を倒す武器」なんですよ。不具合の原因を解消してくれるから、結果として病気が治る。この場合はちゃんと原因療法をしているわけですね。
安田
なるほど。

久保
でも、食習慣が原因の「お腹が痛い」とか「胃腸が荒れている」とかの症状には対処療法しかできない。薬や手術にはそれらの原因となっている食習慣自体を変える力はないので、結局しばらくすると同じ症状が出てきてしまうんですよね。
安田
ああ、確かにそうですね。実際同じ症状がずっと続いているって話もよく聞きます。ところで「生活習慣」の枠組みには、「ストレス」も入るんですか?

久保
ええ、入ると思います。
安田
でも、ストレス発散の目的で飲酒したりチョコレートを食べたりすることもあるじゃないですか。体に悪いと分かっていても。

久保
確かにそうですね(笑)。
安田
それって、少し意地悪な見方かもしれませんが、「体に悪いものが心には良い」ということにはなりませんか?

久保
実際、それは一理あると思います。本来「ストレスからの解放」という結果を出すには、ストレスの原因から離れることが重要なんです。
安田
騒音がストレスなら静かな場所に引っ越したり、上司が意地悪なら職を変えたり。

久保
そうそう。でもそれって現実問題、簡単じゃないケースも多い。だからチョコを食べたり好きな音楽を聞いたりして、手軽に「ストレスからの解放」を実現しようとする。そういう意味で「体に悪いものが心には良い」というケースは実際あり得ると思います。
安田
なるほど。何も対応せずストレスをつのらせ、結果重い病気になったり死んでしまうよりはマシだというわけですか。

久保
そうだと思いますね。
安田
でもそう考えると、体に良いものと心に良いものって、相反するものも多い気がしますね。たとえば我々も老化に悩まされていますが、アンチエイジングをやるのはちょっと違うよなと思うわけです。

久保
アンチエイジングと言うと、「レーザーでシミ取りをして若く見せる」みたいなことですか?
安田
そうそう。確かにシミを取ることで若く見えるかもしれないけど、実際に若返ったわけじゃないよなと。一方で、シミがなくなったことでストレスを感じなくなる効果もあるかもしれない。

久保
毎朝鏡を見て憂鬱になっていた人も、シミがなくなったことで楽しくなるかもしれません。
安田
ええ。それって健康にいい気がしません? 同様に「美味しい食べ物」も、健康にいいとも悪いとも言えると思うんです。体に悪いけど美味しいものってたくさんあるでしょう? というか、美味しいものってだいたい体に悪いですよね(笑)。

久保
確かにそうですね(笑)。体には悪いけど、美味しいからハッピーになって、ストレスも減ると。
安田
ええ。逆のパターンで言えば、たとえば久保さんもよくオススメされている玄米です。体にいいのはわかります。でも、玄米だけ食べて生きていくくらいなら、ちょっと寿命が短くなっても美味しい白米を食べていたいって私は思っちゃいます(笑)。

久保
笑。長く生きることだけが幸せではないですからね。とはいえ病気になるのは嫌だし。そのバランスで苦しむのが人間なんでしょうね(笑)。
安田
ちなみに健康人生塾の塾長である久保さんは、普段どんなものを食べているんですか? やっぱり体に悪いものは一切食べませんか?

久保
毎日「自分が考え得る最高の食材を食べている」というわけではないです。でも自分の中で、「何を食べないか」は明確に決めてますね。
安田
ほお。ちなみに何を食べないんですか?

久保
関係者の方がいらっしゃったら申し訳ないんですが、コンビニ食品、砂糖の入った清涼飲料水、そしてスナック菓子ですね。
安田
ははあ、なるほど。おやつ的なものは何を食べているんですか?

久保
そうですねえ。私、昔からわりとチョコレートが好きなんです。なのでカカオ70%や80%の苦味があるものを食べていますね。
安田
ああ、あの美味しくないやつですね(笑)。私はミルクがたっぷり入ったチョコじゃないと食べる気がしませんよ。

久保
そうですか? 砂糖の代わりにココナッツシュガーやアガベシロップを使うことで血糖値が上がりにくくしてるんですけど、美味しいですよ?
安田
そういう風に自分に言い聞かせているだけなんじゃないですか?(笑) 本当に美味しく感じるようになるもんなんですかね?

久保
笑。逆に、砂糖がたっぷり入った「普通のチョコ」は、私には甘すぎちゃいますね。
安田
なるほど。もしかすると、体に悪い食べ物なのに「美味しい」と感じてしまう私は、脳が麻痺しちゃっているのかもしれませんね。

 


対談している二人

久保 光弘(くぼ みつひろ)
健康人生塾 塾長/ホリスティックニュートリション研究家

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仙台出身、神奈川大学卒。すかいらーくグループ藍屋入社後、ファンケルへ。約20年サプリメントの営業として勤務後、2013年独立し「健康人生塾」立ち上げ。食をテーマにした「健康人生アドバイザー」としての活動を開始。JHNA認定講師・JHNA認定ストレスニュートリショニスト。ら・べるびい予防医学研究所・ミネラル検査パートナー。

 


安田 佳生(やすだ よしお)
境目研究家

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1965年生まれ、大阪府出身。2011年に40億円の負債を抱えて株式会社ワイキューブを民事再生。自己破産。1年間の放浪生活の後、境目研究家を名乗り社会復帰。安田佳生事務所、株式会社ブランドファーマーズ・インク(BFI)代表。

 


 

 

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